アタックする佐藤琢磨。ウォールに2回かするほどの極限の走りだった Photo:INDYCAR (Forrest Mellot) クリックして拡大 |
Jack Amano(以下――):7年目のインディー500で予選は自己ベストとなる4位。今の気持ちは?
佐藤琢磨:今年の予選は攻め込みました。やっぱり、フロント・ロウを目指してチャレンジをしたたので、これまででいちばん気合いの入った予選になっていましたね。総合4番手。勿論、フロント・ロウを目指してたから悔しさもありますけども、ここまでチーム全体がとても良い仕事をしてくれています。僕自身も攻め切ることができたと思います。
――昨日の予選とのコンディションの違いはどうでしたか?
佐藤琢磨:路面温度も気温も今日の方が高く、コンディションは大分違っていました。風も今日はターン1からターン2に向けて強く吹いていました。予選アタック中は全コーナーでツールのアジャストを行いますが、それは勿論今日も変わりませんでしたが、昨日よりもより大きく動かさないとダメでしたね。ターン2ではマシンが完全に流れて行ってしまってました。他のドライバーたちもそれは同じだったと思います。
「昼の状態からかなり元に戻して
他のクルマからの情報を元にチューニングして予選に臨みました」
――今日は昼間にプラクティスがありましたが、そこで行ったことは?
佐藤琢磨:ひどかったですね。そのために、予選のアタック本番がかなりぶっつけ本番になっていたところはありました。マシンはちょっとナーバスでした。昼にトライしたのは、エアロのコンフィギュレーションをちょっと変えてみたのと、それから、足周りもちょっと試したいことがあったんです。良いと思ってエンジニアのギャレットもやったんだけれども、とんでもない方向に行っちゃってましたね。だから1回もフラット(アクセル全開)で走れていないし、2周しかしないでピットに戻ってました。
――予選でのエアロ・セッティングはどうなったのですか?
佐藤琢磨:昼の状態からかなり元に戻して、他のクルマからの情報を元にチューニングしたって感じで、昨日よりもトリムして行きました。
――自分のアタックを待っている間は、ライバルたちの出す数字を逐一報告されていたのですか?
佐藤琢磨:最初の方は自分でテレメトリーで見ていました。アレックスの走りは見ていませんでしたが(*もうコクピットに収まっていた)、フェルナンドのところまでは見てました。コクピットに入ってからも情報は入って来ていました。
「今日はプラクティスでちゃんと走れていなかったので
タイムが出せるかどうかはわかりませんでした」
――ディクソンの前の人まで、つまりはロッシの出したスピードまでは、十分に想定内だったと思います。しかし、ディクソンの1周目は232.5mphオーバーで、4ラップでも232mph台に乗った。ハードルが一気にあがった感じでしたが、それを破るスピードを自分が出せると思っていましたか?
佐藤琢磨:わからなかったですね。だって、今日ちゃんと走れていなかったから。昨日よりスピードが全然速くなっていましたし、コンディションもあるんだろうなと考えてはいました。昨日は湿度が高く、空気が非常に重かったので。ただ、路面温度は今日の方が確実に高くて(*予選1日目の琢磨走行時は摂氏36℃。2日目は43℃)、風向きも結構厳しく、みんなが結構苦労をしているのは見えていました。昨日の方が走り易かったですね。
「フロント・ロウを狙っていたのでリヤウイングは軽いまま行きました」
――ロッシと同じスピードは出せる自信があったでしょう?
佐藤琢磨:まぁそうですね。それは狙って行きました。でも、アレックスの走りでは相当リヤが軽かったということで、最初はギャレットが“リヤ・ウィングをつけて行こう”って言い出して、メカニックたちも動き出したんですけど、それを止めてウィングは軽いままで行くことにしました。僕もフロント・ロウを狙っていましたし、そこは挑戦しました。まぁ、結果的には、うーん、ちょっとやっぱり軽かったのかな? とも思います。ダウンフォースが少なくなっていたから、かなりコーナーで滑ってました。まだデータを全部チェックしていませんが、フロント・ウィングのアジャストが最終的にはうまく行っていなかったのかな? 本当に小さな調整の話なんですけどね。そういう気もします。いずれにせよ、チームメイトからの情報というのは確実にありました。僕らはチームワークでここまで来れていると思います。
――ディクソンの数字を聞いてからコース・インしたんですか? 232mph台平均じゃないとPPはないと。
佐藤琢磨:知らないです。それでも、観客の盛り上がり方と、タワーに表示された番号から彼がトップに立ったことは知ってましたけれども。ちょうどフェンス越しでモニターが見えなかったですし、チームからもその情報はなかったですね。
「相当攻め込みましたよ
スピードが出ているというのは感触でわかりました」
――そうした状況下で1ラップ目に232mphが出た。1ラップ目のマシン、そしてコンディションは非常に良かったのですね?
佐藤琢磨:はい。トップ・ギヤに入れてもいたし、スピードが結構乗っているなというのは、感触でわかってました。2周目へのタイヤのデグラデイションも想定通りでしたが、本当はそれをもうちょっと抑えたかったですね。2周目でクルマはすでにかなり動き出していたので、残り2周半をどうやって持たせるかを頭をフル回転させて、考えながら走っていましたね。
――かなり頑張らないとならなかったんですね?
佐藤琢磨:相当攻め込みましたよ。結果として壁を擦っちゃってますからね、もう限界まで行っちゃってました。もう一度予選をやれるのなら、マシンに関してやりたいところは色々ありますけど、それはもうみんな条件は一緒。あの条件の中で僕らはクルマの持つスピードを出し切ったと思うけど、ウィングが軽かった分デグラデイションも大きく、最後の2周はフラフラでしたね。
――フロント・ロウを逃したとはいえ、満足度の高い予選になったのでは? 昨日と今日、アタックは2回ともかなり良かった。
佐藤琢磨:そうですね。本当にフロント・ロウを狙いに行っていたた。もう、去年までとは比べない方がいいですね。昨日の走りが非常に良かったし、クルマも良かったので、今日は本当にフロント・ロウを狙いに行く、クルマもある意味で攻め込んだセッティングでした。僕自身もフラット・アウトで行った。最後は少しアクセルを戻さないとダメでしたけども。そこまで行けたっていうのは、勉強もできたし経験も積むことができたので、非常に良かったと思いますね。
――ディクソンのポール・スピードを見て、どう思いましたか?
佐藤琢磨:今日のディクソンの走りは驚異的だと思いました。スピードも速く、クルマもブレていませんでした。
「決勝用セッティングもこれまでのところとても良い
それをもう一段高いところへと上げたいです」
――自身の決勝用セッティングの仕上がり具合はどうだと捉えていますか?
佐藤琢磨:いいところまで来てると思います。ただ、条件、環境に合わせるって意味では、今日の昼間に合わせられなかったわけなので、そういう意味ではまだ状況変化に確実に合わせ込めるというところまではまだ行っていないんです。だから、木曜日までの走りで言うと、予選よりも狙ったところに行けているかな、とも思いますけど、今晩エンジニアたちもシッカリとデータを見て、おさらいして、明日のクルマ作りと言う意味では、多分良いところに行けるんじゃないかと思います。
――明日、そして金曜日には具体的に何をしますか?
佐藤琢磨:木曜までに確認して来たトラフィックでのクルマ作りを引き続き行います。ファスト・フライデイ、土日の予選でトリムした状態でのクルマの動きから学ぶことがたくさんあったので、それらをうまく反映して、月曜日のグループ・ランでは決勝に向けたクルマ作りをやるつもりです。決勝用のマシンのデキは、これまでのところとても良いと思っています。チームも色々と手分けをして、プログラムを分けることで非常にレベルの高いところまでマシンを持って来ることができています。それをもう一段高いところへと上げたいですね。
以上
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