2016年4月2日土曜日

2016 INDYCARレポート R2 フェニックス Day1 予選:エリオ・カストロネヴェスがポールポジション

カストロネヴェス、フェニックスでは2002年以来2度目のPP Photo:INDYCAR(Chris Jones)
カストロネヴェス、1週目に驚異の19秒0台

 午後2時から約1時間に渡って、気温が25~26℃、路面温度49℃、微風というコンディションで行なわれたフェニックス・インターナショナル・レースウェイ(PIR)での予選、ポール・ポジションを獲得したのはエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)だった。ピットの出口側からスタートし、1周のウォーム・アップの後に2周して、その合計タイム(平均スピード)が競われたが、カストロネヴェスの1周目は19秒0997(!)、2周目が19秒1607と素晴らしい2ラップで合計38秒2604=平均時速192.324mphで今季初のポール・ポジション獲得を果たした。


激しい予選レコード更新合戦
 
 フェニックス・インターナショナル・レースウェイの予選レコードは1996年にアリー・ルイェンダイクが記録した19秒608=平均183.599mphだったが、20年の時を経て、ついに更新された。チーム・ペンスキーにとっては、開幕から2戦連続のPP獲得ともなった。
 今日の予選では、最初のアタッカーとしてコース・インしたルーキーのマックス・チルトン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)が1周目に19秒3636をマーク。この時点でルイェンダイクのレコードは破られた。3番目のアタッカーだったシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)は、アタック2周目に19秒3526でチルトンのレコードを上回り、次にスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)が19秒2956を2周目に出してディクソンをレコード・ホルダーの座から引き摺り下ろし、ファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)がアタック2周目に19秒2415をマークして、トップに立った。カストロネヴェスはチームメイトのモントーヤの次にコース・インし、19秒0997 というダントツのラップを記録。新レコード・ホルダーとなった。

 フェニックスではNASCARスプリント・カップ・シリーズのレースも開催されてきているが、予選のレコードは2015年にジミー・ジョンソン(シヴォレー)が記録した25秒147で、インディーカーとの差は5秒以上もある。

「ルイェンダイクに祝福され、大変光栄」と喜ぶカストロネヴェス

 「PIRは私が人生で最初に走ったオーヴァルだと思う。素晴らしいコースで、またレースができることになって嬉しい。20年前に記録されたレコードをついに破り、ヴェライゾン・インディーカーは本当に速いんだと証明できた。今日の予選は気温、路面温度ともに上がって難しいコンディションになっていたが、私のマシンはレールの上を走っているかのように安定していた。予選での走りは、マシンの限界までプッシュしたものになっていたけれどね。1周目はとても良かった。しかし、2周目にはターン3、4でちょっとスリリングな目に遭った。テストの時から僕らのマシンはとても速く、今回もセッティングをファイン・チューニングしただけだ。コーナーとストレートで3mphしか違わない。すごいスピードでのラップになっている上に、コーナリング・スピードが本当に高い。今日の予選の後、レコード・ホルダーのアリー・ルイェンダイクが私の新しいレコード樹立を祝福してくれた。それは自分にとって大変光栄で、嬉しいことだった」とカストロネヴェスは語った。

開幕2連続PP! 今シーズンも速さを見せるペンスキー

 カストロネヴェスにとって、フェニックスでのPPはこれが2回目。IRL時代の2002年が1回目(マールボト・チーム・ペンスキー/ダラーラ・シヴォレー)で、1周のアタックでのラップ・タイムは20秒0124。平均時速は179.888mphだった。2015年のポコノ以来となるキャリア46個目のPP。歴代4位にランキングされるPP獲得数だ。2002年のPPを獲得したレース、カストロネヴェスは優勝を飾っている。明日、PPからの2勝目を彼は挙げることができるだろうか?
 前述の通り、2016年シーズンの開幕からの2戦でチーム・ペンスキーはPPを獲得しているが、昨年から連続する18レースで15回目のPP獲得という圧倒的パフォーマンスともなっている。創立50周年を迎えているチーム・ペンスキーにとって、今回のPPは通算236個目(!)だ。

 予選2位はトニー・カナーン。タスマン・フロント・ローの完成だ(インディー・ライツ時代に彼ら2人はタスマン・モータースポーツでチームメイトだった)。カナーンは、「朝からコンディションが大きく変化したので、セッティングをどうすべきかの判断が難しかった。シボレーとプラット&ミラー(シボレーのエアロキット開発を担当)のサポートによって僕らは予選向けの正しいセッティングを施すことができたと思う」とコメントした。カストロネヴェスとの差は2周合計のタイムで0.1624秒だった。

 予選3位ファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)。トップとの差は0.1916秒だった。トップ3を占めたのは40歳台のヴェテランたちだった。
 予選4位はチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)。フロント・ローからの2列を二強が分け合ったカタチだだが、キンボールのトップと0.2209秒差の予選4位は素晴らしい健闘ぶりと讃えてよいものだ。

 予選5、6位は、朝のプラクティスで最速だったエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)とスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)。カーペンターはPPから0.3096秒差、ディクソンは0.3915秒差だった。

 予選7~10位はジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)、マックス・チルトン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)で、シボレーがトップ10をスウィープした。

ホンダ勢、決勝でもトップ10に食い込めず

 ホンダ勢の予選トップは最後にアタックしたマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)の11位。タイムは38秒9188で、PPとの差は0.6584秒。予選12位がライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)。予選13位以下にはミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)、セバスチャン・ブルデイ(KVSHレーシング)、ルカ・フィリッピ(デイル・コイン・レーシング)、ジャック・ホウクスワース(AJ・フォイト・エンタープライゼス)、コナー・デイリー(デイル・コイン・レーシング)、グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)と続いた。

 ホンダの苦戦はエンジン・パワーではなく、エアロキットの性能差によるものと見られている。ホンダ勢のトップ、アンドレッティ・オートスポートはルーキーのロッシ以外に2015年のスーパー・スピードウェイ用リヤ・ウィングレット(ホイール・ガード上)を装着するロー・ダウンフォース・セッティングをトライしていたが……。

ムニョスもアタック中にクラッシュ
佐藤琢磨はマシン修復が間に合わず予選不出走

 カルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)はアタック1周目にターン1でクラッシュ。彼のグリッドは、21番手となるが、クラッシュ直後にかなり苦しそうにしていた彼が、果たしてレースに出場可能かどうかは現時点では不明だ。
 マシンの修復が間に合わずに予選を走らなかった佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)とジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)のグリッドは、それぞれ20番手と22番手となった。琢磨、ムニョス、ヒンチクリフの3人=予選タイムなしの順位決定には、今回のレース=シリーズ第2戦を迎えた時点でのエントラント・ポイントが使われている。

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