2017年9月2日土曜日

2017 INDYCAR レポート 第16戦 インディカー・グランプリ・アット・グレン Day1 プラクティス1:ワトキンス・グレンでのプラクティス1最速はグレアム・レイホール

ワトキンスグレンで渦中の人となった佐藤琢磨 今回はスぺh去るカラーのヘルメットで登場 Photo:INDYCAR (Bret Kelley) クリックして拡大
*アンドレッティ・オートスポートは“2018年もホンダ・パワー”と発表
**アレクサンダー・ロッシがアンドレッティ・オートスポート残留を発表
***佐藤琢磨が2018年にどのチームで走るかの公式発表は依然ナシ


気温11℃! 9月とは思えぬ寒さの中でプラクティスがスタート

 
 ワトキンス・グレン・インターナショナル(全長3.37マイル)での最初のプラクティスは、気温=11.5℃というクレイジー・コンディションで始まり、セッション終了時点でも13℃にしか達しなかった。カナダと国境を接するニュー・ヨーク州の山中にあるコースではあるが、9月1日にここまで気温が下がるのは珍しい。その上、今日は風もあって体感温度をさらに低くしていた。明日の朝はもっと寒くなると予報も出ている。


今年のワトキンスグレン・プラクティス1トップタイムはレイホール Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
ダウンフォース増でラップタイムは昨年のプラクティス1より向上
 

 冷たい空気によるダウンフィオース増も手伝って、プラクティス1での最速ラップは1分23秒2603と昨年の最初のプラクティスより速くなっていた。このトップ・タイムを記録したのはグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)。参考としてコース・レコードを記すと、昨年スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)が予選で記録した1分22秒5259。ディクソンは昨年度のレース・ウィナーでもある。

ホンダ勢がトップ5を独占! ポイントリーダーのニューガーデンは9番手
 

 2番手はアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)=トップと0.2083秒差の1分23秒4686、3番手はマックス・チルトン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)=同0.2551秒差の1分23秒5154、4番手はディクソン=同0.2882秒差の1分23秒5485、5番手はジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)=同0.5131秒差の1分23秒76734と、ホンダ勢がトップ5を独占し、トップ10に7人が並んだ。シボレー軍団トップはスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)の1分23秒8425=トップとは0.5822秒差だった。
 ポイント・リーダーのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)はトップと0.7338秒差で9番手。ポイント3番手のエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)は同0.7381秒差で11番手。ポイント4番手のディフェンディング・チャンピオン=シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)は0.7338秒差で10番手だった。
 佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)は1分24秒6339のベストで17番手。「テストとフィーリングが違う」と戸惑い気味だった。
 今週末のカー・ナンバー7(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)にはジャック・ハーヴィが乗っている。彼は最終戦ソノマにも参戦の予定。マシンはオートネイションとシリウスXMラジオのスポンサーシップで紫メタリックと黒と、チームメイトと派手さを競い合うカラーリングにされている。

アンドレッティ・オートスポート、ホンダとの複数年契約を発表
 

 このレースを前にアンドレッティ・オートスポートが「2018年もホンダ・エンジンで戦う」と発表。契約は複数年(何年間かは公けにされていない)。インディー500で5勝の実績を誇るアンドレッティ・オートスポートは47勝をホンダと共に飾って来たが、2018年シーズンに向けてシボレー陣営への移籍を検討していた。彼らは2012年から3年間シボレーで戦って9勝を挙げており、タイトル獲得も2014年に達成している。2012年のシボレーのシリーズ復帰以来、アンドレッティ・オートスポートにとって二度目のエンジン・スウィッチが行なわれる可能性が高いと見られていた。しかし、彼らはホンダ
陣営残留という結論を出した。

「私たちはホンダと戦い続けていくことを選び、喜んでいる」
 

 チーム・オーナーのマイケル・アンドレッティは、「もう暫くの間、この決断(ホンダ残留)を下すかの検討をチームとして行なって来ていた。それは誰もが知るところだっただろう。私たちのチームはふたつのマニュファクチャラーのどちらとも強力な関係を持ち、実績を残して来ている。しかし、私たちはホンダと戦い続けて行くこと選び、それを喜んでいる。私たちのチームはホンダとともに偉大な成功の歴史を作って来た。その上にさらに多くの実績を積み重ねて行くであることには何の疑いも抱いていない」と話し、ホンダ・パフォーマンス・デヴェロプメント社々長のアート・セイント-シアーも契約継続を歓迎するコメントをリリースた。しかし、アンドレッティがシボレーとホンダを天秤にかけたことが思わぬ副産物を生み出した。琢磨のチーム離脱の可能性だ。
 

佐藤琢磨アンドレッティ残留の可能性はすでになく……
 

 ホンダの契約が2017年までだったアンドレッティ・オートスポートに対し、この夏前にシボレー・サイドが2018年からの移籍を持ちかけた、と言われている。魅力的な資金面のサポートも添えられていたことから、アンドレッティはそれを検討。この事態を知って、琢磨陣営は他のホンダ・チームとの交渉を始めた。ホンダの契約ドライバーである琢磨はホンダ・チーム以外では走れないのだから当然だ。いつになるかわからないチームのエンジン決定を待ってたら、他の有力チームのシートが埋め尽くされてしまうかもしれない。最終的にアンドレッティはホンダに残ることを決めた。そして、次には琢磨にチームへの残留希望を伝えた。しかし、マイケルの希望が叶うことはどうやらないようだ。

マイケルがリークし、古巣、レイホールへの移籍は確定的か
 

佐藤琢磨陣営からは、まだ一切の公式発表はない Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
  琢磨がレイホールに移るメリットは、彼らがこの2015年シーズンから多くのサーキットで見せて来ているパフォーマンスの高いマシンを琢磨も享受できる点だ。1台体制という不利を跳ね返し、彼らは4台体制のアンドレッティ・オートスポートを上回る回数の優勝を2015年から今シーズンのワトキンス・グレン前までで記録して来てもいる。彼らのレヴェル・アップには目覚ましいものがある。
 逆に琢磨がアンドレッティに残留することで得られるアドバンテージは、担当エンジニア及びエンジニアリング・グループ全体との間に築き上げた良好な関係、チームメイト・ドライバー3人と深めたコミュニケーションなどを継続することにある。2017年から加わった新テクニカル・ディレクターの下でのエンジニアリング強化も更に進むだろうとの期待もある。

 レイホールは2台体制への拡大を着々と進めて来ていた。2台目を走らせるに足るスポンサーの獲得もほぼ目標に達したという発表もこの夏の間にあった。ただ、もし琢磨が2012年以来となるレイホール復帰を果たす場合には、彼の走るチームは、このシーズン・オフに一から作り上げたものとなる。今シーズン終了と同時に優秀なクルーを集めることに尽力し、グレアム・レイホールのチームと同等の力を2018年シーズンの開幕戦から発揮させるのは容易ではない。

 ワトキンス・グレンの週末を前にマイケルはインディアナポリス・スター紙の取材に対し、「琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは2018年の契約を完了している」と暴露し、「彼らはまだ契約したと明らかにはできないが、私にはできる。もう移籍は決定済みだ。琢磨のマネジメントは移籍を決め、後戻りはしないということのようだ。その行動が理解できない。私たちと交渉するチャンスを彼のマネジメントは与えてくれない。それは少々アンフェアだと思う」と語った。

なお4カー体制をAAは目指すというが

 ワトキンス・グレンでは大方の予想を覆してのアンドレッティ・オートスポートのホンダ残留と、琢磨のレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング移籍が一番ホットな話題となっている。そして今日、ロッシの契約更改が発表された。NAPAオートパーツが引き続きロッシのマシンのスポンサーを務めること(=10戦でメイン・スポンサーの座を他社とシェア。複数年契約)も同時に発表された。ホンダと戦いたいとの意思を持つロッシは、チームのシボレーへの移籍に備えてホンダ・チームとの交渉を開始していたが、彼はアンドレッティ・オートスポートとの契約更新を選んだ。マイケルは4カー体制を維持する意向を変えていない。最後のシートを手にするのは誰になるのだろう。

4 件のコメント:

  1. マイケルはこのような結果を予測していたと思う。(琢磨放出)

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  2. レイホールかぁ。悪くないかも。
    ホンダのエアロを熟知して良レースしますもんね。
    特にロード・ストリートでの強さが著しく上がってるし。
    AAはハイスピードオーバルが強いけど、琢磨選手は今年インディ500勝てたしね。
    シリーズチャンピオン目指すならどこなのかな。
    まさかのガナッシってサプライズはないか…な?

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  3. レイホールいいじゃん👍パートナーがグラハムってところが気になるけど ボビーレイホールも生粋のビジネスマンだから ちょっと怖いけど、チームとしてはAAよりもいいと思う🎆

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  4. レイホールは、2012年にDW12シャシーに変わった初年度も速さがあった。
    ただ、レイホールとしての2カー体制初年度ってのが、2台目のエンジニアリング体制としては気になるところ。

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