2017年5月22日月曜日

2017 INDYCARレポート 第101回インディー500 5月21日 ポール・デイ:今年のポールポジションはスコット・ディクソン

家族とともに3度目のインディー500PPを喜ぶディクソン Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大


ディクソン、232.164mphと頭抜けたスピードでキャリア3回目のインディー500PP
グループ1ではハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が最速

 今日は陽も照りつけて暑いコンディションとなった。グループ1は昨日のアタックで10~31位だったドライバーたちと、昨日は走らなかったザック・ヴィーチ(AJ・フォイト・エンタープライゼス)。セバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング)の18号車は、代役を立てての走りを行わなかった。
 最初に10~33番グリッドを決める予選が行われ、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が最速となる231.442mphを出し、予選10位に。全4ラップを231mph台に乗せたアタックはこれが今年初。ファスト9にはアタック順の不運もあっては入れなかったハンター-レイが意地を見せた。

 次の11位はエド・ジョーンズ(デイル・コイン・レーシング)=230.578mph。ルーキーとしてはかなり良いパフォーマンスを今日も見せた。ベテランのオリオール・セルヴィア(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が12位=230.309mph。ミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ=SPM)が13位=230.271mph。今年のSPMは誰もファスト9に進めなかった。去年のポール・ウィナー=ジェイムス・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)は、今年は17位=229.860mph。アレシンの後ろの14位はグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)=230.253mph、15、16位はマックス・チルトンとチャーリー・キンボール(どちらもチップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)だった。チルトンまでが230mph台に4ラップ平均を乗せた。

予選前にエンジン交換のアロンソ、231mph台でトップに
 そして、いよいよポール・ポジションから予選9位までを決めるファスト9による予選が始まった。夕方の5時。気温はまだ26℃あった。路面温度は46℃。
 遅い順のアタックで、最初は昨日9番手だったマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)。1周目がハンター-レイより遅い230.659mphで、2ラップ目に230を割り込んだ。3、4周目に230mph台に回復。それも、4周目が最速となる230.763mphとチグハグなアタックとなってしまっていた。
 次のカナーンは230mph台が2ラップ、231mph台が2ラップ。マルコより速い230.828mph平均を記録。
朝のプラクティスに臨むアロンソ。このあと、エンジン交換を決断することに Photo:INDYCAR (Bret Kelley) クリックして拡大
  そして話題の人、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン-ホンダ-アンドレッティ)。日中のプラクティス終了後にエンジン交換。その作業後の走行がイキナリ予選アタックという少々リスキーな状況だったが、231.113mph、231.440mph、231.475mphと3周目までスピードを上げて行くアタックとして大歓声を巻き起こした。最終ラップも231.171mph。全ラップ231mph台はチームメイトのハンター-レイに続き、今日ふたり目。もちろん3人走った中でのトップとなった。

パワー、1ラップも231mphに入らず
続く5番手アタッカーのロッシ、平均231.487mphで首位に


 次のパワーは1周目が230.912mphで、スタンドからは、「今年のチーム・ペンスキーはダメか?」といったため息が漏れた。ファスト9進出はこのパワーだけ。他の4人は18、19、22、23位と遥か後方のグリッドしか得られなかった。グループ1予選で彼らのベストが8番手だったのだ(=ファン・パブロ・モントーヤの229.565mph)。
 昨年度ウィナーのアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)はベストが1ラップ目の231.843mphで、4周全部231mph台に乗せて.231.487mph。またトップが変わった。
 JR・ヒルデブランド(エド・カーペンター・レーシング)は、昨日に続いて後半2ラップで失速。230.889mphで暫定3番手となった。

ディクソン、
強烈なアタック!3周目まで232mphオーバー!!

 次は早くも7番手のアタッカー、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)。彼のウォーム・アップ・ラップは225mph台の特に目立った速さのものではなかったが、1ラップ目がスピードウェイ内に表示されると、目を疑った。「232.595mph!」。232mph台に乗っただけでなく、232mph台の後半に一気に突入していた。2、3ラップ目も232mphに乗せたディクソンは、232.164mphという数字とともにトップに躍り出た。気温はマルコが走った時と変わっていないが、路面温度が下がってコンディションが良くなって来ていたのだ。

8番目アタッカーの佐藤琢磨も1周目に232mph!

 
予選アタックにコースインする佐藤琢磨。ディクソンのすぐ後のアタックだけに期待が高まる Photo:INDYCAR (David Yowe) クリックして拡大

  佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)はディクソンの記録を正確に知らないままアタックに臨んだという。しかし、1ラップ目に232.171mphを記録。アンドレッティ勢の最速ラップを記録した。しかし、2、3周目は231mph台、4周目はターン2で壁に軽く接触する走りとなって、記録は231.365mph。ロッシに次ぐ順位となった。

エド・カーペンター、シボレー勢トップの2位に

 最後のアタッカー、昨日トップのエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)も琢磨と同じで1ラップ目は232mph台だった。しかし、ディクソンに対抗する速さを2ラップ目以降も保つことはできなかった。それでも記録は231.664mphで、シボレー勢トップとなる2位。ホンダのフロント・ロウ独占は少なくとも阻んで見せた。
 最終的にフロント・ロウはディクソン、カーペンター、ロッシの並びになり、琢磨は4位。アロンソが5位。6位はヒルデブランド。7、8、9位はカナーン、マルコ、パワーとなった。ペンスキー・ドライバーはファスト9で最下位だったということだ。
 
ディクソン「ダッシュボードの表示が壊れたのかと思った」

 
チームメイトのカナーンからポール・ポジションのコメントを求められるディクソン。カナーンは予選7番手でグリッド3列目に Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大

 「去年の僕は確か227mph台しか出せていなかったと思うが、今年は232mph台で走れた。この差は大きい。素晴らしい予選アタックをお見せすることができた。自分でもとても嬉しい。それにしても、1ラップ目を終えた時にはダッシュが壊れたかと思った。間違った数字が表示されていると思ったよ。自分たちでもあのスピードが出るとは考えていなかったというのが正直なところなんだ。ベストのポジションからスタートを切ることになった。そのポジションをゴールまで保つのは大変だが、レースがとても楽しみになった」とディクソンは語った。ホンダは2年連続のPP獲得で、3連勝を狙う。今シーズンは開幕5戦でシボレーがPPを連取して来ていたが、第6戦目にしてホンダが今季初PPを獲得した。
 カーペンターは、「あれが僕らのマシンの持っている全部だったと思う。3回目のPPが獲得できていたら良かったが、二人のインディ500ウィナーに挟まれたフロントロウ中央なら悪くない。今日の予選とは運をひっくり返して初優勝を手にできたらいい」と話した。
 
 
インディー500日本人予選最高位の佐藤琢磨
「フロント・ロウなら最高でしたが、4位でも満足」

 佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)231.365mphで4位。自己ベスト。そして、2003年の高木虎之介による7位を越えてインディー500での日本人最上位グリッド獲得を果たした。「フロント・ロウを目指していたので、4位で悔しい気持ちもあります。フロント・ロウだったら最高でしたけれども、4位でも僕は満足です。今日も予選で攻めの走りをすることができました。フェルナンドやアレックスの走りからウィングを立てて行こうという意見もありましたが、ウィングを寝かせたままアタックし、最終ラップにはターン2では壁にホイールを接触させました。ほんの少しだけウィングは立てて行った方が良かったのかもしれません。壁をブラッシュしたことでタイム・ロスしました。しかし、フロント・ロウを目指した予選を思い切り戦うことができました」と琢磨は語った。彼の心の奥には、“予選も重要だが、決勝にそれ以上にフォーカスしたい”というのが今年は非常に強くあるように感ずる。それだけ手にしたチャンスの大きさをヒシヒシと感じているということなのだろう。

5位のアロンソ「オーバー・ブースとによる失速があった」

アロンソは初のインディー500で堂々セカンド・ロウを確保 Photo:INDYCAR (Dana Garrett) クリックして拡大
  アロンソは初めてのインディー500予選を終え、5位となって語った。「昼間のプラクティスのマシンはとても良いフィーリングだったのに、ちょっとしたトラブルが発生した。予選出場も危ぶまれる事態となったが、クルーが素晴らしい仕事ぶりでマシンを用意してくれた。素速いエンジン交換だった。予選アタックでは、ターボのオーバー・ブーストによる失速があった。ブレーキを踏んだような急減速があり、シフト・ダウンしてスピード回復をしなければならなかった。それでも、我々の4ラップは非常に速いものになっており、自分としてはその数字など、とても満足の行くものとなった」とアロンソはコメントした。

*セバスチャン・ブルデイの容態
 予選1日目、アタック3周目にクラッシュしたセバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング)は、骨盤に数箇所の骨折があり、左大腿骨の付け根部分も骨折した彼は、昨晩インディアナポリスの病院で手術を受けた。インディーカーのメディカル・ディレクター=ジェフリー・ビロウズ医師によると、「手術は成功でした。今朝セバスチャンに面会して来ましたが、容態はとても良かったですよ」ということだった。
 デイル・コイン・レーシングは今日のプラクティス、予選ともに18号車を走らせなかったが、ブルデイの代役としてジェイムズ・デイヴィソンが起用され、明日のプラクティスから走行開始。決勝に出場することになる。
 デイヴィソンのインディーカー・デビューは2013年のミッド・オハイオで、この時のチームがデイル・コイン・レーシングだった。インディー500は翌2014年にKVレーシング・テクノロジーから初出場し、2015年にはコインに戻って2回目の出場を果たした。ベスト・リザルトは予選/決勝とも2014年に記録した28位/16位。

1 件のコメント:

  1. 流石スコットディクソン貫禄のポールホンダ勢最速はやはりこの人だ、今年のレース振り替えってみてもホンダで一番速いディクソン、チームとしてチップガナッシはセッティング能力抜群アンドレッテイが6台走らせても敵わない、でもロッシは流石去年のウィナー他のコースは冴えないがインディアナポリスは絶対の自信持ってるフロントロー獲得琢磨選手はポールは残念でしたが三台の動きみえる4番田くれぐれもクラッシュには気をつけて下さい、やはり速かったアロンソ、彼に足りないのはタービュランスに巻き込まれた経験が無いこと一台ずつ走る予選は速くてもレースはすぐとなりにマシンがいることF1での接近戦とインディでの接近戦は遠心力が加わるから数倍難しくなる、それとイエローからグリーンに変わる時のタイミングの計りかたマンセルは僅かに遅れたため3位に落ちてしまった、インディでの経験者じゃないアロンソは多文ダメでしょう。

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