2015年5月25日月曜日

2015 INDYCARレポート 第99回インディー500 5月24日決勝:セイジ・カラム、佐藤琢磨のドライビングに抗議 ーアクシデントの非はどちらに?――その1

スタート直後のターン1の様子。カラムは琢磨の接近に気付いていない 
Photo:INDYCAR(Mike Harding) クリックして拡大
スタート直後、ターン1でいきなり接触! 怒るカラム

 第99回インディー500のスタート直後、ターン1でアクシデントが発生(!) セイジ・カラム(チップ・ガナッシ・レーシング)と佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)が接触したのだ。
 カラムはそのままリタイアした。



メディカル・センターでの診察を終えたカラムは、次のように述べた。
 
 「どうして佐藤はあのようは走りをしたのか。理解ができない。ボーンヘッドだったと思う。僕とライアン・ハンター-レイがサイド・バイ・サイドでターン1に入って行った。彼にはそれが見えていたはずだ。だというのに、彼は1ラップ目から3台並ぶ走りをトライした。そこが僕には理解できない。スタート直後のコースは清掃したばかりだかキレイで、タイヤかすが浮いていないからアウト側だって走れる。しかし、3台が並ぶほど攻めた走りをする意味なんて無い。馬鹿げたアタックだったと思う。僕らは良いスタートを切った。ターン1へと入って行くところまでで、すでに2つほど順位を上げていた。ハンター-レイとサイド・バイ・サイドだった。すべて順調だった。佐藤のスタートも凄く良かったかもしれないけれど、1周目の、それもターン1で大外のラインを使う必要があったのか? 道理にかなっていない。多くの人々のレースをダメにしてしまった」。 20歳の若さににしては辛辣なコメントだ。

アクシデントを誘発したのはカラムのスポッターのアナウンスミス!?
 しかし、あのアクシデントは、琢磨を一方的に非難できるものではなかった。
 カラム自身のコメントにもあるように、1ラップ目はアウト側のラインがポジションをゲインする大きなチャンス。それに琢磨はトライしていた。一方のカラムは、ほぼ真横まで並びかけられていながら、「あっちが引くはず」と勝手な判断を下したから接触が起こった……あるいは、琢磨が横に来ていたのを知らなかった。
 ターン1へとアプローチするところから、彼の耳にはスポッターの声が届いていたはずだ。届いていなかったとしたら、それはスポッターがするべき仕事をしていなかったということ。レース後に話を聞いて回ると、スポッターのミス説であった可能性が疑われる情報が出て来た。
 カラムのスポッターはあのアクシデントに至る状況でイン側のハンター-レイのことばかりをカラムに伝えていたようなのだ。そちらに気を取られ、アウト側の情報を自分のドラいヴァーにフィードできていなかったとしたら、残念ながらそのスポッターは優先順位を間違えていたことになる。
 カラムのコメントからもわかるように、彼にはハンター-レイが十分に見えていた。見え続けていた。そんな時、スポッターが伝えるべきはドライバーの前方の情報ではなく、後ろの情報(前方のアクシデントを知らせる場合などを除く)。レーシング・マシンでは後ろが見えにくいから、ドライバーの後ろ向きの目となるのがスポッターの仕事なのだ。あそこではアウトから攻めて来る琢磨についての情報こそ、カラムのスポッターはドライバーに伝えるべきだった。


琢磨の接近に気付くことが遅れたカラム
実際、琢磨の車体は半分以上カラムに並んでいた!


 カラムが琢磨の接近に気づいたのは、どのタイミングだったのか? ぶつかった時だったとしたら、彼の不注意ぶりも責められるべきだ。インディー500のスタートとしては油断をし過ぎていた。イン側にハンター-レイが1台という状況なら、アウト側から誰かが来る予測は立てているべきだった。アウト側に1台分スペースを残してラインをホールドすべきだった。実際に琢磨はもう車体が半分以上カラムの右横に並んでいた。
AJフォイトのピットに怒鳴り込んできたカラム。琢磨もひるむことなく対応! Photo:Masahiko Amano
 インディー500が2回目。インディーカーでのレース経験も少ないカラムと、充分な情報を与えていなかったスポッター。ふたつの要素が重なって、彼にとっても、琢磨にとっても不運なアクシデントは起きてしまった。
 それなのに、カラムはレース後に琢磨のピットに現れた。
(その2に続く)

2 件のコメント:

  1. 琢磨に非があるとしたら、カラムの力量を見切れなかったところか。

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  2. そりゃ開いてれば、琢磨が見送るもんか

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