2016年5月23日月曜日

2016 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第100回インディアナポリス500 5月21日 予選1日目アタック直後:「万全じゃない状況の中で、クルーたちはクルマをちゃんと用意してくれましたから、それに応えたかったっていうのはありました」

Photo:INDYCAR (John Cote)
「マシンに応急処置を施して予選に臨みました」

Jack Amano(以下――):プラクティスでマシンが走れない状況になっていた……という話でしたが、予選では228mph台まで一気にスピード・アップしましたね?

佐藤琢磨:今日はもう絶対ダメかと思っていました。アテンプト(予選アタック)に行くかどうかも難しいぐらいだったんですけど、とりあえず状況を見て、データを見て、考え得る応急処置をとりあえずは施しました。今日のような状況で、予選を走れるだろうっていうクルマを用意できたのは、チームとして良かったと思います。万全じゃない状況の中で、クルーたちはクルマをちゃんと用意してくれましたから、それに応えたかったっていうのはありましたね。
「マシンに大ナタを振るいました」

――プラクティス終了から予選の列に並ぶまで、時間がほとんどない中、セッティング変更の判断をして、マシンに変更作業を施すのは、どちらも大変だったのではないですか?

佐藤琢磨:そうでした。最適化するなんていうのとは程遠くて、大ナタを振るったんですよ。今までなら3ステップぐらいを踏んで進むところを1回でまとめなくちゃならなかった。あの15分間の中で、ガレージでできる作業といったら、スプリング・パッケージの変更と、ホイール・アライメントのトウ調整ぐらいしかできないですよね。あとはもう、テック(車検)に行って、その後の予選を待つ列に並んでからウィングを調整するしかなかった。その時にデータを見直して、どれぐらいのダウンフォース・レベルで行くかっていうのを決めて、それで走りました(一度列に並んだら、ウィング角度とタイヤの空気圧しかマシンに変更は施せないルール)。

「3周目でツールを使い切りましたが
うまくスピードに乗せることができました」


――どんなマシンになるのか、わからない状態で予選アタックに臨んだって感じですか?

佐藤琢磨:はい。そうでした。だから怖かったですね。僕自身、マシンをコントロール下に置いていなかったので、すごい恐怖心もあったし、それを押し殺してアクセルを踏んで行ったとしても、クルマを壊したらすべてが水の泡になります。そういう意味では、リスクを冒さず、できるだけスピードを乗せて行きたかった。だから1周ずつ速くなっていったんですよ。1周目の227mph台っていうのは、不本意ですけど、あの状態ではターン1を曲がり切れないと思ったから大きくリフト(アクセルを戻す)しました。それでも2周目からは228mph台を続けて出せました。3周目でツールを使い切ったっていうのもありましたが、うまくスピードに乗せることができました。4周目にはタイヤのでグラレーションがちょっと始まっちゃっていましたが、4ラップをもうちょっとうまく走ることは可能だったはずです。ポテンシャル的には、もう少し速いタイムが出せていたと思います。

――未知のマシンで、恐怖心があったというけれど、ウォーム・アップ・ラップが結構速かったですよね?

佐藤琢磨:逆に、ウォーム・アップを速く走ってクルマを感じなくちゃいけなかったからです。ある程度のスピードに乗せてクルマの状況を知らないと予選アタック本番でアクセルを踏んで行けないから、タイヤを持たせようとかの思いはなかったですね。

――その分、4周目がキツくなったってところはありますか?

佐藤琢磨:はい。多少それはあるかと思います。

――3、4周目に大きくスピード・ダウンするホンダ・チームが見られていますが?

佐藤琢磨:それだけギリギリのダウンフォースで走ってるってことじゃないですか? それから、僕らマイグレーションて言葉を使いますけど、車高だったり、風向きだったり、外乱による打たれ強さみたいなことでいうと、やっぱりまだ僕らのマシンは異常に繊細なところがありますね。オイシイところを外すと、アッという間にパフォーマンスが落っこちちゃう。そうい意味では、今日のような風の強い、難しいコンディションではシヴォレーを使うライバル勢の方が安定しているのかもしれない。

「アタックをやるとしたら、ファスト9は狙うが……」

――アタック2回目、やりますか?

佐藤琢磨:今のタイムを上回ることができるという勝算がなければ、行く意味はないですよね。とりあえず走れるだろうって状況でこれだけのスピードが出ましたから。今日は午後7時まで予選が続くってことですから、最後の時間帯には涼しくなってスピード・アップすることも考えられます。そうしたら、2回目のアテンプトをやるかもしれませんよね。

――ファスト9を狙えるかもしれない、というコトですか?

佐藤琢磨:いやぁ、そこまでは……。アタックをやるとしたら、やっぱりファスト9は狙いますけど、状況を考えたら、そこまで望むのは厳しいでしょう。ただ、そこに近づけるんであれば、もちろん狙って行きたいですね。
以上

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