2016年4月17日日曜日

2016 INDYCARレポート R3 トヨタ・グランプリ・オヴ・ロングビーチ Day2 予選:ロング・ビーチのポール・ポジションはエリオ・カストロネヴェスが獲得!佐藤琢磨は予選8位にジャンプ・アップ!!

カストロネヴェスはロング・ビーチでの2年連続3回目のPP Photo:INDYCAR (Chris Jones)  クリックして拡大
自身47回目、今シーズン2回目のポール・ポジション

  第42回トヨタ・グラン・プリ・オヴ・ロング・ビーチの予選が快晴下で行われ、エリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)がファイナル・セグメントに1分7秒1246をマークしてポール・ポジションを獲得した。昨年カストロネヴェス自身が記録した1分6秒6294のコース・レコードは上回れなかったが、第2戦フェニックスからの2戦連続PPはキャリア47回目(単独・歴代4位)、今季2回目、ロング・ビーチでの2年連続、そして、ロング・ビーチでの通算3回目のPP獲得となった。

「ペンスキーはライバルに対して優位にある」と語るエリオ

  「大変嬉しいPP獲得だ。今週末は走り始めからマシンのセッティングが良かったが、そこから更にチームの4人のドライバー全員がハード・ワークをこなし、協力し合ってマシンを向上させてきた。チーム・ペンスキーがライバル達に対して優位にある。そう言っていいと思う。今日はウィル・パワーが1人飛び抜けた速さを実現していたが、ベストのラップの途中でアクシデントとなってしまったようだ。スコット・ディクソンもトニー・カナーンも速い。もちろん、ファン・パブロ・モントーヤとシモン・パジェノーだって侮ることなど決してできない。凄い混戦模様だ。PPこそが最高のスタート位置。シェビーとAAAチームのクルーが素晴らしい仕事をしてくれた。明日もこの調子でレースを戦いたい」とカストロネヴェスは語った。

ディクソン、去年のセッティングでマシン向上に成功

  予選2位はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)。6人で争われたQ3で彼は1分7秒4455を記録した。昨年のロング・ビーチ・ウィナーで、今年の第2戦で優勝したばかりのディクソンは、「今週の走り出しを考えれば、2位という予選結果はとても嬉しい。去年と違うセッテッィングを試したが、それがうまく行ってなかった。今朝の時点でもまだセッティングが決まり切らない状態だったが、去年のセッティングのフロント・ウィングを試したら、それでコーナリングがずっと安定した。赤旗が出ていなかったらポール・ポジションさえ獲得できていたかもしれない。それだけのスピードが自分たちにはあった。フロント・ローなら問題ない。去年と同じレース結果を手に入れたい」と語った。

レース用セッティングに自信を見せるパジェノー

  予選3位はポイント・リーダー(!)のシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)=1分7秒7410で、予選4位はトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)=1分7秒7951。そして、予選5位はファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)=1分7秒9054だった。
  「ちょっとおもしろファスト6になっていた。僕がまとめ上げたのはたったの1周だけ。幸運にも、それがP3獲得に充分な速さとなってくれた。あのラップが終わるまでは、かなり気を揉んだ。赤旗が出た時点では全然いいラップ・タイムを出せていなかったから。3位は嬉しい結果。6位になることを心配していたのだからね。今週の僕らのマシンは速い。チーム・ペンスキーの4台すべてが速い。しかも、僕らは予選用より、レース用セッティングでアドバンテージを持っているとも感じている」とパジェノーは話した。


パワーはファスト6でクラッシュ!
しかし「6番手グリッドなら全く悪くない」


  予選前のプラクティス3ではウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が圧倒的な速さでトップに君臨したが、トップ6による予選ファイナル・セグメントでのポール・ポジション争いでミスを冒し、ターン9の壁にヒット。ポール獲得のチャンスを潰してしまった。赤旗を出して2ラップ剥奪となった彼は「記録ナシ」となって、スターティング・グリッドは6番手と決まった。
  「あのコーナーでは、少し奥まで突っ込み過ぎた。壁に突っ込んでマシンに大きなダメージを与えたくなかったので、マシンをスピンさせた。赤旗を出したから、2周のベストを失う。それでポール・ポジションは無理となった。でも大丈夫と思う。ここ2年はロング・ビーチでの予選が良くなかった。それが今年はトップ争いができている。6番手グリッドなら、まったく悪くない」とパワーはコメントした。


予選セッティングとレッドタイヤで後れを取ったホンダ勢

  もうおわかりの通り、ロング・ビーチでの予選は、ペンスキーとガナッシ、二強のドライバーのみによってファイナル・セグメントが争われた。ファイナルに進出したのはシボレー・ドライバーだけだったということだ。そして、ペンスキー勢が1、3、5、6位、ガナッシ勢が彼らの間に割って入る2、4位を手に入れた。
  プラクティス3回ではホンダ勢がトップ5に何人も食い込んでいたが、彼らは予選セッティングと予選で力を発揮するレッド・タイヤでシボレー軍団と同じレべルに達することができなかったようだ。グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は第1セグメント通過に失敗。彼と同じグループ1からQ2に進んだ佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)とライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、それぞれ予選8、11位を得るにとどまった。


ホンダ最上位のヒンチクリフ
ファスト6進出まであとわずか


  ファイアストン・ファスト6が全員シボレー・ドライバーで、ホンダの予選最上位は7位のジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)のものとなった。彼は1分7秒1415を出していたが、0.0770秒という僅差でファイナル進出を逃した。この時に6番手でファイナルにギリギリ進出したのが、最終的にポール・シッターとなったカストロネヴェスだった。

佐藤琢磨、大きく挽回を果たす予選8位

  琢磨のホンダ勢で2番手となる予選8位は、チームの奮闘があって達成されたものだった。第2セグメントでの彼のベストは1分7秒2299で、ひとつ上の順位だったヒンチクリフとの間には0.0884秒、ファイナルに進出するには0.1654秒足りていなかったが、予選直前のプラクティス3で16番手に沈んでいた事実を考慮すれば、大きなバウンス・バックを果たしたと言える。琢磨陣営は、プラクティス3までにトライしていなかった新たなセッティングで予選に臨み、第1セグメントをクリア。ファイナルにこそ進めなかったが、予選8位を手にした。

計時トラブルも予選の行方に影響

  今回のQ2は、インディーカーの計時システムにトラブルが発生したことで、戦い方が難しくなっていた。全員がレッド・タイヤにスイッチした頃から、予選を走っている全員が自らのものだけでなく、ライバル勢のラップ・タイムもわからない状況に陥り、それが最後まで続いたからだった。予選の直前になって、計測ポイントを最終コーナー手前からバックストレート・エンドに変更したことも影響してのことだったようだ。

「クルーもエンジニアも本当に頑張ってくれました
明日はクリーンで力強いレースを戦いたい」

  予選後に琢磨は、「今日の自分たちが置かれていた状況を考えれば、8位という予選結果は悪くないと思います。朝のプラクティスてはセッティングが良くなかったけれど、予選ではホンダ勢のトップに追いつくことができていましたからね。トップ6入りにコンマ2秒ほど足りなかった点は残念でした。というのも、自分たちは予選の第2セグメントで少々混乱しちゃっていたんです。計時システムのトラブルから、どれぐらいのペースで走れているのかが把握できていなかった。仕方がないのでアタックし続けたんですか、前のクルマに追いついてしまって、最終ラップはアクセルを少しだけ戻さなければならなかった。そのラップが自分たちのベストだったから、もう少し速いタイムを出せていたと思うんです。クルーもエンジニアたちも本当に頑張ってくれた。そのおかげでマシンは速くなりました。3回のプラクティスを終えた後にすべてのデータをチェックして、それまでとは違った考え方のセッティングを発見したんです。彼らを誇りに思います。明日はクリーンで力強いレースを戦いたいですね」とコメントした。

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