2017年8月20日日曜日

2017 INDYCARレポート 第14戦ABCサプライ500 Day1 予選:ポコノで佐藤琢磨がポール・ポジション獲得

佐藤琢磨、堂々のポール・ポジション獲得! Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
午後1位、路面温度が高まり、風も強くなる中で予選がスタート
 
 インディーカーのレースがポコノに復活して以来、ずっと速さを見せてきていた佐藤琢磨(ベスト・リザルトは決勝が6位、予選が3位)が、アンドレッティ・オートスポートからの参戦でついにポール・ポジションを手にいれた。
 予選開始は午後1時。空は朝から続く快晴で、照りつけ続けた日差しで路面温度はプラクティス1の開始時より20℃も高くなっていた。風は午前中と同じか、やや強くなっており、どこまで空力をトリムすべきかの判断、そしてドライビング自体も非常に難しい戦いとなった。

最初のアタッカー、ディクソン、不完全燃焼の結果に

 最初のアタッカーは5度目のタイトル獲得にはここでの活躍がマストのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)。ウォーム・アップは215.394mphで、計測1ラップ目が218.065mph、2ラップ目が217.573mphで平均は217.819mphだった。これはあまり良くない数字で、続くウィル・パワー(チーム・ペンスキー)にすぐさま抜かれた。最終的にディクソンのグリッドは9番手となった。パワーは216.139mphのウォーム・アップ・ランから218.979mph、218.397mphでアベレージ=218.688mph。彼のグリッドは5番手になる。

カストロネヴェス、計測1周目のターン1でクラッシュ 

朝のプラクティスで3番時計だったトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)は2ラップ目にこの時点までの今日の最速となる219.125mphをマークし、2ラップ平均も219mph台に乗せる219.012mphとしてトップをパワーから奪った。
 その次のエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)は、この時点までの最速となる217.749mphのウォーム・アップ・ラップを終え、計測1周目に入ってすぐのターン1でクラッシュ! このヴェテランがオーヴァルの予選でミスするのは珍しい。コーナー進入で二度ボトミングし、火花が見えた後にマシンはスピンに陥った。エリオは「自分のミスだった」と話したが……。

ロッシ、アタック1周目に失敗
ニューガーデンは218マイルに届かず


 テキサスのポール・ウィナー、チャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)は10番目に登場。2ラップ目にこの時点までの最速となる219.386mphをマークし、先輩チームメイトのカナーンからトップを奪い取った。雲が出て気温が少し下がったことも味方していたかもしれない。2ラップ平均は219.369mph。キャリア2回目のPPなるか?
 アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)は1周目が217mph半ば。コレは明らかに不発。2周目はキンボールのベストを上回り、この時点までの最速となる219.666mphだったが、1周目が決定的に遅く、記録は218.662mph止まりで暫定4番手。最終的に彼は予選6位となる。
 また強い日差しが戻って来て、ポイント・リーダーのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は217mph台止まり。グリッドは14番手と結構厄介な位置に。
 エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)は朝クラッシュさせたマシンの修理が間に合わず、DNQ。

パジェノー暫定首位で迎えたAA3人衆のアタックだったが
アンドレッティが不発、ハンター-レイはクラッシュ


 キンボールのPPを阻止したのは、ディフェンディング・チャンピオンでタイトル防衛の可能性を残しているシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)。いともアッサリと2ラップ両方を219mph台に乗せ、219.395mphでトップに立った。それでも、まだ逆転ポールの可能性は残っていた。おもしろいことに今日のアタック順はアンドレッティ勢3人が最後に並ぶものになっていたからだ。その最初が地元の期待を担うマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)。ところが計測1周目が217mph台でポール獲得は叶わないことに。それで意気消沈したからでもなかろうが、2ラップ目は215mph台にダウン。マルコのグリッドは16番手に決定。
 次がライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)。2015年ウィナーのアタックは…………計測前に終了した。ウォーム・アップを終えるターン3でクラッシュしたので。エントリーでバランスを崩してスピンし、後ろ向きになってアウト側のセイファー・ウォールに激突。アレンタウンの病院へ陸路で搬送された(左足を負傷?? コクピットを出たがピットウォールを越えられず、足を引きずった後にセイフティ・クルーに肩を貸してもらってマーシャルのクルマに乗り込んだ)。グリッドはエリオの後ろの21番手。最後尾は予選走行ナシだったカーペンター。明日のレースは豪華メンバーが後方からの追い上げるところも楽しみとなった。

ラストアタッカー、佐藤琢磨
ウォームアップから段違いのスピード


 残るは最終ランナーの佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)だけとなった。コースの清掃に時間がかかったが、気温は下がらず。雲も出ず。アンドレッティ・オートスポートの3台の走りを見る限り、琢磨も1ラップ目にスピードが出せない心配があった。ところが、彼のウォーム・アップ・ラップが驚異的に速かった。218.785mph! 前に走った20台の誰よりも明らかに速いウォーム・アップだった。これは琢磨の意図したことだった。そして、そのスマートさによって彼は自身初となるスーパースピードウェイでのポール・ポジションを手に入れた。そして、意気消沈していたアンドレッティ・オートスポートに息吹を吹き込むことにもなった。

「チャンピオンシップを手にする可能性はまだ残っている
決勝用のマシンも悪くないはず」

Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
  「ウォーム・アップからアタックに近いラップとしてマシンを感ずることを目指した。2ラップ目にみんなスピードが落ちていた。タイヤのデグラデーションがその理由だ。でも、1周目のターン1を速く走るためには、その前のラップで状況を確認しておきたかった。今日は最後のアタッカーでラッキーでもあった。ポコノは好きなサーキット。特別なサーキット。今日は風も強く難しい予選だったけれど、楽しかった。チャンピオンシップを手にする。その可能性はまだ残っている。もう随分と可能性は低くなっているけれどね。明日は優勝を狙って行く。500マイルの長丁場なので、簡単に勝てることはない。何が起きてもおかしくないが、何だって可能ということでもある。でも、500マイル・レースで1シーズンに2勝ということを強く意識することはしない。今日のポールはチームワークの勝利。ロッシが走行感覚をコメントしに来てくれた・それは重要なことだし、嬉しいこと。これはアンドレッティ・オートスポートの強みだ。いつもは4台。インディーでは6台も走らせる。情報が豊富。決勝用のマシンも悪くはないはず。まだ今朝のプラクティスではトラフィックのテストをしていないけれどね」と琢磨は笑顔を輝かせていた。

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