2017年4月30日日曜日

フェニックス・グランプリ Day1 その2:「決勝では間違いなく完走したいですね。あまり良いポジションは期待はしていないけど、ベストを尽くします。しっかりと良いデータを残したいし、ランキングも守りたいので頑張ります」

安定したラップを刻むことができたが……
 琢磨のアタック順は6番手。先に走るホンダ勢はチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)、グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)の2人だった。キンボールは平均速度を190mph台に載せたが、レイホールは189mph台止まり。対照的にパワーは194mph台で大差のトップ。パジェノーも193mph台を出して見せた。そして琢磨のアタックがスタート。ウォーム・アップ・ラップは182.202mph。パワーはその時点でもう187mphをマークしており、差は歴然だったが、それでも計測1周目が19.3940秒(=平均189.708mph)、2周目が19.3786秒(=同189.849mph)と安定したアタックとした。安定し過ぎ……とも言えるが、マシンを壊さずに決勝に駒を進めるのが今回の琢磨陣営としてはひとつの大きなテーマであるとも言えた。
佐藤琢磨。ホンダ勢最下位にとどまる

 琢磨の順位は18番手となった。ホンダ勢の最下位で、後ろにいるのはAJ・フォイト・エンタープライゼスの2人と、マシンが不完全な状態だったカーペンターだけだった。琢磨からのフィードバックを受けてダウンフォース量を設定できるなどしたチームメイトたちは、アンドレッティが9番手、ハンター-レイが12番手、ロッシが15番手だった。最上位のアンドレッティでもポール・ポジションのカストロネヴェスとは2ラップ合計で0.694秒の差があった。単純計算で、1周につき0.3秒というのはショート・オーバルではかなり大きな差だ。
 予選後に琢磨に聞いた。

「すべてが厳しい予選でしたが、無事に帰ってきました」

――18位と厳しい結果です。プラクティス時よりは弱まっていたとはいえ、やっぱり風の強いコンディションでした。

佐藤琢磨:難しいコンディションでしたが、初めて帰って来ましたよね。

――何事もなく、無事に。
佐藤琢磨:はい。

――昨年はプラクティスで、今年は合同テストで、大きめのアクシデントを同じターン1~2側で経験している身として、今回は慎重に行かざるを得なかったですね?
佐藤琢磨:まぁ、そうでしょうね。エンジニアも攻め込み切れなかったと思います。特に、今回の僕らは4カー・チームの中ではトップ・バッターだったので、チームからの恩恵もまったく受けることができなかった。そういう意味で、すべてが厳しかったですよね。テストから引きずってることと、今日のプラクティスであれだけ風が強くて砂埃がひどかったので、予選シミュレーションもまともにできなかったし、こういう状態にならざるを得なかったです。予選前にグリッドに並んでいたクルマを見ても、前の方がアタッカーの中でもダウンフォースをつけて行ってた方だった。グレアム・レイホールの方がちょっと軽かったと思います。だから、もうその通りの順位になってますよね。僕らはチーム全体としてあんまり調子が良くないでしょう? 4台揃って前の方へダーンッと行くって感じじゃない。元々そういう厳しい状況にいることもあって、今日の結果は仕方ないですね。

「グループ・ランを全くやっていないので正直どうなるかわからないです」

――今回は予選はとにかく何事もなく終了させることが大きなプライオリティになっていたんですね。

佐藤琢磨:そうです。

――18番グリッドは厳しいスタート位置ですが、どんな戦いを?
佐藤琢磨:ウォーム・アップも今回はありません。グループ・ランがまったくって言っていいほどできていないんで、正直どうなるかわからないです。不安だし、明日、このポジションからのスタートで、簡単に上がって行けるようなコースでもないのでね。去年もレースに参加しているのかどうかも覚えてないぐらいだったから。楽観的にはなれないかな。ただ、少なくともテストでロング・ランは良かったというのは、ひとつポジティヴな材料なので、明日はうまくポジションを上げて行きたいですね。

「恐怖心は残っているので何とかそれを払拭したい」
――琢磨選手の中にフェニックスに対する苦手意識が生まれちゃってるってところはありますか?
佐藤琢磨:ありますよ。全然ある。得意じゃないね。怖い。やっぱり2回あそこ(ターン1~2)で行ってるっていうのは、もう恐ろしい以外の何物でもないですね。特に今日みたいな風の中だとリヤの自信を持つまで確実なものがないと。まずクルマをものすごい安定方向に一度振って、そこから徐々に戻して来るっていうやり方になる。でも、今日のプラクティスでの走り出しは全然車高が合ってなくてフロアをボンボン打ってて、何回も1周毎にピットに帰って来てたじゃない? あれから見ると、そもそものスタート地点が今回は間違ってた。そうした点もあんまり助けにはなってないですね。だから、苦手意識っていうと語弊があるけど、まぁ、そうなんだろうな。

――今までにそういうのってありましたか?

佐藤琢磨:ないですね。嫌いじゃないんですけどね、フェニックスのコース。最初にテストした時のフィーリングも良かったし。全然嫌いじゃないんだけど、あぁいうのが立て続けにあり、去年のレースもまったく自信をつけさせてくれるようなクルマじゃなかったから。スタートのたびに順位を落としてましたよね、去年は。まぁ、苦手っていえば苦手なのかな? ていうか、恐怖心がちょっと残っちゃってますよね。それをとにかく払拭したい。明日は前のクルマに近づいて行くのに対してまだ少しの不安が残っているから、それを1周でも早く取り除いて、トラフィックの中でもクルマがピシッと安定してくれば、“よし”っていうのができるから。そうすれば多分上がって行くことができると思う。
――明日は完走も大きな目標ですか?

佐藤琢磨:そうですね。間違いなく完走したいですね。あまり良いポジションというのは期待はしていないけど、もちろんレースなのでベストを尽くします。しっかりと良いデータを残したいし。今、僕らはランキングもトップ10にいますから、順位を後退させるとしても、それを最小限に食い止めたいので頑張ります。
以上

1 件のコメント:

  1. 琢磨選手のインタビューで初めて聞いた今日は風の強いウインディだからインディ当日も風の強いウインディ500にならない事ねがっています今日も冴える村田節ほらほら危ないですよに続く江戸の前にも江戸がいた笑ってしまいました次も期待しています。

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