2016年6月11日土曜日

2016 INDYCARレポート 第9戦 ファイアストン600 Day1 ファイナル・プラクティス:最速はグレアム・レイホール

レイホール、僅差でニューガーデンを抑える

 ファイナル・プラクティスは夕方6時45分に始まった。全車が一斉に走行するセッションでは、他車のトウが影響するケースが出てくるため、ここでの速さがそのままレースでの好パフォーマンスに繋がるとは限らない。しかも、決勝スタートは夜8時35分で、ファイナル・プラクティスの終了時点よりも更に後。レースの中盤から終盤には気温、路面温度ともに低くなるため、出場チームは想像力を働かせてセッティングを決定する必要がある。
 とは言うものの、ファイナル・プラクティスでのスピード及び順位は、悪いより良い方がマシ。そして、このセッション最速はグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)のものとなった。プラクティス1、予選ともに13番手と振るわなかったレイホール二世だが、全車がレース・セッティングのファイン・チューニングを行うセッションで213.935mphを記録した。2番手は予選5位だったジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)による213.318mph。両者の差は僅かに0.0708秒しかなかった。

2016 INDYCARレポート 第9戦ファイアストン600 Day1 予選:カルロス・ムニョスがキャリア初PP

インディーカー・キャリア初PPのムニョス、インディー500の悔しさをテキサスで晴らすことができるか!? Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
「インディー500のことがあっただけに
僕のクルーたちのためにもうれしいPPだ」

 オーバルで速さを見せ続けてきているカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)が、キャリア初となるポール・ポジションをテキサス・モーター・スピードウェイで獲得した。バンクの急な1.455マイル・オーバルを2ラップする予選で彼は217.137mph平均をマークした。

Photo:INDYCAR (Chris Jones)
  インディー・ライツで戦っていた2013年、インディー500にスポット参戦したムニョスは、いきなり予選2位を獲得! レースでもあと一歩で優勝の2位フィニッシュを記録した。そして今年、ムニョスはインディー500でまたも優勝争い。燃費作戦を使ったチームメイト、アレクサンダー・ロッシに敗れる2位となった。デビューから4シーズン目、レギュラーとなって3シーズン目のPP獲得を彼は喜んだ。これでインディー500で負けた悔しさは、少しは晴れるだろうか。
 「あのスピードを出せるとは正直考えていなかった。自分たちは216mph台だろうと想定していた。初PPはもちろん嬉しいよ。ヴェライゾンのPPウィナー用の帽子がカッコいいと思っていたしね。また、インディーでのことがあった後だけに、僕のクルーたちのためにも嬉しいPPだ」ともムニョスは語った。

2016 INDYCAR佐藤琢磨コメント 第9戦ファイアストン600 Day1 プラクティス1:「ハイ・バンクのテキサスは車高が全然合わなくてダメでした」

Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
「テストに来てないっていうのは大きかったですね」

Jack Amano(以下――):イエローで30分ぐらい走れなかったプラクティス1、どうでしたか?

佐藤琢磨:いやぁ、ちょっとテストに来てないっていうのは、やっぱり結構大きかったですね。少し前までの、同じシャシーを使い続けている時代だったら前年度、前々年度のデータがあるので、コースに来る時にはもうクルマがほとんどできていて、ちょっと調整するだけでよかったんだけど、やっぱり今年は去年からエアロ・パッケージも変わっているし、ドーム・スキッドもついているし、もうフィロソフィが全然変わっちゃったので、確かに、インディー500である程度のマッピングを含めて、クルマ作ればどうなるというのはわかったとはいえ、やっぱりハイ・バンクのテキサスに来ると負荷のかかる方向が違う。ここではバンクに入ってから垂直にかかるので、車高が全然合わなくて、最初は1周走ってピット、次は2周走って入って、また2周走って入って……と全然ダメでしたね。ウチとデイル・コイン・レーシングだけでしょ、エアロ・テストに来なかったのって。それ意外のチームは1日のテストをやっている。その違いがすごく大きかった。ウチらはその差を追っかけている間にプラクティスが終わっちゃった感じ。だから、セッティングの方向性を大きく振って方向性を見ただけで全然まとまってない。

2016 INDYCARレポート 第9戦 ファイアストン600 Day1 プラクティス1:テキサスは22台エントリー。プラクティス1最速はトニー・カナーン

トップタイムをマークしたカナーン 2番手はディクソンとチップ・ガナッシが1-2。キンボールも4位につけている Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
天候:ド快晴
気温:31~32℃
風:ターン2からターン3の方向へ、やや強め

今シーズンもいよいよ後半戦に突入

 2016年のヴェライゾン・インディーカー・シリーズは、今週末から後半戦に入る。テキサス州の双子都市ダラス/フォート・ワース郊外のテキサス・モーター・スピードウェイでのファイアストン600が今シーズンの9戦目として開催されるのだ。
 エントリーは22台で、新カラーリングは以下の3台があった。 

カストロールEDGEカラーのマシhンをお披露目するロッシ Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
  インディー500ウィナーのアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)の98号車は、カストロール・オイルがサブ・スポンサーからメイン・スポンサーへとステップアップ。インディー前の黒ベースに戻ったが、エンジン・カバーに小さく載っていたロゴが一気に大型化され、サイド・ポッドにもカストロール・エッジのロゴが踊る。
 ジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)は今回から薄めの緑を基調としたカラーリングにスイッチ。ちょっとカナブン的。
 ファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)は、エリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)が一度走らせたヴェライゾンのhum・バイ・ヴェライゾンのカラーリング。

2016年6月7日火曜日

2016 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第7・8戦 シボレー・デュアル・イン・デトロイト レース2 決勝:「昨日のレースよりは今日のマシンはずっと良くなっていましたが、昨日のレースの状態が悪かったので、他も良くなってた分、苦しかったですね」

スタートでロッシに突っ込まれるアクシデントを克服し、粘りの走りでトップ10フィニッシュ Photo:INDYCAR (Bret Kelley) クリックして拡大  
「雨を期待して、ブラックタイヤでスタートしました」

Jack Amano(以下――):レース1はレッド・タイヤでスタートでしたが、レース2はブラックをスタート用に選びましたね? 大半のチームがレース2でもレッドをチョイスしてましたが。
佐藤琢磨:そうでした。雨を期待して。雨のスタートになれば、もうレッドでもブラックの両方を最低2周使う義務はなくなる。レースの途中から雨が降るような状況になったら、もうレッドは使わなくていいわけです。ブラックでスタートして、レイン・タイヤに換えて……となりますから。

2016年6月6日月曜日

2016 INDYCARレポート 第7・8戦 シボレー・デュアル・イン・デトロイト Race 2:ウィル・パワーが久しぶりの優勝

1年ぶりにあのストリート無敵のパワーが甦った! Photo:INDYCAR (Chiris Owens) クリックして拡大
トップ快走のカストロネヴェス、コーションのタイミングに泣く

 昨シーズンの中盤から今朝の予選まで、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は幾度となく不運に見舞われ、自らにプレッシャーをかけ過ぎたり、マシンをプッシュし過ぎて自ら穴に落ちることも多かった。去年のグランプリ・オブ・インディアナポリスで勝って以来、もう1年以上も勝利から遠ざかっていた。そんな彼がデトロイト・グランプリのレース2で優勝を飾った。

2016 INDYCARレポート 第7・8戦 シボレー・デュアル・イン・デトロイト Race 2 スタート・タイヤ:グリッドでチェック! 佐藤琢磨はプライマリー選択

1 パジェノー new オルタネート
2 ハンター-レイ new オルタネート 

3 カストロネヴェス used オルタネート x3 左フロントのみNEW
4 ディクソン new オルタネート
5 アレシン new オルタネート
 

6 カナーン used オルタネート
7 レイホール new オルタネート
8 パワー new オルタネート

9 ホウクスワース used オルタネート  
10 モントーヤ new プライマリー
11 キンボール new プライマリー
 
12 ブルデイ new オルタネート 
13 ムニョス used オルタネート
14 ヒンチクリフ new オルタネート
15 シャヴェス new オルタネート 

16 佐藤 used プライマリー
17 ニューガーデン new プライマリー 

18 ロッシ used オルタネート
19 チルトン used オルタネート
20 ピゴット used オルタネート
21 デイリー used オルタネート

22 アンドレッティ new プライマリー

*レース2でもスタートでオルタネート・チョイスが大多数。レース1の1人ほど極端な偏りにはならなかったが、プライマリー選択は5人で、その中に佐藤琢磨が!

2016 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第7・8戦 シボレー・デュアル・イン・デトロイト Race2 予選:「ブラックに変えた途端雨が降り始めて、タイム・アップができませんでした」

「急遽、レッドで走り出すことにしました」
Jack Amano(以下――):レッド・タイヤで走り出し、ブラック・タイヤにスイッチしてアタックという予選になってましたが?

佐藤琢磨:本当はブラックで出てって、次にレッドっていう作戦だったんですけど、グループ1の予選でポール・ポジションを獲ったタイヤがブラックだったり、最後にレッドで速いラップを記録したのが一握りの人たちだったので、急遽切り替えて、レッドで走り始めることになったんです。ところが、ブラックにした途端に雨が降り出しちゃって……。全然タイム・アップができませんでしたね。最終ラップだけはタイムが少し良くなりましたけど、イエロー・フラッグが出てたのでスロー・ダウンした。

2016 INDYCARレポート 第7・8戦 シボレー・デュアル・イン・デトロイト Race 2:レース2もポール・ポジションはシモン・パジェノー

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パジェノー、予選ではレース1からの好調を維持
 シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)は、2レース続けて不本意な成績に終わってもまだ良い流れを何とか保っているようで、デトロイトでは2レース目の予選でもポール・ポジションを獲得した。しかも、よりラバーの乗っていない、先に走るグループ1であったのにポール・ポジション。それはグループ2の予選セッション途中から雨が降り出したからだった。今日の予選は雨が心配されて15分早くスタートしたが、15分では両セッションとも完全ドライ・コンディションを保てなかった。

2016 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第7・8戦 シボレー・デュアル・イン・デトロイト Race 1:「戦略的にも負けてしまいました。もっとクルマを速くしないと厳しいですね」

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「最終的に僕らが考えていたような展開にはなりませんでした」
Jack Amano(以下――):スタートを前に雲行きが怪しくなりましたが、チームとしては、どういう読みで、どういった対処、対策をしたんでしょうか?
佐藤琢磨:レーダーを見ながら、スタート前40~50分前から、「レース中に雨が降るのか?」と考えましたが、結果的には小雨で終わってしまって、レースには影響がなかったですね。僕らとしては、降ったら降ったでということでした。

2016年6月5日日曜日

2016 INDYCAR レポート 第7・8戦 シボレー・デュアル・イン・デトロイト Day2 レース1決勝:セバスチャン・ブルデイがレース1を制す

昨年のデトロイトのレース2以来の勝利は、ボビー・アンサーに並ぶ通算25勝目 Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
ミシガン州デトロイト
天候:曇り 一時 小雨
気温:24~26℃


KVSHレーシング、スタート後4周でピットイン
レッドからブラックにタイヤチェンジする作戦をチョイス


 スタート後4周でレッド・タイヤをブラック・タイヤにスイッチするのは、ギャンブルと呼んでいい作戦だった。そのタイミングでピットすると、3ストップでゴールまで走り切るのが難しいからだ。
 しかし、ブルデイとKVSHレーシングはその作戦を選んだ。レッド・タイヤのパフォーマンスが悪いと見ていたことと、トップ・グループとは違った場所を走り続けることで、コース上でのタイム・ロスを減らしたかったのだ。

2016 INDYCAR レポート 第7・8戦 シボレー・デュアル・イン・デトロイト Race1 :グリッドでスタート・タイヤをチェック! 2016デトロイト レース#1

ニューガーデンのみリヤ・タイヤ・ランプ上のサイド・ポッド・エクステンション的なウィング……というか何というか……装着せず Photo:Masahiko Amano
シボレー勢は全車ニュー・フロントエンドプレートを使用
1 パジェノー newオルタネート
2 カストロネヴェス newオルタネート

3 モントーヤ usedオルタネート 右フロントだけnew
4 ヒンチクリフ usedオルタネート

5 ムニョス newプライマリー
6 ディクソン usedオルタネート 右フロントだけnew
7 カナーン usedオルタネート
8 キンボール usedオルタネート
9 パワー usedオルタネート
10 レイホール usedオルタネート
11 佐藤 usedオルタネート


2016 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第7・8戦 シボレー・デュアル・イン・デトロイト Day2 プラクティス2:「昨日よりマシンが全然良くなっていました」

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「ブラックはスピードが乗り切らなかったけれど
今からデータを見て、マシンを良くします」

Jack Amano(以下――):ブラックとレッド、両方のタイヤをトライしましたね?
佐藤琢磨:昨日よりもレッドに関しては全然良くなっていました。ブラックはスピードが乗り切らなかったけれど、今からデータを見て、マシンを良くします。

――レッドのスティントは短くする作戦ですか?

佐藤琢磨:いや、そうとは限らない。昨日よりは全然良いから。もちろん、レッドのスティントの方が短くはなると思いますけど。昨日よりはマシンが全然良くなっていた。それが今のプラクティスでした。
以上

2016 INDYCAR レポート 第7・8戦 シボレー・デュアル・イン・デトロイト Day2 プラクティス2:ジョセフ・ニューガーデンがトップ

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3人が1分15秒を切るラップ・タイムをマーク

 レース#1を前にして行われたプラクティス2は、少し風こそ吹いていたものの、昨日同様に暑さの中で行われた。午前中だというのに、走行開始時刻で気温は26℃と、昨日の予選と同じレベルに達していた。
 30分間のセッションで最速ラップとなる1分14秒6464をマークしたのは、昨年バーバー・モータースポーツ・パークでキャリア初優勝し、2勝目をトロントのストリートで挙げたジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)だった。彼の予選順位は14位と、トップまで上がって行くのは簡単ではなさそうだが……。

2016 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第7・8戦 シボレー・デュアル・イン・デトロイト Day1 予選:「ユーズドのブラック・タイヤで1分16秒フラットを出して、ニュー・タイヤからコンマ3秒落ちだからマシンの状態は決して悪くないですが、レッド・タイヤが1周持ちませんでした」

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「予選1時間前にセットアップを変更しました」
Jack Amano(以下――):第1セグメント、ブラック・タイヤで出て行って、すごくいいタイムが出ていましたね。
佐藤琢磨:神でしたね、神(笑)。

――あのタイムでQ2進出ができちゃったんですよね?
佐藤琢磨:そうでした。

――レッドを投入しないでもいいぐらいだった。

佐藤琢磨:はい。レッドを投入してブッちぎる予定だったんだけど、ブッちぎられた(笑)。