2016年7月18日月曜日

2016 INDYCARレポート 第12戦ホンダ・インディー・トロント:ウィル・パワーが運も味方に優勝! 佐藤琢磨、今季ベスト・タイの5位!

ラッキーなピット・タイミングで今シーズン3勝目! ランキングポイントもパジェノーと47ポイント差に接近 Photo:INDYCAR

ポール・ポジション・スタートのディクソン圧勝の展開が
58周目のフルコース・コーションで一変!

 予選4位だったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。今日はどうやってもポール・スタートのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)に対して勝ち目がなさそうな序盤を戦っていた。
 しかし、2回目のピット・ストップのタイミングが絶妙だった。エントラント中で最も幸運だった。58周目、彼がピット・レーン上にいる間にジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)が縁石の壊れ始めていたターン5でクラッシュ! 4回目のイエロー発生。
 ディクソンらがフルコース・コーション下で60周目を終えるところでピットすると、パワーより16周前にピットしていたトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)がトップ。パワーが2番手となった。そして、カナーンはどう頑張っても最後まで燃料が持つはずがなかった状況から、悠々と周回を重ねたパワーが85周のレースの70周目にして初めてトップに立った。

パワー、ラスト1周でのリスタートも、危なげなく制す
 もうゴール目前というところでジャック・ホウクスワース(AJ・フォイト・エンタープライゼス)が同じくターン5でクラッシュ。バトルしながらそのコーナーへと飛び込んで来たモントーヤがタイヤ・バリアに突っ込むカタチ(そんなにハードにではなかったが……)になり、5回目のイエロー。セイフティ・クルーの奮闘があって最終ラップにグリーン・フラッグが振られ、何とかイエローでのフィニッシュは避けられた。それは2番手に浮上して来ていた予選2位のエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)に最後のチャンスを与えることになったが、パワーは先頭を走る優位を上手に使い、チームメイトを突き放してゴールまで逃げ切った。

パワー、ランキングでもパジェノーに接近!

 デトロイトのレース2で今季初優勝し、中断中で結果の出ていないテキサスを挟んだ後にロード・アメリカで優勝。アイオワでも終盤の追い上げで2位フィニッシュ。この4戦でシーズン開幕直後のシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)を上回る成績=優勝3回2位1回(!)を達成。デトロイトのレース1でトップを走りながらホイール・トラブルで20位フィニッシュという散々な結果となった時、もう彼に今シーズンはタイトルのチャンスなど絶対ないだろう、と彼自身でさえ考えたはずだが、あのレース後に124点もあったパジェノーとの差は、今日、トロントでのレースを終えた時点で47点にまで縮まっている。もちろん、パワーがランキング2位につけている。残るは中断中のテキサス含め5戦。チャンピオン争いは再び予測のつかない状況に舞い戻りつつある。ポイント3番手はカストロネヴェス。パジェノーとは74点差で、パワーとは27点差。ランキング4番手はディクソンがカストロネヴェスと9点差につけている。


予選20位からスタートの佐藤琢磨、今季ベスト・タイの5位でフィニッシュ

 今日は佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は、予選20位から最も多くのポジション・ゲインを果たし、5位フィニッシュした。2回目のピット・タイミングをイエロー中に行なった作戦が大正解だったことも大きかったが、ブラック・タイヤでもレッド・タイヤでもコンスタントな走りを実現できるマシンとできていた点が好走を支えた最も大きな理由となっていた。土曜日に大幅パフォーマンス・ダウンした琢磨陣営だったが、レースに向けて見事に体制を建て直し、最後はミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)の執拗な攻撃を退け続け、今季ベスト・タイのトップ5入りを達成した。チームメイトのジャック・ホウクスワースも大健闘。トップ10フィニッシュが可能なポジションを終盤にもキープしていたが、残り5周で、縁石の壊れてきていたターン5でクラッシュしてしまった。彼のアクシデントによるイエローが琢磨の燃費の状況を楽にした……という面もあった。
以上

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