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| Photo:INDYCAR (Bret Kelley) クリックして拡大 |
これまでレースをやってきてこれほど怖かったことはない」
――セイジ・カラム（チップ・ガナッシ・レーシング）のアクシデント、ウィルソンの救出でのイエローは長く、レース再開がされないという心配はしてましたか？ ２位を走ってて、チャンスなしで終了じゃ……？
佐藤琢磨：まぁ、そうでしたね。でも、あの時点で残り16周とか19周とかあったので、再開されるだろうと考えてました。ただ、イエローは長かったですね。時間がすごくかかってた。やっぱりジャスティンの救出が大変だったから。
――赤旗でレース・ストップとならなかったので……。
佐藤琢磨：確かにそうでした。それにしても、今日はアクシデントが多かった。
――それはどうしてだと思いますか？
佐藤琢磨：ダウンフォースが増えたことによってマシン同士が接近するんですよ。パック・レーシングにはなっていないけど、結果としては一緒ですよね。当たるリスクは増える、ということになっていたと思います。今日はターン2でスピンとかアクシデントがあったでしょう？ あんなとこ2ワイドで普通なら行けるわけないんですよ。ところが、今回はダウンフォースがあるから行けちゃってた。去年だったら並んでは走れなかった。必ずどっちかが引いた。どちらか曲がり切れなくなっちゃう方が。今日は外側を走るドライバーが引かないシーンが多くあった。僕自身も何度かやっていた。そこでマルコ・アンドレッティ（アンドレッティ・オートスポート）のようにスピンしたり、トニー・カナーン（チップ・ガナッシ・レーシング）のようなクラッシュが起こっていた。あのTKのクラッシュはメチャクチャ怖かった。これまでレースをして来て、あそこまで怖いのはちょっと思い出せないぐらい。それほど怖かった。というのは、あそこって200mph近いスピードが出てる。そこでパーッてスピンして、自分の目の前が煙で真っ白になって、普通だとバンクだから煙もすぐはけるから、マシンが戻って来るのとかが見えるんだけど、TKは目の前でスピンし続けてた。だから、こっちとしてはどこに行っていいのかがわかんなかった。
「チャンピオンシップを争う10台に接触しないよう、とても注意していました」
――今日はアクシデント現場をすり抜けるシーン、やたらと多かったでしょう？
佐藤琢磨：そうです。多かった。どれも近かったから、ホント危なかった。TKのはホント怖かった。フル・ブレーキングして……でも、後ろから誰か来たらイヤだし……。そういう中でTKのノーズが見えた時に右に行くことにして、彼が左にスピンして行ったから無事だった。危なかった。カラムのアクシデントも近かったし、グレアム・レイホール（レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング）とウィルソン、トゥリスタン・ヴォーティエ（デイル・コイン・レーシング）のも。ヴォーティアはあそこで何で3ワイドにするかね？ アレは無理だよ。
――前の２人の加速が悪くて、追いついちゃったって彼は言ってましたが？ グレアムが先にぶつかったのはウィルソンの方だったし。
佐藤琢磨：そうなのかもしれないけど、アレは危なかった。
――パートタイマーがチャンピオンシップ・コンテンダーやっつけてどうすんだ？ ってレイホールは怒ってました。
佐藤琢磨：そうだよね。今日はその話はドライバーズ・ミーティングで散々してたんだから。チャンピオンシップを争っている10台には絶対に当たるなって言われた。
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| ピット・アウトでレイホールに譲る琢磨 Photo:INDYCAR (Bret Kelley） |
――24台の中の10台。それはかなり多い。
佐藤琢磨：確かに。でも、僕としてはそれは注意をしてましたよ。例えば、ピット・アウトでレイホールと競り合ったことがあったでしょう？ 電気的にはどっちが先になったかすごく微妙だった。１万分の1とかの差になったかもしれないピット出口での状況だった。こっちとしては無理も出来た。ピット・スピード制限のボタンをちょっと早く離して前に出ることも賭けとしてはできた。やろうと思えばできたんですけど、今日の僕は譲りましたよ。あそこでレイホールやっつけたところで、まだ前には15台もいたしね。彼はチャンピオンシップ争いをしてることだし、ここは行きなさいって。
――タイトル・コンテンダーに気を使いながらのバトルは大変ですね。
佐藤琢磨：自分としては最大のリスペクトを持ってやってました。モントーヤとも今日は何度も良いバトルができたんだけど、彼とは当たりたくなかった。彼の方も、今日はいつもとは違ってすごい慎重だったし。そういうのが見えていたこともあって、彼が真後ろにいたリスタートでは、彼が狙って来るだろうとは思ってたけど、うまくリスタートを決められたのは良かった。みんなあの時は2速にしてた。シャヴェスがスピードをすごく落としたから。俺だけは1速まで落としてた。それで後ろを置き去りに出来た。
（その4に続く）
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