2016年3月17日木曜日

2016 INDYCARレポート R1 セント・ピーターズバーグ 3月15日:実は脳震盪起こしていなかったウィル・パワー

脳震盪ではなかったパワー。インディーカーのドライビング許可が下りたことで本には至って前向きだ Photo:INDYCAR (Chris Jones) 
脳震盪の専門医の徹底的な検査をクリア

 開幕戦を終えた翌々日の火曜日、インディーカーは、セント・ピータースバーグでのレースに出場ができなかったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)に関して、レース・ウィークエンド終了後に改めて精密検査を行い、彼は金曜日の単独アクシデントで脳震盪を起こしていなかったとの診断に至ったことを発表した。

 インディーカーはマイアミ大学の脳震盪プログラムでパワーに対する集中的な検査を行い、その結果、彼がセント・ピータースバーグのサーキットで脳震盪を起こしたという確たる証拠を見つけられなかった。脳震盪の専門医たちによる徹底的な検査をパワーはクリアし、全面的に異常なしと診断されたのだ。そして、パワーはインディカーを運転することを許可された。

体調不良の原因は以前から治療を受けていた内耳!?

 インディーカーの安全に関するコンサルタントを務めているテリー・トラメル医師は、以下のようにコメントしている。
 「パワーが現場で示した症状は脳震盪によるものではなかったと、マイアミ大学の医師団は判断した。可能性としては、パワーが治療を受けていた内耳のなんらかの症状が考えられる」。
 パワーはこのオフの間、ずっと耳の問題に悩まされてきたという。トラメル医師は、「パワーは金曜に自ら起こしたアクシデントで脳震盪を起こしていなかった。イヤー・プラグ内蔵のセンサーが計測したデータからも、事故直後の、インディカーの義務づけている診察や検査からもそれは明らかだった。しかし、パワーは3月12日の土曜の予選の後に酷い吐き気に襲われ、インディカー・メディカルの診察を受けた。そして、3月13日に再検査を受け、脳震盪のテストをクリアできなかったため、脳震盪の症状に似た症状が出ているのは、脳震盪が実際にあったからだと判断された。パワーの内耳の異常は、脳震盪の検査をパスすることを非常に難しくしていた。それで脳震盪との判定がなされてしまった。マイアミ大学では1週間かかるほどの検査を1日で行い、パワーは何人もによる診察を受けた。そして、医師たちはパワーが最近、頭部に何の障害を受けていないとの見解で一致した。パワーの耳のトラブルは、内耳の奥に水分が留まるなもので、平衡感覚が正しく保たれず、目眩が発生したり、吐き気を催すことが起こり得た。頭痛なることも考えられた。そうしたコンディション下でドライビングを行えば、アクシデントで硬くなっていた首の筋肉がブレーキングのストレスなどで更に力の入る状況に陥り、体調の悪化を招く。更にはそれが頭痛を呼ぶ。インディーカーのメディカル・スタッフはパワーのテストを行い、安全を考慮してドライビングの許可を降ろさなかった」。

「またインディーカーを走らせることができる
その許可が下りたことが自分にとっての一番の薬だ」


 インディーカーのメディカル・スタッフは誤診をしたともいえるが、安全を重視した結果だった。脳震盪と同じ症状がパワーの体には現れていたのだ。その点はパワーも十分に深く理解をしている。そもそも、決勝日の彼はレースに出られる体調ではなかったと本人が感じていたという。「またインディーカーを走らせられる。その許可が降りたことが僕には一番効く薬だ。自分のマシンを誰かがレースで走らせているのを見るのは辛かったが、起きてしまったことは仕方がない。前進あるのみだ」とパワーはコメントしている。チーム・ペンスキーは来週の火曜日にテストをバーバー・モータースポーツ・パークで行い、そこで彼を走らせる。レース直後の火曜日に計画していたテストを、1週遅れで行うのだ。
以上
 

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