2017年5月14日日曜日

2017 INDYCARレポート R5 インディーカー・グランプリ Race day 決勝:ウィル・パワーが今季初勝利

Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) 
今週末1度も首位を譲らず!アンラッキーの連鎖を断つ通算30勝
 好事魔多し。予選前のプラクティス2回、予選、決勝日のプラクティス・ファイナル、全部で最速だったウィル・パワー(チーム・ペンスキー/シヴォレー)はレースで勝てないのでは? などど考えていた。しかし、そんな心配は一切不要だった。セカンド・スティントで予選2位だったエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー/シヴォレー)に先行を許したものの、サード・スティントでトップを奪還し、その時点で優勝をほぼ決定付けた。

タイトル争いに名乗りを上げたパワー「今週末に31勝目を挙げたいところだ」

終盤に2番手に浮上して来たスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)が猛追を見せはしたが、6秒以上の大差をつけていたパワーはペースをコントロールし、一時は3.5秒まで縮まった差を最終5ラップで5.2830秒まで広げてチェッカード・フラッグを受けた。今季初勝利。54点のチャンピオンシップ・ポイントを稼ぎ、ランキングは7位から5位へ浮上。68点あったポイント・リーダーとの差も46点に縮まった。金曜に語ったプラン、“今週こそ勝ってチャンピオン争いに加わる”通りのレースとした。
 「ついに素晴らしい1日を手に入れた。チームの全員がハード・ワークをこなして来てくれた。今シーズンはスタートから不運に見舞われ続けた。もう2回ぐらい勝っていておかしくなかった。今日の優勝でポイントをかなり稼げた。それよりも、また勝てたことが嬉しい。確かこれで30勝目のはず。今月末に31勝目を挙げたいところだ」とパワーは上機嫌だった。

カストロネヴェス、パワー封じのタクティクスで臨んだが……
 予選2位だったエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー/シヴォレー)は、作戦を駆使して優勝を目指した。トップ11がレッドをスタート・タイヤに選んでいた中、パワーを含めた10人はユーズドを選んでいたが、カストロネヴェスだけはフレッシュ・レッドを装着してグリッドに着いた。ファースト・スティントから積極的に前に出る意向だったのだ。しかし、パワーがポールからリードを守り、そのまま1回目のピットストップまでを走り切った。エリオとすればフレッシュ・レッドをアドバンテージにパワーの前に出てリードを広げたかったが、思惑が外れた。
 エリオの作戦その2は、パワーより先にピットしてイン&アウト・ラップで頑張り、順位を入れ替えようというもの。フレッシュ・レッドからユーズド・レッドにスイッチ。ソフト・コンパウンドの瞬発力も味方につけてエリオはまんまとトップに躍り出た。第2スティントにパワーはブラック・タイヤをチョイス。ペースが上がらず、エリオはすぐに4秒以上のリードを築き上げた。
 しかし、ここでもエリオの計画に逆風が吹いた。1周目にルーキーのエド・ジョーンズ(デイル・コイン・レーシング)とマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)らにヒットされて遅れを取ったトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)が、セカンド・スティントでリードを広げようとするエリオの前に、少し離れてではあったが、立ちはだかったのだ。

2回目のピットインでパワーに先行を許す

 2回目のピット・インは、逆にパワーが先に行った。そして彼はユーズド・レッドにタイヤを替えて逆襲。するとエリオは、更なる独自の作戦で対抗した。クルーにユーズド・レッド・タイヤ(=3セットあるうちの最後のもの)を用意させ、3スティント目もレッドで走ってトップの座を保とうとしたのだ。しかし、3周早くピットしてパワーはユーズド・レッド・タイヤで渾身のラップを重ね、エリオがピットから出てきた時には、すでに彼の手を届かないほど先を走っていた。
 そして迎えたファイナル・スティント。エリオにはもうブラックしか残っておらず、ペースの上がらない彼をスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ/ホンダ)、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー/シヴォレー)がパス。優勝を狙ったはずが、手にした結果は5位だった。
 打倒パワーが優勝に繋がるというのがエリオと彼の陣営の発想だったが、実際にはそれは大きな誤りだった。開幕戦セント・ピーターズバーグの16番手スタートから6位フィニッシュは良かったエリオだが、ロング・ビーチはポール・スタートから9位。バーバーは予選2位だったが、決勝は4位。フェニックスは今年二度目のポール・ポジションだったがレースは4位と、まだ表彰台がない。

ハンター-レイ、今シーズン初の表彰台獲得
佐藤琢磨も予選22番グリッドから12位フィニッシュ


 3位はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)。8番手グリッドから今季初の表彰台に手を届かせた。
 今日のレースではグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が予選20位から6位フィニッシュ! 佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)も最後尾22番グリッドから10ポジション・アップの12位でゴールした。
 琢磨はレース後、「まだスピードの伸びない問題は完全に解決してはいません。ある程度の速度域に達してからの伸びが悪いという点は判明しましたが、その原因が空力にあるのか、駆動系などの抵抗などにあるのかなど、可能性は幾つもあります。それでも今日のレースでは安定したペース、レッド・タイヤでの十分に戦闘力のあるペースを保てていました。来週始まるインディはシャシーも違うし、空力のパッケージも違います。エンジンは今日使ったものをまた使いますが……。インディ500では同じ問題は出ないはずです。アンドレッティ・オートスポートは初日からグループ・ランができるチームですから、今からとても楽しみです」と話した。

0 件のコメント:

コメントを投稿