2016年7月18日月曜日

2016 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第12戦ホンダ・インディー・トロント Day2 予選: 「自分たちのパフォーマンスはいいと思っていましたが、初日のプラクティスとは大きく状況が変わってしまいました」


Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
「結果的にはブラックでもレッドでも大幅に伸び悩みました」
Jack Amano(以下――):予選ではレッド・タイヤで苦戦をしていたようですね?
佐藤琢磨:いや、予選全般でした。

――ブラックでも、レッドでも?
佐藤琢磨:はい。両方で苦戦してました。

――朝のプラクティスから何を得て、どのように予選を迎えたんですか?
佐藤琢磨:昨日のプラクティスでは、みんなが最後にニュー・タイヤで走ってました。だから、今朝のプラクティスでは数周を走ったタイヤだったと思います。それに対して、僕らは昨日ずっと使っていたタイヤ、20周くらい走ったものを使って1分1秒台のラップ・タイムが出せていたので、昨日から今日にかけての自分たちのパフォーマンスはいいんだな、と最初は思ってました。その後、色々と昨日試したかったことをやって、そこからまったく伸びなかったですね。ニュー・タイヤを入れても全然スピード・アップしなかったので、これは何かおかしい……となりましたね。マシンはバランスもあんまり良くなかったですし。予選に向けては、何が悪かったのかがわかったと思ったので、そこの部分を変更していったんですけど、結果的にはブラックでもレッドでも大幅に伸び悩んで、初日のプラクティスとは大きく状況が変わってしまっていました。

ターン1のプリンセス・ゲート前を行く佐藤琢磨 Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
「周りがどんどん速くなって、自分たちだけが取り残されてる」
――初日の良かったフィーリングがどっかに行っちゃったんですね?
佐藤琢磨:そうでしたね。何だろう? 周りがどんどん良くなってって、自分たちだけが取り残されちゃってるカンジ。

――クルマのフィーリング自体も悪くなっている。
佐藤琢磨:結果的にはそうですね。ラップ・タイムが悪ければ、フィーリングが良くても意味がないので、結局ラップ・タイムを求めて行きますよね。そうすると、マシンが良くなくなって行く。

――予選では、レッドでもレッドっぽくないぐらいのラップしかできていなかった。
佐藤琢磨:失礼な!(笑)

――すみません。

佐藤琢磨:あれは実は赤いサイド・ウォールのブラック・タイヤだったんですよ(笑)。

――ドライビングの部分でタイムをロスした……とかもなく?
佐藤琢磨:真面目に走ってますから。

――それでもラップ・タイムがよくならないというのは、かなりもどかしい状況ですね?
佐藤琢磨:ショックでしたね。

――クルマが曲がって行かなかった?

佐藤琢磨:いや、両方ですね。グリップ感がない。

「今年のトロントはグリップとマシン・バランスの両方がピタッと合えば
タイムが出るけど、そうでないと一気にタイムがダウンする」


――チームメイトのジャック・ホウクスワースは、13位で惜しくもセカンド・セグメント行きを逃しましたけど、そんなに悪くはなかった。琢磨選手の走ったグループ2の方が顔触れがシビアだったということもありましたが、ジャックとの比較ではどうなってるんでしょうか?
佐藤琢磨:僕の方が金曜からずっとリードしてました。昨日の最後、彼はニュー・タイヤを使って、僕は使わなかったから、僕が使ってれば速く走れていただろう……というところはありました。それが、今日に入って大分差が出始めて来ていますよね。プラクティス3に関しては、僕らに小さな問題があたので、それをクリアすれば大丈夫だろうっていうのがあったんですけど、結局バランスを合わせ込まないとタイムが出ない。トップを見ても、まぁ59秒台っていうのは驚異的ですけど、例えばスコット・ディクソンとトニー・カナーン、チャーリー・キンボールとマックス・チルトンの4人は同じチームなのに結構なタイム差がありましたよね。チーム・ペンスキーを見ても、エリオ・カストロネヴェスはQ3で59秒台に入ってたけど、他はコンマ3秒とか離されてた。チーム別で見れば、彼ら2チームはそれなりに上位に固まっていますけど、結構タイム差がある。いつもみたく100分の1秒とか1000分の1秒の差じゃなくて大きな差ができちゃってる。何かもうホントに、グリップとマシン・バランスと、両方がうまくピタッと合えばタイムが出るんだけど、それ以外の状況では一気にタイムがダウンする。今年のトロントではそういう傾向が見て取れますね。そういう意味では、ジャックの方で好かったものをコッチに移したからって良いワケではなくて、このクルマでシッカリと合わせ込まないといけない。昨日の僕らはタイヤを温存しなきゃいけないシチュエーションだったていうこともあるけど、使おうと思えば使えたワケだから、そうやってちゃんとベース・ラインを見るっていうのをやらなかったことが、今日に響いちゃったっていうのもあるのかな。

「明日のウォームアップでの挽回を目指していきます」
――明日に向けてですが、今もう何をすべきか、どんなセッティングにするかといった考えはまとまっているんですか?

佐藤琢磨:まずは今日の予選がなんで駄目だったのかを徹底的に見つけなくちゃいけない。今、それをこれからやるところです。

――じゃぁ、明日はまた全然違う発想でのセッティングを試す可能性もある?
佐藤琢磨:違う可能性もあるけど、とにかく今日の予選で使ったものではない。プラクティスまでから予選に向けて、やってなかったことをトライしてたので、それは戻します。やったことがなかったのに予選に投入したのは、机上の計算では良くなるというものだったから。でも、やっぱり実際にテストをして、いま言ったように非常に細かい合わせ込みをやらないと駄目だってことですよね。コレとコレとコレは良いよねって言って組み合わせてみても、小さなズレがすごい大きなタイム差を生むことになっちゃっているようなのでね。例えば、連続コーナーのターン8、9、10、11は、もちろんひとつひとつのコーナーのキャラクターは違うとはいえ、基本的には似てるんですよね。だからアソコで良くないと、それでも1個のコーナーでコンマ1秒ぐらい損しちゃう。一般的なコーナーだったら、何とかブレーキングで姿勢をごまかして……とかできるけど、ターン8~11ではコンマ1秒ずつ、あそこだけでコンマ4秒とかプラスされちゃってる。そういうコーナーがトロントは非常に多いんです。ターン1、2は複合コーナーだし、ターン3~4も3で突っ込み過ぎちゃうとターン4にスムーズに上がって行けない。唯一ターン5ぐらいかな、単独で何とかできるコーナーは。でも、5の脱出スピード次第でターン6も変わって来ちゃう。それに、各コーナーのグリップ感がトロントでは違うし、非常にバンピーなので、絶対的なバランスとかグリップだけじゃなくて、いかに扱い易いマシンになっているかっていうのも重要なんですよね。

――特にレースでは、ってことですね?
佐藤琢磨:はい、そうです。

――では、明日のウォーム・アップでの挽回がレースで戦うためには必要ってことですね?
佐藤琢磨:それを目指して行きます。
以上

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