2017年7月31日月曜日

2017 INDYCARレポート 第13戦 ホンダ・インディー200・アット・ミッド-オハイオ Race Day 決勝:ニューガーデンが今季3勝目! 一気にポイント・リーダーに浮上!! 佐藤琢磨は5位フィニッシュ!

トロントに引き続き2連勝!つぃにポイントリーダーに浮上 Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大

ディクソン、得意のミッド-オハイオで不発
ニューガーデンが終始レースをコントロール!

 

 ミッド・オハイオ5勝の実績を持つスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)だが、今年はとうとう最後までトップ争いに絡むことなく9位でゴール。デトロイトでのレース1終了以来保って来たポイント・スタンディング・トップの座を明け渡すこととなった。ロード・アメリカで見事な今季初優勝を飾って勢いを掴んだかに見えていたディクシーだが、アイオワが8位、トロントが10位と上位に食い込み切れないレースが続き、ポイント・トップから3番手へとポジションを落とした。
 代わってシリーズ・リーダーに躍り出たのは、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)だ。ミッド・オハイオという難しいコースで、レッド・タイヤでもブラック・タイヤでもライバル勢を一切寄せ付けないアンタッチャブルな速さを見せつけての勝利により、彼は一気に今シーズンのチャンピオン候補となった。

ポールポジションのパワーがレースをリードするが、ニューガーデンがパワーに肉薄。13周目に鮮やかにオーバーテイクを決める Photo:INDYCAR (Bret Kelley) クリックして拡大
PPスタートのパワーを13周目にパスして一気にリード
レース終盤のリスタートも、ブラック・タイヤでレッド勢を圧倒

 

 ポール・ポジションからニューガーデンの先輩チームメイトのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)はトップをキープした。彼ら2人は3番手の佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)以下を引き離して周回。そして13周目のバック・ストレッチ・エンドでニューガーデンはアウトから仕掛けると見せてインへとズバッと切り込み、パワーを鮮やかにパス。そこからコントロール・ラインまでのコース半周で1.5秒もの差をつけ、さらに次の周で3.5秒にまでリードを広げた。このペースにはパワーも驚いたことだろう。
トップに立つ展開となってからもスティントにかかわりなく安定した走りを見せた Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
  トップに立ったニューガーデンはセカンド・スティントにブラック・タイヤを採用し、サード・スティントにフレッシュ・レッドを投入。パワーとの差をコンスタントに4~5秒に保ち続けてゴールを目指した。彼にとっての唯一の危機は、90周のレースの67周目にエド・ジョーンズ(デイル・コイン・レーシング)がスピン、ストップしてイエロー・フラッグが出された時に訪れた。これで大量リードは消滅。しかも、彼がブラック・タイヤ装着なのに対し、2番手のパワー以下は新品のレッド・タイヤに履き替えたばかりで、大どんでん返しも考えられる状況となったのだ。しかし、今日のニューガーデンにはブラックでもレッドにまるで引けを取らない瞬発力を発揮していたし、ワン・ランク上のペースで走り続ける力を備えていた。マシンもドライビングも最高だったということだ。残り20周で切られたリスタートの後にも再び5秒以上のリードを築き上げた彼は、堂々たる今シーズン3勝目のチェッカード・フラッグを受けた。まさかニューガーデンが3勝一番乗りを果たすとは! チーム・ペンスキー入り初年度にして初タイトル獲得さえ見えて来た。

カストロネヴェス、かろうじてランキング2位を守る7位フィニッシュ
パジェノーは4位にとどまり、チャンピオンシップ防衛は黄信号

 

 ポイント2番手でミッド・オハイオ入りしたエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)は、予選5位から最後のリスタートも5番手で迎えていたが、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)と佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)に抜かれ、7位でゴール。シリーズ・ランキングは2番手を保った。残り20周で失った4点がチャンピオンシップにどんな影響を及ぼすか。


  ポイント3番手につけていたディフェンディング・チャンピオンのシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)は、ニューガーデンどころかパワーやグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)にもアタックするスピードがなく、粘りは見せたが4位でのフィニッシュがやっとだった。シーズン序盤のフェニックスで勝ったのはキャリア初のオーバルでの優勝という点でも良かったのだが、その後は優勝争いで存在感を見せることができていない。もう一段戦いのレベルを上げ、昨シーズン終盤のような強さを取り戻さないとタイトル防衛は難しい。

ニューガーデン、2連勝でペンスキー移籍初年度でのタイトルも視野に


 最多リード・ラップも手に入れたニューガーデンは、トロントに続いて大量53ポイントを加算した。これで26歳のヤング・アメリカン・ドライバーが2017年のポイント・バトルで初めてトップに立った。ポイント差は7点と小さいが……。2番手は前述の通りカストロネヴェス。3番手はディクソン=ニューガーデンと8点差。4番手はパジェノー=同じく17点差だ。
 またしてもミッド・オハイオでの優勝を逃したパワーは、ポイント・ランキングは5番手で変わらず。今日の2位フィニッシュによりトップとの差は64点から52点に減ったが、残りレースもひとつ減っている。

佐藤琢磨、ピットでのロスをコースで挽回する奮戦で5位
 

Photo:INDYCAR (Bret Kelley) クリックして拡大
  琢磨はスタートで3番手をキープ。レイホールより先に1回目のピット・ストップを行なったことでパスを許した。そのピットで大きくタイム・ロスしてパジェノーにパスされ、コースに戻ると早めのピットストップを行っていたライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)がターン2で背後から急接近。チームメイトに道を譲るとアレクサンダー・ロッシも彼に続いて琢磨をパスした。
 次のピットではジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)にパスされた。今日はピットストップが鬼門だった。これで;ポジションは8番手。しかし、エド・ジョーンズ(デイル・コイン・レーシング)の67周目のスピン&ストップで最後のチャンスを得た。
 リスタートは残り20周で切られたが、フレッシュ・レッドを装着していた琢磨はヒンチ、エリオ、ロッシを次々とパスし、5位に順位を戻してゴールした。表彰台は逃したが、苦しいレース展開を跳ね返してのトップ5入りには意義がある。

「次のロードコース、ワトキンスグレンも上位で戦いたい」

 
Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大

  「3番手スタートだったの5位フィニッシュではあまり喜べませんが、最初のピット・ストップではホイール・ナットが飛んで行ってしまうトラブルがあってパジェノーに抜かれ、コースに戻ってすぐに更に2つポジションを落としました。その後は追い上げるレースを戦うこととなりましたが、バトルは楽しかった。特に、終盤のリスタートの後に2台をオーバーテイクしてポジションを挽回できたのは嬉しかった。ロードコースのミッド・オハイオで僕らアンドレッティ・オートスポートは速かった。予選も良かった。次のワトキンス・グレンでも同じように上位で戦いたい。事前のテストにも行くし、楽しみです」と琢磨はシーズン終盤戦の戦いに手応えを感じている様子だった。

4 件のコメント:

  1. アンドレッティが、シボレーエンジンに変えるという話が出てましたが…本当なのでしょうか?琢磨選手が、インディ500に勝っているのに…琢磨選手は、移籍になってしまうのですか?

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  2. 同じく、そこが気になって仕方ありません。

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  3. インディ500を考えるとアンドレッティは最高のチームで、琢磨選手の狙いも見事的中でしたが、アンドレッティは4台も抱えていても結構ダメな時も多くて、昨シーズンアンドレッティ移籍が決まる前はレイホール・レターマン・ラニガンに戻って欲しいと思っていました。
    アンドレッティから移籍ならチップ・ガナッシが最高ですが、琢磨選手がグレアム・レイホールが同等に扱われるなら強力なタッグになると思います。
    しかし、来年エアロが統一されるのでシボレー勢と良い勝負になると思うのですがね。
    例え移籍になるとしても琢磨選手に、日本人にインディ500初チャンピオンをもたらしたアンドレッティには感謝です。

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  4. AAがシボレーならレイホールに移籍してほしい!

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