レイホール、終盤の大激戦を制して今シーズン初優勝! Photo:INDYCAR (Chris Owens) |
248周のレースは71周で赤旗中断。76日後の今日、残りの177周が争われ、大逆転の勝利をグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が収めた。トップが交代したのは最終ラップのターン3~ターン4でだった。
残り8周、最後のリスタートからの優勝争いは白熱を極める。ヒンチクリフ、カナーン、レイホールのスリリングな接近戦! Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大 |
終盤の優勝争いは、ヒンチクリフ、エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)、エリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)、レイホール、トニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)によるものとなった。
カーペンターとカストロネヴェスは224周目に接触し、揃ってクラッシュ。この後のリスタート後にはミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)がスピンし、ジャック・ホウクスワース(AJ・フォイト・エンタープライゼス)がそこに突っ込むアクシデント発生。最後のリスタートは、もうゴールまで残り8周の241周目に切られた。
リードし続けたヒンチ、タイヤ無交換で最後のリスタート臨んだが……
インディーカーのルールには、「残り20周を切ったレースは、周回遅れを後方に退けてリスタートを切るかをインディカーが決定してもよい」というものがあり、今回はそれが適用された。そして、このルールをうまく活用していなかったのがホンダ勢2チームだった。トップを走るヒンチクリフはコースにステイ・アウトし続け、いちばん多い33周を重ねたタイヤで最後のリスタートを迎えた。これに対してレイホールは23周を走ったタイヤを装着しており、カナーンはコーション・ラップ4周だけのタイヤで最後の8ラップ・バトルに臨んだ。
タイヤだけを見ればカナーンが断然有利と見てていた。しかし、ヒンチクリフのスピードはとうとう最後まで落ちなかった。243周目にはパジェノーもトップ争いに加わって4台が真横に並ぶスリリングなシーンも見られた。
ヒンチクリフはアウトサイド・レーンを走りながらもカナーンの攻撃を退け続け、トップを守り続けた。レイホールは4ワイドのバトルでカストロネヴェスとカナーンの両方に接触し、一旦後方に下がったが、トップ争いへと復活し、カナーンをパス。
最終ラップのバックストレッチ先でレイホールがアタック
ホワイト・フラッグはヒンチクリフが先頭で受けた。しかし、逃げ切り優勝まであと一歩のところ、バック・ストレッチの先でレイホールがアタックし、見事にトップを奪い去った。ゴールでの2人の差は0.0080秒。レイホールが大逆転で今季初勝利、テキサスでの初勝利を飾った。これは彼にとってキャリア4勝目(2015年のミッド・オハイオ以来)だ。ホンダにとっては、インディー500に続く今シーズン2勝目で、インディーと同じく1-2フィニッシュとなった。
優勝者と2位の差=0.0080秒は歴代5番目のクロース・フィニッシュで、テキサス・モーター・スピードウェイでのものとしては、2002年にサム・ホーニッシュJr.がエリオ・カストロネヴェスを下した0.0096秒を抜いてトップに立った。
レイホールは最終ラップだけをリードして優勝する史上14人目のドライバーとなった。一番最近の例は、2013年のサン・パウロでのヒンチクリフだった(2位は佐藤琢磨)。
「とても楽しいバトルを戦えた」と喜ぶレイホール
落胆のヒンチ「最後はレイホールのニュー・タイヤがものを言った」
ウイナーズ・サークルのレイホールのマシンのフロントウイング。接触でカナーン車のエアロが食い込んでいた Photo:INDYCAR (Chris Owens) |
ヒンチクリフは、「残念なゴールになってしまった。凄いレースを戦えていたんだが……。僕らのマシンは本当に速かった。スティントを通じて速いマシンを作り上げたいと考え、その通りのマシンにできていた。そういうマシンでなければテキサスでは勝てないからね。しかし、最後の最後でグレアムにパスを許した。彼の方が新しいタイヤを装着しており、それが物を言ったようだ。僕らのチームは本当に頑張ってくれた.素晴らしいマシンを作り上げてくれた。しかし、今日のところはグレアムと彼のチームを讃えよう。最終的に、ファンが楽しんでくれるエキサイティングなゴール・シーンになった」と語った。
ポイント・リーダーのパジェノーは最後の最後のイエローで1ラップ・ダウンを取り戻し、4位フィニッシュをサルヴェージ。ポイント2位のパワーは8位で、テキサス終了時点での両社のポイント差は28点となった。ポイント3番手には今日のレースで3位フィニッシュしたカナーンが浮上。カストロネヴェスはカナーンとは1点差だがランキング4番手に下がった。
マシンが完全な状態に戻らず、佐藤琢磨は60周でマシンを降りる
10分間のプラクティスでクラッシュした佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は、スタートのギリギリ前にマシンの修理が終わり、何とかレースに出場することはできたが、マシンのセッティングが完全ではなかったため、走り続けるのは危険と考え、60周を走ったところでマシンを降りた。
「ポコノで学んだサスペンションのことなど、新しい要素を盛り込んだマシンで戦うつもりでしたが、プラクティスでのクラッシュでマシンがどんなものになっているのかはわからなかった。2時間半をかけてクルーがマシンを直してくれましたが、セッティングが完全ではなく、ノーズが上を向いていました。タイヤの消耗も速く、無線のトラブルも発生。ロードコース用のマシンで走り続けても得られるデータは少ない上、マシンを壊すと残り2戦に悪い影響が出るのでマシンを停めました」と琢磨は状況を話した。
以上
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