スタートでロッシに突っ込まれるアクシデントを克服し、粘りの走りでトップ10フィニッシュ Photo:INDYCAR (Bret Kelley) クリックして拡大 |
Jack Amano(以下――):レース1はレッド・タイヤでスタートでしたが、レース2はブラックをスタート用に選びましたね? 大半のチームがレース2でもレッドをチョイスしてましたが。
佐藤琢磨:そうでした。雨を期待して。雨のスタートになれば、もうレッドでもブラックの両方を最低2周使う義務はなくなる。レースの途中から雨が降るような状況になったら、もうレッドは使わなくていいわけです。ブラックでスタートして、レイン・タイヤに換えて……となりますから。
だから、願わくば、周りがレッドだから先にピットして、自分たちはブラックで長く走ってレースをリードして、そこで雨が来て……みたいな展開も考えてのことでした。どっちに転んでもブラックでのスタートはよかったと思うんですけど、完全なドライ・コンディションがゴールまで続く展開になると、ちょっと運も味方してくれないとうまく行かない戦略になりますけど、周りが昨日に引き続きレッドをスタート・タイヤに選ぶケースが圧倒的に多かったので、周りと違う戦略っていうのは、逆に良いわけで、そういう意味では期待してスタートしました。まぁ、そのスタートでいきなりジェイムズ・ヒンチクリフがウォールをヒット。僕はそれを避けて、難なくターン1に入れ
ると思ったんだけど、アレクサンダー・ロッシに追突されてタイヤがパンクしちゃって、ハーフ・スピンしたところへ更に後ろからマルコ・アンドレッティがフロントにぶつかって来ちゃいましたね。
「セイフティ・クルーがエンジンをかけてくれたし
サスペンションが大きなダメージを受けてなかったのはすごく幸運でした」
――琢磨選手はアクシデントに気づいて減速し、更に後ろの面々はアクシデントが見えてなかったから減速しなかったって感じでしょうか?
佐藤琢磨:それもあったかもしれないですね。僕は目の前だったので見えたましたけど。でも、そんなにハード・ブレーキングをしたワケじゃないなけど、もうロッシはすごい勢いでぶつかって来ましたよね。あの衝撃で多分トウ・リンクも曲がって、ちょっと運転がカニ走りになってましたね。
マシンを修復し、りーどれぷでレースに復帰。15、6番手で4周目のリスタート迎える。この時はレッド・タイヤだ Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大 |
佐藤琢磨:それは良かったですね。すぐにセイフティ・クルーがエンジンをかけてくれたのでね。サスペンションが大きなダメージを受けてなかったのはすごく幸運でした。タイヤが完全にバーストしてはいなかったので、そこそこのペースでピットまで戻ってくることができて、ポジションなど、ダメージは最小限に抑えられたと思います。
「次のブラックは非常にペース良く走れてましたが
最後の2スティントは非常に苦しい走りとなってしまいました」
――あそこからは、どうやって巻き返して行こうと考えたんでしょう?
佐藤琢磨:ホントはどんどん前をパスして上がって行きたかったですけど、自分たちはペース的にイマイチだったので、レッド・タイヤを早急に使ってしまおうと考えました。そして、レッドを使っても次のピット・ウィンドウに入る直前ぐらいに換えちゃおうって作戦で、割と短目のスティントにしました。その次のブラックでは非常にペース良く走れてました。トップ・グループと遜色ないタイムであの時点で走れてたのは非常に好かったと思いますね。
――ところが、終盤はペースが上がらなかった。燃費セーブもあってのことですか?
佐藤琢磨:いや、そうじゃないです。最後の2スティントは、これからちゃんと見てみないとわからなんだけど、タイヤの内圧マネジメントが狂ってた可能性があって、全然スピードが上がらず、すごい苦しかった。スタートから全然スピードが上がらなくて順位を落とすわ、内圧が上がってからも、上がり切らなくて、良いバランスは戻って来なかったですね。それでずっとペースが遅くて、最後はホントに予選みたいな走りをして、何とか後ろを抑えられたけど、非常に苦しかったです。
「今年のデトロイトは、レースのペースがすごく上がったことで、
ロード・コースに近い考え方でマシンを作っていかないとダメでした」
――デトロイトのダブルヘダーは両方とも苦しいレースになりました。レース2ではなんとか10位でのフィニッシュをしましたが、感想は?
佐藤琢磨:いやぁ、あんまり感想は……。苦しいレースだったし、フラストレーションは溜まりますね。特に、デトロイトはずっと良かっただけに、コンペティテイブなレースをしたかった。残念ながらそれは叶わなかった。大きな課題が残ってしまったと思います。
――今週のクルマは、ライバル勢に比べて仕上がりで劣っていた。
佐藤琢磨:はい。苦労しました。
――グランプリ・オヴ・インディアナポリスに続いて、厳しい戦いになりました。セント・ピータースバーグ、ロング・ビーチと良かったのに。
佐藤琢磨:僕らのチームは、ストリートのマシンはいいんですよ。セント・ピータースバーグで良くて、ロング・ビーチですごくコンペティテイブで、毎年ここデトロイトは良い。ここは良いはずだと思ってきたですよね。ところが、今年はペースがすごく上がっていた。1ラップにつき1秒半ぐらい速くなっていたのかな。それで、マシンへの負荷のかかり方がなんだかロードコースみたくなっちゃってるんですよね。ちょっとストリートっぽくなくて、ターン1~2で4G近くかかる。そんなストリート・コースって聞いた事がないから。ここのターン1の速度とか、もうミッド・オハイオのターン1みたいな感じになっちゃってるからね。すごいことですよ。クルマの作り方も、ストリート用ではなくて、ロードコースのものに近い考え方でやってかないとダメでしたね。そこらへんで何か僕らはうまく行ってない感じでした。
今週末は毎セッション、セッティングを大きく振って行かなきゃならなかったし、キッチリと積み上げてって、マシンを一段階ずつ向上させて行くってカンジじゃなく、コレやってダメで、次やってダメで……みたいなことですごく苦労しました。ダブルヘダーなのでプラクティスは基本、最初の1回だけでしたよね。レース1との間にはウォーム・アップを挟んでますけど、レース1の次がまた予選で、すぐレース2の決勝なので思うようにクルマを良くして行けなかった。昨日のレースよりは今日のマシンはずっと良くなっていたんだけれども、昨日のレースがあんな状態だったので、今日に対する伸びしろがあっても、他も良くなってた分、苦しかったですね。
以上
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