2015年6月8日月曜日

ジャック・アマノのINDYCARレポート メールマガジン・プレミアム:スコット・ディクソンが今シーズン2勝目

直前のダウンフォース量変更が成功したディクソンが今季2勝目 Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
チップ・ガナッシが1-2フィニッシュ達成!
ペンスキー勢はモントーヤの4位が最上位


 予選では7~10位だったガナッシ軍団だったが、レースではスコット・ディクソンとトニー・カナーンが優勝争いを展開。ディクソンがこれを制してシーズン2勝目を飾った。カナーンは2位でガナッシの今季初1-2。チャーリー・キンボールも7位でゴールした。ルーキーのセイジ・カラムは12位で完走という結果だった。

 予選のトップ5に4台すべてを並べていたチーム・ペンスキーは、エリオ・カストロネヴェスの3位がベスト。ポイント・リーダーのファン・パブロ・モントーヤは粘り強さを見せて4位でのフィニッシュしてみせたが、ポール・シッターで優勝候補の最右翼だったウィル・パワーはハンドリング不調で大きく後退。序盤に今日のファステスト・ラップを記録したが、248周のレースが終わってみれば4周遅れの13位というショッキングな結果となっていた。予選2位だったシモン・パジェノーも2周遅れでトップ10を逃し、11位でのゴールとなった。

スタート前30分にダウンフォースを増やす決断をしたガナッシ

  200ラップ周辺で繰り広げられたチームメイト・バトル、カナーンはディクソンのアウト側を並走し続けた。この緊迫した戦いを制してディクソンはトップを守り、そこからはリードを広げて行った。ゴール時には7.8秒という大量リードが築かれていた。
 ビクトリー・レーンでのディクソンは、「簡単に勝たせたもらったわけじゃない。終盤のピット・ストップでもまだマシンのセッティング変更が必要だった。レース序盤は大アンダーステアで、ウィングを少しずつ立てて行くと今度はオーヴァーステアに変わった。難しいレースだった」と安堵の表情を浮かべた。
 ディクソンは、「実は、ダウンフォースをどれだけに設定するか、僕らはスタート前ギリギリまで結論を出せずにいたんだ。昨日のファイナル・プラクティスの後に議論は始まって、僕のダウンフォースをファイナル・プラクティスの時より小さくするという意見が受け入れられたかと思ったのに、今日の午後1時頃にエンジニアからテキスト・メッセージが入って、昨日の決定が翻ったと知らされた。スタート前30分、僕はまだ不満を表明し続けていて、チームの4台でセッティングを両サイドに振り分けることさえ検討したほどだった。しかし、最終的に僕らはエンジニアたちの考えた通り、ダウンフォースをより大きくしてレースに臨むことになった。そして、彼らの考え方が正しかった」という裏話も明かした。
 ランキング3位、トップとのポイント差63点でテキサス入りしたディクソンだが、第9戦を終えるとランキングこそ3位のままだが、ポイント・リーダーとの差を43点まで縮めていた。

ピットでのセッティング変更ミスに泣いたモントーヤ
 開幕戦優勝からポイント・リーダーの座を守り続けているモントーヤは、今日のレースを4位で終えると、「僕らのマシンは速かったが、ピットでのウィング・セッティングの変更でミスがあった。僕はウィングを寝かせることを希望していたが、クルーは逆に変更してしまった。そこからはオーバーステアに悩まされた。ツールを使って対処していたが、右リヤのタイヤがグリップを失い、次のピット・ストップを行うまでにコース半周まで差が広がってしまった。最後のスティントでの僕の速さを見ただろう? 一気にエリオの背後まで接近してみせた。セッティング変更のミスがなく、序盤のスピードを保てていたら、僕らは勝てていた可能性が高い」とモントーヤは悔しがっていた。
 今日のレースでモントーヤはパワーとの差を21点から35点に広げた。パワーは13位フィニッシュでも辛うじてポイント2位の座をキープ。しかし、ディクソンが8点差にまで迫って来ている。

AA勢、ホンダ勢トップの5位、6位!
燃費作戦をチョイスするもイエロー1回のレース展開で勝機を逃す

 ホンダ勢トップはマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)の5位だった。6位でゴールしたカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)ともども彼らは燃費作戦でアドバンテージを掴もうとしたが、イエローが1回しか出ず、レース終盤がフル・グリーンで進んだために勝機も表彰台フィニッシュも逃すこととなった。
 「何とかしがみ着いて行っている。そんなレースになっていた。グリップもスピードもトップ・グループで戦うには少しずつ足りていなかった。そんな状況下でチームが最善の作戦を考え出してくれ、それを実戦したことでトップ5フィニッシュを達成できた。今日はチームの作戦力が素晴らしかった」とアンドレッティはレース後にコメントした。7番手だった彼のポイント・スタンディングはセバスチャン・ブルデイ(KVSHレーシング)を抜いて6番手へひとつ上がった。
 
佐藤琢磨、アンラッキーなペースカー追い越しのペナルティ

 佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は13番手スタートから16位でゴールした。ペースカー追い越しのペナルティが痛かった。しかも、その違反はペース・カーが規定以上のスピード(その1周だけ1ラップにつき5秒も速かったという)で走っていたというオフィシャル側のミスと呼べるものが原因となっていた。レースがグリーンになってからのストップ&ゴーのペナルティは非常に重いもので、1ラップ・ダウンが2ラップス・ダウンに変わってしまった。スピード不足だったことも事実だ。昨日のファイナル・プラクティス時よりダウンフォースを減らすという、正解と真逆のセッティングとしてしまったためだ。イエローの出ない、ラップ・バックのチャンスも与えられないレース展開も琢磨の戦いを厳しいものにしていた。
 「レース中のコンディションの変化がすごく大きかった。自分たちのダウンフォースは全然足りてなかった」と琢磨は苦戦を振り返った。チームメイトのジャック・ホウクスワースはハンドリングが悪過ぎると感じ、タイヤ交換を繰り返したが、最終的に走り続けるのが危険と考え、62周でマシンを降りた。
 ホンダ勢トップの予選6位だったグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)もダウンフォース・レベルの設定が正しくなかったために早目、早目のピット・ストップでタイヤを交換するしかなく、琢磨と同じく5周遅れで順位は15位だった。

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