2016年4月4日月曜日

2016 INDYCARレポート R2 フェニックス Race Day 決勝:ウィル・パワーとファン・パブロ・モントーヤの第2戦


モントーヤをも襲った右フロント・タイヤのトラブル


 ポール・ポジションからトップを守り続けていたエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)が40周目にタイヤ・トラブルでピットに向かうと、その前の23周目に予選2位だったトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)パスして2位に浮上していたファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)がトップに躍り出た。開幕戦セント・ピータースバーグで勝っているモントーヤが連勝か? そうなったら去年以上に大きなポイント・リードをライバルたちに突きつける事になる……と考えていたが、モントーヤもカストロネヴェスと同じく右フロント・タイヤのトラブルでピットロードへと滑り込み、周回遅れに陥った。

悔しがるモントーヤ、「あれがなければ全然違った展開になっていた」


 「エリオも私もタイヤをカットした。あれがなければレースは全然違った展開になっていた」とモントーヤは悔しがっていたが、どちらのタイヤ・トラブルも何かを踏んづけてのカットではなかったように見えた。彼らのマシン・セッティングがタイヤに厳しいものになっていたのでは?
 一時は20位にまで順位を落としたモントーヤだったが、まだ序盤だったこともあり、徐々にポジションを挽回。最終的にリード・ラップへの復活まで果たしての9位フィニッシュを果たしたのだから、ドライバーもチームも実にしぶとい。

レース前は意気消沈していたパワーだったが……



 開幕戦でポール・ポジションを獲得しながら、体調不良で決勝への出場を果たせなかったウィル・パワー。得意のロードレースでシーズン最初のレースを戦えなかった彼は、9番手グリッドから250周のオーバルレースのスタートを切った
 アクシデントに巻き込まれそうな5列目というビミョーなスタート位置から慎重に加速した彼は、豪快なアウトサイド・アタックを12番手グリッドから成功させたライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)に抜かれ、1周目で10位にポジション・ダウン。その位置を保っている間にモントーヤはまんまとトップに躍り出た
 天敵モントーヤが開幕2連勝などやってのけたら、パワーとのポイント差は大きく開いてしまう。1列での走行で周回を重ねて行く間、パワーの心中は大きく波立っていたことだろう。


「レースが進むにつれて自分の中に活力が沸いてきた」と語るパワー



 そんな彼を勇気づけたのは、12号車のピット・クルーたちだ。カストロネヴェスのタイヤ・トラブルでの後退により9位に浮上していた彼は、ピット作業を終えてコースに戻ると4位にまで一気に5つも順位を上げていたのだ。
 そこからのパワーはトップ5圏内を保ち続け、116周目には3位へ浮上し、122周目のピット・ストップの後には2位を走った。こうなると優勝が欲しくなるところだが、前を行くスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)に隙はなく、70周以上も2位のまま走行。最後のピット・ストップ、パワーはひとつ順位を下げてしまったが、「今日は完走できただけでもうれしいぐらいだから、3位という結果が得られて本当に喜んでいる。実は、レース前の僕は結構ナーバスになっていたんだ。開幕戦を体調不良で休んだから、2戦は無事に終えることだけを望んでいたぐらいで……ところが、レースが進んで行くと自分の中から活力が沸いてきて、勝てるかもしれないって考えるようになったぐらいだった。今日はピット・クルーが本当に素晴らしかった。夜を通して僕を好いポジションに送り出し続けてくれた。3位フィニッシュを記録してロング・ビーチに迎えるなんて、とても嬉しい。今シーズン初勝利を飾ることだってできるかもしれない」と喜んでいた。

 チャンピオン争いで最も強敵になるだろうと(パワーがおそらく)考えているモントーヤより、ずっと後ろのグリッドからスタートしながら上位でフィニッシュできたのだから、パワーの気分は上々だろう。ポイント・リーダーに躍り出た開幕2戦両方とも2位のシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)とのポイント差も、47点と、1レースを休んだ割りには、そんなに開かずに済んだ。初タイトルを獲得した2014年シーズンより、また一段の成熟度アップをパワーは果たしているようだ。開幕戦病欠は、思わぬ好影響を与えることとなったのかもしれない。

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