2016年9月3日土曜日

2016 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第15戦インディーカー・グランプリ・アット・ザ・グレン Day1 プラクティス2:「セッティングは順調に進んでいます。ホウクスワースが今非常にいい状態なので、これからデータを比べて、使えるものは使っていきたいです」

ターン8に新入する琢磨。マシン・セットアップも順調だ Photo:INDYCAR (Bret Kelley) クリックして拡大
「タイヤが非常にコンシスタントだったので良いテストができました」

Jack Amano(以下――):プラクティス2は2時間という長いものでした。

佐藤琢磨:そうですね。珍しいですよね。

――余裕を持って走行に臨むことができましたか?

佐藤琢磨:いや、余裕はないですね(笑)。タイヤのセット数が相変わらず限られているので、どういう風にタイヤをマネジメントして行くかっていうのもひとつの鍵だったんですけど、ただ、タイヤが非常にコンシスタントだったので、2時間をキッチリ使い切って良いテストができたと思います。

――1回目のプラクティスのセッティングを正常進化させて……という走行になっていたんでしょうか?

佐藤琢磨:そうでした。

――着々とトライを積み重ね、セッティングは向上していると見ていいんですね?

佐藤琢磨:はい。

2016 INDYCARレポート 第15戦 インディーカー・グランプリ・アット・ザ・グレン Day1 プラクティス2:午後のセッションも最速はディクソン! ホウクスワースがホンダ勢トップの5位でAJ.フォイト・チームもセットアップは順調!

午前に引き続き快走を続けるディクソン。新装なったグレンの高速ぶりは、彼をして「速すぎて、休む間もない」と語らしめるほどだ Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
ディクソン、ただ一人1分22秒台をマークしてパワーを逆転
 プラクティス2は2時間もの長さがあった。天気は同じく快晴。気温摂氏22度で走行は始まった。最速ドライバーはプラクティス1から変わりなく、午後もスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)だった。セッション終了まで7分というところでウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がトップに立ったが、チェッカード・フラッグが振られるまで1分を切ってからディクソンがただ一人1分23秒を切る1分22秒8740をマークしてトップを奪い返したのだった。

2016 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第15戦 インディーカー・グランプリ・アット・ザ・グレン Day1 プラクティス1:「このコースはスピードが速すぎのでドライバーが自信をつけないとコーナーに飛び込んで行けない。だから、次のセッションから少しずつスピードを上げて行きたいですね」

このセッションは走り込みの途上と語る佐藤琢磨。エアロ・セッティングを修正し、マシンの感触はまずまずだ Photo:INDYCAR (Bret Kelley) クリックして拡大
「5年前とブレーキング・ポイントも進入速度も何もかも全然違う」
Jack Amano(以下――):路面が全面改修されわワトキンス・グレンのスムーズ具合はどうですか?

佐藤琢磨:F1トラックだね。マニクールかと思った。いや、スパみたい。

――ツルツルというかスムーズで、グリップが高いんですよね?
佐藤琢磨:そう。

――2010年に走った時とは大きく印象が違います?


佐藤琢磨:だって、あの年のラップ・タイムより5秒とか6秒も速くなっているんでしょ? もう世界が違い過ぎっちゃって、前に走った時のことは忘れちゃった。コースが次に右に曲がってくのか、左なのかっていうのはわかるけど、もうブレーキング・ポイントも、進入速度も何もかもが全然違うから、危ない、怖いっていうぐらい。

2016 INDYCARレポート 第15戦 インディーカー・グランプリ・アット・ザ・グレン Day1 プラクティス1:最速はスコット・ディクソン! 佐藤琢磨は14番手発進

インナー・ループを攻めるディクソン。“グレン・マイスター”にふさわしく、トップタイムでこの週末をスタート Photo:INDYCAR (Chris Owens)  クリックして拡大
グレン最多勝のディクソン、2番手ブルデイを大きく引き離す
 晴天の下、気温が19℃と涼しいコンディションとなったプラクティス1では、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)がトップ・タイムをマークした。2005年から3年連続優勝=インディーカー最多の3勝を挙げている彼は、開催決定後にインディーカー及びファイアストン・タイヤ用のテストを行い、その後にチームのテストも実施している。今シーズンにこのコースで最も多くのテストをこなして来ているはずの彼は、1分23秒8921をセッション終了間際にマークした。このセッションで彼が走ったのは10周だったが、6周目には1分24秒1281ですでにトップに立っていた。ディクソンは2番手につけたセバスチャン・ブルデイ(KVSHレーシング)に0.3626秒という差をつけてみせた。ブルデイのベストは1分24秒2547だった。

2016年9月1日木曜日

2016 INDYCAR ニュース 8月31日:ジェイムズ・ヒンチクリフのマシンに違反発覚

188周のリードラップという圧倒的な走りを見せたヒンチクリフだったが…… Photo:iINDYCAR (Chri Owens) クリックして拡大
エントラント・ポイント、ドライバーポイント25点の剥奪処分に
 インディーカーは今日、先日テキサス・モーター・スピードウェイで行われたファイアストン600のレース後の車検で、2位フィニッシュしたジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)のマシンが、ルール14.6.8.2.2に違反していたと発表した。インディカーは彼らのエントラント・ポイント、ドライバー・ポイントの両方から25点をペナルティとして剥奪するという。

2016年8月31日水曜日

2016 ジャック・アマノのインディーな一日 8月30日:テキサスといえばバーベキュー

こちらがダウンタウンの「ロックハート・スモーク・ハウス」。店構えはまったくもってシンプルで、さしたる特徴はナシ。州の旗を掲げるのはテキサスじゃ当たり前の光景だし Photo:Masahiko Amano クリックして拡大
ダラスでもトップ10に入るバーベキュー店を探訪
 テキサスといえばバーベキュー。今回は3泊で二つのお店にトライした。最初のはサーキットに行った日に、すぐ近くで。レース翌日にはダラスのダウンタウンの先まで遠征した。オイシかったのは後者。店の名前は"ロックハート・スモーク・ハウス”。

ダラスのダウンタウンの南東、工場街、あるいは倉庫街だったエリアの一角がシャレたエリアに変貌し、アストン・マーティンで来ちゃうお方までいる。駐車事情が悪いので、お金持ちはヴァレー・パーキング利用 Photo:Masahiko Amano クリックして拡大

2016年8月28日日曜日

2016 INDYCAR ニュース 8月27日:2017年のテキサスではインディカーの週末にスタジアム・スーパー・トラックスのレースも開催

会見するロビー・ゴードン。スピード・エナジー・スタジアム・スーパー・トラックスには、EJ.ヴィソ、マット・ブラバム、PJ.ジョーンズなど、インディーカー・ドライバーも参戦。もちろん、ロビー・ゴードンも出走! Photo:Masahiko Amano
 オフロード・レース出身ながらインディーカーでもNASCARのストックカーでも優勝経験を持ち、チーム・オーナーとしても活躍したロビー・ゴードン。彼がプロモーターを務めるシリーズ=スピード・エナジー・スタジアム・スーパー・トラックス・プレゼンテッド・バイ・トラクサスが来年のテキサス・モーター・スピードウェイでのインディカー・レースの週末に開催される。今日、テキサス・モーター・スピードウェイ社長のエディー・ゴッセージとロビー・ゴードンが会見を開き、発表した。
 「テキサスはトラックの大きな市場だ」とゴードン。「テキサスにはコースを飛び越える”クロス・オーバー・ジャンプ”も設置する。我々のトラックはランプを使えば高さ35フィートぐらいまでジャンプできる」。
 ゴードンのシリーズはロング・ビーチ、トロント、セント・ピーターズバーグで開催されて来ており、オーストラリアにも遠征。近い将来にニュージーランドへも市場を拡大することを計画中。「日本でもレースをやりたい」とゴードンは話している。
以上

2016 INDYCARレポート 第9戦ファイアストン600 Race Day 決勝:歴代5番目のクロース・フィニッシュ! 大逆転でグレアム・レイホールが優勝!

レイホール、終盤の大激戦を制して今シーズン初優勝! Photo:INDYCAR (Chris Owens)
残り8周で最後のリスタート! リードラップ6台による激しいバトルに
 248周のレースは71周で赤旗中断。76日後の今日、残りの177周が争われ、大逆転の勝利をグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が収めた。トップが交代したのは最終ラップのターン3~ターン4でだった。 

残り8周、最後のリスタートからの優勝争いは白熱を極める。ヒンチクリフ、カナーン、レイホールのスリリングな接近戦! Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
  今日の最初のリスタートからトップを走り続け、一時は2位以下に10秒以上もの差をつける圧倒的な速さを誇っていたジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)だったが、終盤に重なったフル・コース・コーションでリードが消滅した。
 終盤の優勝争いは、ヒンチクリフ、エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)、エリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)、レイホール、トニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)によるものとなった。
 カーペンターとカストロネヴェスは224周目に接触し、揃ってクラッシュ。この後のリスタート後にはミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)がスピンし、ジャック・ホウクスワース(AJ・フォイト・エンタープライゼス)がそこに突っ込むアクシデント発生。最後のリスタートは、もうゴールまで残り8周の241周目に切られた。

リードし続けたヒンチ、タイヤ無交換で最後のリスタート臨んだが……
 インディーカーのルールには、「残り20周を切ったレースは、周回遅れを後方に退けてリスタートを切るかをインディカーが決定してもよい」というものがあり、今回はそれが適用された。そして、このルールをうまく活用していなかったのがホンダ勢2チームだった。トップを走るヒンチクリフはコースにステイ・アウトし続け、いちばん多い33周を重ねたタイヤで最後のリスタートを迎えた。これに対してレイホールは23周を走ったタイヤを装着しており、カナーンはコーション・ラップ4周だけのタイヤで最後の8ラップ・バトルに臨んだ。
 タイヤだけを見ればカナーンが断然有利と見てていた。しかし、ヒンチクリフのスピードはとうとう最後まで落ちなかった。243周目にはパジェノーもトップ争いに加わって4台が真横に並ぶスリリングなシーンも見られた。
 ヒンチクリフはアウトサイド・レーンを走りながらもカナーンの攻撃を退け続け、トップを守り続けた。レイホールは4ワイドのバトルでカストロネヴェスとカナーンの両方に接触し、一旦後方に下がったが、トップ争いへと復活し、カナーンをパス。 


最終ラップのバックストレッチ先でレイホールがアタック
 
 ホワイト・フラッグはヒンチクリフが先頭で受けた。しかし、逃げ切り優勝まであと一歩のところ、バック・ストレッチの先でレイホールがアタックし、見事にトップを奪い去った。ゴールでの2人の差は0.0080秒。レイホールが大逆転で今季初勝利、テキサスでの初勝利を飾った。これは彼にとってキャリア4勝目(2015年のミッド・オハイオ以来)だ。ホンダにとっては、インディー500に続く今シーズン2勝目で、インディーと同じく1-2フィニッシュとなった。
 優勝者と2位の差=0.0080秒は歴代5番目のクロース・フィニッシュで、テキサス・モーター・スピードウェイでのものとしては、2002年にサム・ホーニッシュJr.がエリオ・カストロネヴェスを下した0.0096秒を抜いてトップに立った。
 レイホールは最終ラップだけをリードして優勝する史上14人目のドライバーとなった。一番最近の例は、2013年のサン・パウロでのヒンチクリフだった(2位は佐藤琢磨)。

「とても楽しいバトルを戦えた」と喜ぶレイホール
落胆のヒンチ「最後はレイホールのニュー・タイヤがものを言った」

 

ウイナーズ・サークルのレイホールのマシンのフロントウイング。接触でカナーン車のエアロが食い込んでいた Photo:INDYCAR (Chris Owens)
  「ヒンチとトニーと、とても楽しいバトルを戦えた。今晩のヒンチはスタートからとても速く、リードを続けていたが、最後の数100ヤードだけリードできなかった。ゴール前の接戦でトニーに接触した件は謝らなくてはならないが、エリオが上がって来て私にぶつかった。私のマシンはピンボールのように弾かれ、トニーのマシンにぶつかったんだ。彼と私がアクシデントにならなかったのは幸運だった。ファンにとっても楽しいレースになっていたと思う。帰ってからみんなにインディカーのレースの凄さ、おもしろさを宣伝して欲しい」とレイホールは喜んでいた。

 ヒンチクリフは、「残念なゴールになってしまった。凄いレースを戦えていたんだが……。僕らのマシンは本当に速かった。スティントを通じて速いマシンを作り上げたいと考え、その通りのマシンにできていた。そういうマシンでなければテキサスでは勝てないからね。しかし、最後の最後でグレアムにパスを許した。彼の方が新しいタイヤを装着しており、それが物を言ったようだ。僕らのチームは本当に頑張ってくれた.素晴らしいマシンを作り上げてくれた。しかし、今日のところはグレアムと彼のチームを讃えよう。最終的に、ファンが楽しんでくれるエキサイティングなゴール・シーンになった」と語った。
 ポイント・リーダーのパジェノーは最後の最後のイエローで1ラップ・ダウンを取り戻し、4位フィニッシュをサルヴェージ。ポイント2位のパワーは8位で、テキサス終了時点での両社のポイント差は28点となった。ポイント3番手には今日のレースで3位フィニッシュしたカナーンが浮上。カストロネヴェスはカナーンとは1点差だがランキング4番手に下がった。

マシンが完全な状態に戻らず、佐藤琢磨は60周でマシンを降りる

 10分間のプラクティスでクラッシュした佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は、スタートのギリギリ前にマシンの修理が終わり、何とかレースに出場することはできたが、マシンのセッティングが完全ではなかったため、走り続けるのは危険と考え、60周を走ったところでマシンを降りた。
 「ポコノで学んだサスペンションのことなど、新しい要素を盛り込んだマシンで戦うつもりでしたが、プラクティスでのクラッシュでマシンがどんなものになっているのかはわからなかった。2時間半をかけてクルーがマシンを直してくれましたが、セッティングが完全ではなく、ノーズが上を向いていました。タイヤの消耗も速く、無線のトラブルも発生。ロードコース用のマシンで走り続けても得られるデータは少ない上、マシンを壊すと残り2戦に悪い影響が出るのでマシンを停めました」と琢磨は状況を話した。
以上

2016 INDYCAR フォト・リポート第9戦 ファイアストン600 Race Day ウォームアップ・プラクティス

Photo:Masahiko Amano
 プラクティスで2周。しかし、加速に1周、次のラップを完了する前に壁にヒットし、惰性でコントロール・ラインをカット……と、ほぼ走ってないに近い状況の佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)。出走20台中でただ1台のみ、スタート前のガレージで修復作業に追われていた。
 壊れたのは右リヤ・サスペンションらしい。ポコノでの決勝1周目にターン3でハード・クラッシュした14号車は、今回はポコノと違うタブを使って用意された。サスペンション取り付けに問題があったのか? 
 アンダーステアを出したようにコースのアウト側へラインを外れて行って壁にヒットしたため、マシンはスピンしておらず、壁へのヒットも激しいものではなかったことから、今回はエンジン交換は不要と判断されている。

2016 INDYCARレポート 第9戦 ファイアストン600 Race Day ウォームアップ・プラクティス:ディクソン、カナーンが1-2位! 

ポイントリーダーのパジェノーは9番手。パワーは16番手だった Photo:INDYCAR (Chris Jones)
佐藤琢磨、2周目にクラッシュ!
 快晴、34℃、路面温度55℃というコンディションで、2グループそれぞれ10分間のプラクティス・セッション2は行われた。
 グループ1の走行開始直後、佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)がメイン・グランド前でクラッシュした。サスペンションが壊れたらしく、コントロールを失ったマシンは火花を散らしながら壁に斜めに突っ込んで行った。ポコノでの決勝に続き、走り出してすぐにクラッシュ。悪い流れから抜け出せていない。

 幸いにも琢磨に怪我はなかった。まだスピードをフルに上げて行く前のアクシデントだったから……ということも影響してのことだろう。それにしても、元々10分間と短いセッションではあったが、琢磨はマシンの確認をほぼ行なえない状況で決勝の再開を迎える。「6月のテキサス戦とは異なるセッティングをトライする」と言っていた彼らとしては、走行時間ほぼゼロではマシンに対する評価を下すこともできない。