2017年9月12日火曜日

2017 INDYCARレポート 9月11日:ボーグウォーナー・トロフィー用・佐藤琢磨の顔の彫刻 その1

ボーグウォーナー・トロフィーを背に、制作中の彫像を挟んで作者のベーレンズ氏と記念撮影 Photo:2017 Scott R Lepege All rights reserved クリックして拡大 
スターリング・シルバー製のボーグウォーナートロフィーは時価3億円以上!
 インディー500の優勝トロフィーはウィナーに贈呈されない。インディアナポリス・モーター・スピードウェイのホール・オブ・フェイム・ミュージアムに常時展示されている。時々プロモーションで遠征するが…………。ウィナーはベイビー・ボーグというニックネームのつけられた小型のトロフィーを授与される。本物は家に飾るには大き過ぎ。そして、このベイビー・ボーグが実にかっこいい。

ベーレンズ氏のアトリエにボーグウォーナー・トロフィーがシボレー・エクスプレスに乗せられて到着。トロフィーは分割されていて、移動中は左の黒いケースに納められている。台座を引き出して、これから組み立て作業に入る Photo:2017 Scott R Lepege All rights reserved クリックして拡大
トロフィー上部のカップ部分を取り付ける Photo:2017 Scott R Lepege All rights reserved クリックして拡大

  世界に有名なトロフィーは幾つもあるけれど、ボーグウォーナー・トロフィーほどユニークなものはないのでは? まずはそのサイズ。高さ165cmもある。素材はスターリング・シルバーで、アートや歴史的な意味をプラスしない状態で3億円以上の価値があるという。アートという意味では、全体のイメージはアール・デコで、円筒状のトロフィーの側面にはズラリと歴代ウィナーの顔の彫刻が並べられている。

佐藤琢磨の肖像制作という歴史的現場を取材!





きれいに整頓されたスタジオでベーレンズ氏が琢磨を前に彫像のディティールを詰めていく。右に見える大きな投手像は、SFジャイアンツやパドレスで活躍した不正投球王ゲイロード・ペリー Photo:2017 Scott R Lepege All rights reserved クリックして拡大
 第101回インディアナポリス500のウィナー=佐藤琢磨の顔がこの伝統あるトロフィーの一角に貼り付けられる。信じられないことだけれど、本当にそういう日がいよいよ近づいている。その顔の彫刻を作る工程の一部をボーグウォーナーの御厚意で見せてもらえることとなり、ノース・キャロライナ州まで行くことになった。こんなチャンスは滅多にない。一人の日本人ドライバーの達成偉業を現場で目撃しただけでも凄い栄誉だというのに。歴史的ツアーが始まった。

 異例の寒さだった第16戦ワトキンス・グレン・インターナショナルを終え、月曜の夕方にノース&サウス・キャロライナの州境に近いトライオンという街に集合。私とSカメラマンのコンビは11時間半のドライブの後に到着。翌朝に我々はいよいよアーティスト=ウィル・ベーレンズさんのスタジオへと向かった。

「実物よりも良すぎる!?」と自らの彫像を前に驚く琢磨
 
自分の彫像と対面した琢磨は、その作りこみのすごさに何とも言えない表情に Photo:2017 Scott R Lepege All rights reserved クリックして拡大

  撮影準備など整ったところへ琢磨が到着。すぐに彫像の除幕が行なわれた。ベーレンズさんの手法だと、まず実物大の顔の像を粘土で作る。それが実に精巧で、琢磨は「凄い!」とビックリし、「自分の顔とか頭を立体で見たことってないから、なんか不思議な感覚」と感想を述べた。「ちょっと実物より良過ぎるんじゃない?」とも。

ベーレンズ氏はインディー500ウィナー彫像製作28年目!


焼きあがって白くなった彫像。左がモントーヤで、右がロッシだ Photo:2017 Scott R Lepege All rights reserved

 アレクサンダー・ロッシのものもそうだったが、少し鼻は高いような……。それは小型化した時のことなども考慮されてのディフォルメらしい。トロフィー用は5cmのサイズなので。また、粘土は薄い茶色というか何というか微妙な色だけれど(柔らかい)、これが焼かれると白く、そしてカッチカチに固くなる(ロッシとファン・パブロ・モントーヤのものを他の写真で参照)。それを元にしてベーレンズさんは小さな顔の彫刻を作り込んで行く。

ズラリと並ぶインディー500ウィナーたちの彫像。どれが誰だかわかりますか? Photo:2017 Scott R Lepege All rights reserved クリックして拡大
 1990年にボーグウォーナーにこの仕事を頼まれた時は、毎年アーティストを変えて行くプランだったそうだが、彼らはベーレンズ氏の作品を気に入り、今年で28回目の彫刻製作となっている。
 「元々レース・ファンだったので、この仕事はとても楽しい。毎年のインディー500ウィナーに直接会い、コミュニケートしながら彫刻を作って行く仕事は本当にやりがいがある」とベーレンズさん。彼はメジャー・リーグ・ベースボールのサン・フランシスコ・ジャイアンツの殿堂入り選手の像を作って来てもいる。球場の周りに並ぶ16人の躍動感溢れる像も、このスタジオで作られたという。今週末のソノマ遠征では、その作品群を見て来たい。

1 件のコメント:

  1. 琢磨選手に代わり、来年からザック・ビーチがアンドレッティに加入するだろうというニュースを見ました。やはり琢磨選手はアンドレッティを抜けて、レイホールに加入するのでしょうか?

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