2017年4月25日火曜日

2017 INDYCAR 佐藤琢磨コメント R3 ホンダ・インディー・グランプリ・オブ・アラバマ:「最初のスティントの途中からブレーキがおかしくなって、最後はもう右のリヤ・ブレーキは無くなってました。トラブルがなければカナーンのところまでは行けてました」

Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
「スタートは抜きまくりでした」
Jack Amano(以下――):スタートがとても良かったですね。どんな感じでパスしていったんでしょう?

佐藤琢磨:抜きまくりでしたね(笑)。2コーナーで、でした。1コーナーはそのままで、2コーナーでアウトからオーバーテイクして、次は5コーナーかな、一気に行けましたね。

――それで早くもトップ10入りでした。

佐藤琢磨:はい。良かったと思います。

――アレで気分的に一気に乗れて行けたと思うんですけど、最初はユーズドのレッドでしたが、マシンのスピード、フィーリングはどうでしたか?

佐藤琢磨:タイヤ・プレッシャーがうまく合わなかったですね。あっという間にスライドしちゃいました。タイヤ・プレッシャーが上がり過ぎちゃったみたいで、厳しかったです。

「最初のスティントの途中からブレーキがおかしくなりました」

――次は新品のブラックでしたが、走り出してすぐに好タイムが出ましたよね?

佐藤琢磨:そんなに良くはなかった。そこそこでしたね。バランスがあんまり良くなくて、もうハイスピード・コーナーでのオーバーステアに苦しんでたんですけど、最後のスティントでようやくそこらへんは良くなって来てました。フロント・ウィングのアジャストメントと、トラック・コンディションが良くなったことによる相乗効果で。でも、3スティント目まで実は苦しんでいました。それは、最初のスティントの途中ぐらいからブレーキがおかしくなっちゃってたからでした。最後はもう右のリヤ・ブレーキは無くなってました。ブレーキ・バイアスがあっちに行ったりこっちに行ったりとフラフラしてたので、ちょっと最後までゴールできるかわからないぐらいでした。

――それで攻めあぐねてたんですね?

佐藤琢磨:そうでした。本当にものすごく攻めたのは最後のリスタート。あそこでマックス・チルトンを抜くことはできたんですが、ブレーキ・バイアスが狂ってたためにタイヤにフラット・スポットを作っちゃって、それが厳しかった。ものすごいバイブレーションでミラーが見えないぐらいだった。最後はライアンが後ろに来てたし、ストレートで僕らは全然伸びなくて怖かったんですけど、最後までなんとか順位をホールドできて良かったです。

「プラクティスで発生したブレーキトラブルは解決していましたが
レースではブレーキに全く違うトラブルが出てしまった」

――ブレーキのトラブルっていうのは、今週のプラクティスでもありましたが、今シーズンずっと同じトラブルなんですか?

佐藤琢磨:いや、全然違います。今週のプラクティスでのはマテリアルの問題だったようです。ブレーキのミュー、バイトする力が全然違ってた。それはもう完全に新品に換えたことで解決しました。レースでのトラブルは多分クーリングが原因でしょう。一輪だけ焼き切れちゃった感じじゃないかな?

――ブレーキの材質っていうのは、ローター(ブレンボ)とパッド(フリクション・パフォーマンス)のどっちで?

佐藤琢磨:組み合わせみたいです。新品のローターでも、同じ製造ロットかという点とか、パッドもちょっとバラツキがあるみたいです。両方ともブレンボだった去年まででももちろんあったんだけど、今年になってからは、パッドがフリクション・パフォーマンスになって、ブレーキ自体のパフォーマンスがトリッキーになってる。製品の品質、均一性については去年までよりもコンシスタントになるって言われてたんですけど、今回ちょっとまったく原因のわからないフロント・ブレーキのロックに悩まされてたので、パーツを換えた。そうしたら土曜日には良くなっていたので、そこらへんはレースに向けては全然心配してなかったんだけども、レースでは全然違うトラブルが出ちゃったということです。

「今週、ストレートが一人だけ遅かった」
――パッドの性能がバラついてると、1回装着しちゃうと、そのセッションは無駄になっちゃう可能性があるってことですよね?

佐藤琢磨:そうです。そこらへんはもうどうしようもない。あと、何があったのかわからないんだけど、僕らはストレートが遅かった。実は今週ずっと、金曜からその症状に悩まされてました。色々見てもらったけど原因が判明してない。エンジンはHPDに見てもらって、正常だと確認されました。となると、クルマがドラッギーなのか、どっか穴が開いてるのか……一人だけ遅いんです、西も東も。

――え? それはチーム全員じゃなく、琢磨選手だけ?

佐藤琢磨:そうです。あんまりそういうことを言うと言い訳に聞こえるんで言わなかったんだけど、西も東も、朝も夜も……だったから。風向きとかの影響はあるじゃない? そうすると片方では違った結果になったりするものだけど、あっちでもこっちでも自分だけ必ず遅かったから。

――スピードでどのぐらい?

佐藤琢磨:1マイル。どのストレートでも時速1マイル遅かった。だから、1周分をつけ足して行くとコンマ8秒ぐらいになる。そうすると、昨日の予選はライアンの前に行けてたからね。

――ハンター-レイのラップ・タイム、あるいはファステスト・ラップも今日、琢磨選手と同じぐらいでした。

佐藤琢磨:あ、そうでしたか。

「TKには優しくしすぎた……。前に出ていたら状況は変わっていたかも」
――チーム全体として、今週末はあまりマシンの仕上がり具合が高くなかったですね?

佐藤琢磨:はい。ロッシだけ最後のイエローが超ラッキーであそこまで上がったけど。1回目のピットが早目で、最後は燃料が足りなくなるはずだったけど、そこにイエローが出たから。後ろからスタートしたチームとしては、すごく良い作戦でしたね。それで後ろからリカバーができた。

――しかし、フラストレーションの溜まるレースでしたね?

佐藤琢磨:クルマのトラブルさえなければ、TK(トニー・カナーン)のところ(7位)まで行けてたな。TKにはちょっと優しくし過ぎたかなぁ、あそこで一緒にプッシュ・トゥ・パス使って。あん時に彼の前に出てたら、ちょっと状況は変わっていたかもしれない。まぁ、その後のブルデイは、僕がブラックだったのにアッチはレッドで、あっという間にやられちゃったけど……。

――チルトンを抜けないシーンがありましたが?

佐藤琢磨:アレは厳しかった。彼、もう1周ずーっとプッシュ・トゥ・パス使って逃げまくったから。並ぶとこまで行ったこともあった。でも、オーバーテイクするまでは行けなかった。だから、あの前のスティントでの小さなロスによって、ピット後にチルトンの後ろを走ることになった。

「改修したテキサスは横Gがかかる」
――次のロードコースはグランプリ・オブ・インディアナポリスですが、展望は?

佐藤琢磨:うーん、まぁどうでしょう? テストはないし、頑張るしかないですね。フェニックスが終わった、次ですね?

――あ、そういえば、舗装もターン1側のバンクの傾斜角も新しくなったテキサス・モーター・スピードウェイ、テスト行ったんですよね? どうでした?

佐藤琢磨:怖かったね。横Gがかかるんですよ、縦じゃなくて。だから、リヤが持つのかな? って感じ。ターン3~4は縦Gなのに、ターン1側は横G。1に入って行く時はコーナーが緩過ぎて何も起こらないんだけど、2に入って行く時にステアリングを切り増さなきゃならない。その切り足す時にGが縦方向にはなくて、横に行くから……ウォーッてなる。

――あんまり良い改修にはなってない印象ですか?

佐藤琢磨:なんであんな風にしたのかわからない。ただ単にリペイブ(再舗装)だけすれば良かったと思うんだけど。

――路面がサラサラ?

佐藤琢磨:わざとエイジドな感じの舗装にしたみたいですね? 古めかし仕様? 色もグレーなんですよね。それで表面も全然ザラザラ感がなくてツルツルなの。

――全面新舗装なんでしょ?

佐藤琢磨:新舗装なんだけど、なんかアンティーク仕様。レトロ効果。で、僕らが行った時はNASCARのマシンが走ったラインが黒々とあって、バンクの上の方には全然上がれなかった。ターン1~2でセカンド・レーンを使い始めていたけど、セカンド・レーンではスピードを維持できていなかった。サード・レーンは誰も走れなかった。

――では、レースはオーバーテイクが少なくなっちゃう可能性もあり?

佐藤琢磨:ダウンフォース次第でしょうね、インディーカーの設定する……。だから、”もうフォンタナ行こう”って感じです。

――あそこでのレースはおもしろかったですもんね?

佐藤琢磨:一番良かったと思う、あそこのレースが。

――では次、フェニックスも頑張ってください。
以上

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