「イエローが出ないことも想定はしていましたが」
とにかく燃料をセーブして、ストレッチしていきました」
Jack Amano(以下ーー)：5位フィニッシュ、いいレースでしたね？
佐藤琢磨：ありがとうございます！
ーーまさかのイエローなし。体力面も含めて大変だったと思います。
佐藤琢磨:まぁ、想定はもちろんしてましたけど、実際にイエローなしだと、かなりの勢いで燃料もセーブしないといけないので、ホントに2周目の途中、3周目に入るところから、もうミクスチャーを薄くして、コースティングして燃料のセーブをし始めてました。周りも同じような状況だったと思います。もちろん、チャンスがあれば抜きますけど、とにかくストレッチ、ストレッチさせて行かないと……。２ストップでフィニッシュできないことはわかってたので。
ーー1回目のピットストップは？
佐藤琢磨:チャンスを窺い続けていましたが、ずっと順位が変わらず、1回目のピット・ストップは、実はまだ燃料はもう少し残ってたんですけど、ちょっと奇襲をかけないと抜けないので、早目に入ったんです。それで、ブラック・タイヤだけれども新品だし、クリーン・エアを活かしてタイム・アップをさせて前に出ようって作戦でした。それがうまく行きましたね。次のピット・ストップでも同じように、ウィル・パワーの前に出ることができました。とにかく、じっとチャンスを窺い続けるレースになっていました。２回目のピット・ストップの後にトニー・カナーンにアタックしたんですが、彼の一瞬の隙をつけることができたのは良かったですね。ひたすら我慢のレースが続いていましたけど。
「今日の自分たちーストピットの両方で前に出る事ができていました」
ーーレースを通して速いペースを保てていたと思いますが？
佐藤琢磨：自分たちはブラック・タイヤとレッド・タイヤをどうバランスさせらるかが昨日から課題になっていましたけど、それが今日のレースではうまくできていました。非常に速いハイ・ペースで走り続けるライバル勢にくっついて走れた点は良かったと思います。
ーー1回目のピットでヒンチクリフ、2回目にパワーの前に出た。クルーの仕事が見事でした。
佐藤琢磨：頑張りましたね。ピット・ストップでミスがなかった。作業も非常に速かった。
ーーピット・タイミングなどのストラテジー面も今日は良かった。
佐藤琢磨：そうでしたね。イエローが出ればリスタートで抜くチャンスが産まれますが、今日はそれがなかったので、ピット・タイミングしか使えなかったんです。もっとも、今は1列でのリスタートなので、以前のように2ワイドじゃないから、抜くのは難しくなっているんですけどね。ほとんど抜けない。今日の最初のスタートでもヒンチの横に並びかけたんですが、前が詰まっちゃってたからバック・オフするしかなかった。そして、そのスティントはずっとヒンチの後ろ。それをピットで抜いて、コース上でもTKを抜いて……。今日の自分たちはピットとコースの両方で前に出ることができていたので、良かったんじゃないですかね。
ーーこれでポイント・スタンディング6位です。
佐藤琢磨：そんなに良くなった？ まぁ、でも今日のP５は上位にリタイアがいない中では望み得る一番のリザルトだったんじゃなかな？ チームも本当に素晴らしい仕事をしてくれてました。プラクティス2とプラクティス3でちょっと苦労しましたけど、予選とレースで自分たちの持っているパフォーマンスをすべて引き出すような走り、戦いができていたので、毎晩遅くまでエンジニアとのミーティングを頑張ってやったかいがありましたね。
「モントーヤを抜けなかったのは悔しいけど
今日のペンスキーは空力をトリムしていてストレートが速かった」
ーー最後はモントーヤ相手のバトルになってましたね？
佐藤琢磨：抜けなかったのは悔しいけど、しょうがない。ペンスキーのマシンは今日はストレートが速かった。彼の真横に並びかけて行くことができなかった。彼は別に何も悪いことはしていない。お互いにプッシュ・トゥ・パス（P２P）押した状態だと、あれだけスリップに入っても、あんなに差が縮まらないものなのか……と。彼は（空力を）トリムしてたので、ストレート・スピードがかなり速かった。だから、ちょっとパスは無理でしたね．トニーは2013年のライアン・ハンター-レイと一緒で、ヘアピンの出口でリヤがズルッとなった。その瞬間、こっちはP２Pのボタン押して、それで追いつけばパスができる……ってことでした。普通に走ってる状況ではなかなか抜けない。特に相手がペンスキーだと、抜けなかったですね。
(後半に続く)
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