Photo:INDYCAR (John Cote) |
「メカニカル・グリップと空力、双方に対する要求度が高いソノマ」
――ソノマ・レースウェイについて
佐藤琢磨:ソノマは私たちの最近のカレンダーで最もダイナミックなロードコースです。私はソノマでレースをするのが大好きなんですが、すべての要素をうまくまとめ挙げるのは非常に難しいコースでもあります。
乾燥していて、砂っぽい土壌に作られたコースは最初はグリップが低く、タイヤ・ラバーが乗って行くに従ってスピード・アップして行きます。ソノマのコースはグリップが低いと言いましたが、それは低速コーナーにおいてだけのことで、ハイ・スピード・コーナーが多いために高いGが発生し、ドライバーにとってはシリーズ中でも極めて肉体的に厳しいものとして有名です。マシン・セッティングも難しい。メカニカル・グリップと空力性能の良さ、双方に対する要求度が高いからです。そしてレースでは、高低差の大きなコース・レイアウトのため、1周が長いことや、ふたつのハード・ブレーキングが必要なコーナーがあることなども併せて、燃費が非常に大事なファクターになって来ます。去年の私はとても良い燃費を実現しながら、速いペースを保つ走りが実現できていました。競争力が高かった。今年もその点は同じとなるはずです。
――ソノマでのエアロ・キット
佐藤琢磨:多くのハイ・スピード・コーナーがありますから、新しいエアロ・キットによってもたらされるダウンフォースは大きな意味を持ちます。私たちは事前テストを今年は行っていないため、少々未知の部分があります。しかし、今年行って来たロードコースでのレースで良好なデータが取れていますから大丈夫だと考えています。
――最終戦はダブル・ポイント
佐藤琢磨:とてもエキサイティングな最終戦になりますね。6人がチャンピオンになる可能性を残しているんですからね。私たちにとっては、ヴェライゾン・インディーカー・シリーズのポイント・ランキングで大きなジャンプ・アップを果たすチャンスです。去年の私たちはソノマでの自己ベスト・リザルトを記録しましたから、今年も上位でのフィニッシュを目指します。
「ウィルソンへの哀悼の意を持ってソノマを戦います」
――ジャスティン・ウィルソンが亡くなったことに関して
佐藤琢磨:本当に悲しいことです。言葉が見つかりません……。言葉で表す事は不可能です。私たち全員にとっての友人であったジャスティン・ウィルソンが亡くなった直後に、ソノマでレースを行うことは大変困難です。彼は素晴らしい人物であり、みんなが彼のことを好きでした。私は彼とF1とインディーカーの両方で、サーキットでも、それ意外でも楽しい時を共に過ごして来ました。そのことを私はずっと忘れません。モータースポーツの世界にとって本当に大きな悲しみです。しかし、私たちは彼の愛したレースを続けて行かねばなりません。ジャスティンの両親、奥さんのジュリア、お嬢さんたち、そして彼の家族全員のために、そしてモータースポーツというスポーツのために、哀悼の意を持ってレースを戦います。
――レーシング・カーの危険性について
佐藤琢磨:レースとは難しいものです。レースの危険について考える時、私は二種類の要素があると思います。コースの安全はこの20年ほどの間に飛躍的な改善がなされて来ています。それ以前とは全く違う世界と言えるほどです。近頃では、200mphでアクシデントを起こし、100Gもの衝撃があってもドライバーは事故現場を自らの力で歩いて帰ることができるほどです。私自身もそのようなアクシデントを経験しながら、怪我をせずに済んだことが何度かあります。そうした事実はありますが、それが即ち、レースは安全だという話にはなりません。危険な面は依然として残されています。クルマというものは大きなエネルギーを持っており、特に誤った使い方をした場合にそれが表れますから、公道で自動車を走らせる際には運転免許が必要とされます。クルマを運転する時には大きな責任が伴われます。みんながルールに従わなくてはなりません。そうすれば全員がクルマを公道でもサーキットでも楽しむことができます。しかし、フォーミュラ・カーというカテゴリーにおいては、ひとつ大変に難しい点があります。それはオープン・コクピットである点に関係しています。側面や後方、あるいは前方でさえも衝撃に対して高い防護能力が備えられていますが、前方から空中を飛んで来る異物、事故によるマシンの破片などまでも防ぐのは非常に難しい。インディーカー、及びモータースポーツの世界全体がこの点には注目していて、将来的な改善を目指しています。現在、この点についての改善策を即座に見つけるのは大変難しいと思います。
以上
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