2015年5月25日月曜日

2015 INDYCARレポート 第99回インディー500 5月24日決勝:ファン・パブロ・モントーヤがインディー500で2勝目

Photo:INDYCAR(Chris Owens)
ポイントリーダーとして自信とともに臨んだインディー500
 ファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)は、シーズンが始まる前のテストから自信満々だった。開幕戦では、インディカーに復帰したばかりの去年は少々苦手としていたストリートでの予選で4位となって手応えを掴んだ。そして、決勝ではポール・ポジションからレースをリードし続けたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)を終盤にパスし、まんまと優勝した。
 そこからJPMはシリーズ・リーダーの座を守り続けて来ている。今日、自身二度目となるインディー500制覇を成し遂げ、パワーは今シーズン最初の複数勝利ドライバーとなった。当然、ポイント・スタンディング・トップの座もキープした。パワーとの差は5点から25点に広がった。

後方グリッドからでも勝てることを確信が
最終スティントで最高のマシンを手にする結果に

 今シーズンのモントーヤが目指しているのは、シリーズ・チャンピオンとインディー500での優勝のふたつだ。インディーの予選で彼がポール・ポジション争いに加わらなかったのは、そこに照準を合わせたマシン作りをしていなかったためだろう。チームメイト3人がチップ・ガナッシ・レーシングを相手にポール・ポジション争いをしたというのに、モントーヤだけが遠く離れた15番グリッドを得るに留まった。「インディー500は中団、もしくは後方グリッドからでも勝てる」。モントーヤは確信していた。
 暑くなった決勝当日、モントーヤにはゴール前の最も重要なスティントで一番速いマシンを手に入れていた。ディクソンとパワーはアンダーステアに苦しんだと言っていたが、モントーヤだけはハンドリング良好なマシンとなっていた。
 スタート直後のセイジ・カラム(チップ・ガナッシ・レーシング)と佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)のアクシデントも衝撃的だったが、最初のリスタート目前にモントーヤがシモーナ・デ・シルベストロ(アンドレッティ・オートスポート)に追突され、右リヤのホイール・ガードを壊されたのもショッキングだった。優勝候補メンバーたちが次々と不運に見舞われたのだ。
 ウィングごと交換するために2度のピットストップを必要としたモントーヤ。ハッキリ言って、あの時点で「優勝はない」と考えた人は少なくなかったはずだ。


 ゴールまで15周のドッグ・ファイトは、ペンスキー勢2人をガナッシのスコット・ディクソンがリードして始まった。孤軍奮闘となったディクソンは、暑いコンディションでアンダーステアが強くなったため、ゴールまで5周で優勝争いから脱落した。モントーヤは彼をターン1でパスすると、その勢いを保ったままトップを走るパワーに猛チャージ。ターン4でトップに躍り出た。
 パスされたパワーは、逆にそれをチャンスに換えることを狙った。しかし、アンダーステアが強くなって来たため、渾身の力を込めて行なった最終ラップのアタックも実りはしなかった。
 0.1046秒差でブリックを並べたコントロール・ラインを横切ったモントーヤ。彼はコクピットで喜びを爆発させ、パワーはあと一歩のところで勝利を逃して呆然とするしかなかった。


わずか3回のインディー500参戦で2度の勝利
 2000年以来の優勝。ふたつの勝利のインターバル15年にも及ぶ。それにしても、モントーヤはたった3回の参戦で2度目の優勝を飾ってしまうのだから、すごい。

Photo:INDYCAR
  今日のゴールは史上4番目の僅差でもあった。1992年の0.0430秒、2014年の0.0600秒、2006年の0.0635秒に次ぐものだ。
 「ゴールまで勝負の行方がわからない、インディカーらしいレースになっていた。自分のマシンが速いという手応えは掴んでいたが、それでも最後のバトルは本当に激しかった。それに勝てたんだから嬉し過ぎる」とモントーヤはコメントした。
 3位はチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング)。優勝争いに絡むところまでは行かなかったが、確実にフィニッシュまで走り切る力、スピードともに着々と彼は身につけて来ている。


惜しまれる佐藤琢磨1周目のアクシデント
 琢磨のレースは、「スタート直後のクラッシュさえ無かったら……」というものになった。ひとつ目のコーナーを曲がる前に24番手スタートから21番手まで3つも順位を上げていたが、20番手を走っていたセイジ・カラム(チップ・ガナッシ・レーシング)と接触してしまった。
 このアクシデントで右フロント・サスペンションのステアリング・ロッドが折れた琢磨は、ピットでそれを修理してレースに復帰した。カラムはその場でリタイアとなった。
 2周遅れでレースに戻った琢磨は、1回めのピットストップを終えた後に3周遅れへとさらに後退した。しかし、アクシデントのダメージも小さかったことで、琢磨はハイペースで走り続けることができ、ピット・スタンドで作戦をコールしたラリー・フォイトの判断も正解続きだったことから、リードラップに戻って終盤を戦うことができた。

一度は傷ついたマシンで佐藤琢磨は力走する Photo:INDYCAR (Jim Haines)
 マシンはそんな走りが実現可能な仕上がりだった。琢磨というドライバーは、そういう走りができるだけインディー500での戦い方をマスターして来ていた。それだけに最初のアクシデントが残念でならない。「あのアクシデントは本当に残念だった」と琢磨は悔しさを語った。「フロント・サスペンションは幸い直すことができたけれど、恐らくトウは狂っていたでしょうね。リヤのウィング・レットもグラついてました。しかし、そんな状態でもマシンは速かったと思います。
最後の15周でもバトルを戦い、何台かをパス。そういうレースが戦えていただけに、1ラップ目のアクシデントは本当に残念でした」と琢磨は語った。

以上

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