2015 INDYCARレポート 第99回インディー500 5月24日決勝：セイジ・カラム、佐藤琢磨のドライビングに抗議 その2――求められるカラム陣営の冷静な検証――

冷静に対応する琢磨だったが、AJのピットは次第に険悪な空気に　Photo:Masahiko Amano

ヒートアップする両者、AJフォイト御大登場でようやくカラム退散
　レースが終わり、佐藤琢磨がピットでクルーたちと健闘を讃え合った後、セイジ・カラムがガナッシのベテラン・クルーと一緒に現れた。
　こういう時はドライバー同士で話し合うもの……という感じで、琢磨はカラムの話を聞いていたが、相手が文句を言いに来たとわかったところで雰囲気が一転。当然のように琢磨は自分の意見をカラムに伝えた。
　このあたりから場はさらにヒート・アップ。「インにハンター-レイがいるのに、どこを走れっていうんだ？」と言うカラムの声が大きくなり、冷静に対処をしていた琢磨も、「こっちは真横まで来てたじゃないか」という言葉を否定されると、「前輪がそっちの後輪より前に出てた」などと説明し、「ちゃんとミラーを見てろ」、「言葉に気をつけろ」などと応戦。
　クルーたちが間に入るとカラムは……ここからは英語が微妙なんですが、「今度ぶっとばしてやる」（「次のレースでブツケてやる」と取れなくもない）と言い、するとフォイトのクルーの中から、「俺が相手になろうか？」などの声も上がって……。カラムはガナッシのクルーに引っ張られるようにして帰って行った。

鼻っ柱の強いカラムも、さすがに御大の前では抗うすべもなく撤収へ　Photo:Masahiko Amano

　この頃、琢磨たちのトラブルにAJ・フォイト御大が気づき、ピットの壁を越えて来た。しかし、カラムは帰って行った……と思ったら、なぜかまた戻って来て、AJとの話し合いが始まった。登場以来誰にも敬意を見せなかったカラムも、さすがにAJの貫禄にたじろぎ、ふたりは短い会話を交わした後に握手した。

クラッシュ続きの自分に対する苛立ちか？

　カラムが発した最後の脅し文句、アレは早々に撤回した方がいい。彼自身が大きな被害を与えることになり兼ねないから。
　琢磨にケンカを仕掛ければ、警察沙汰になり兼ねない。
　デトロイトのレースに出場する場合、走行中に琢磨と接触でもあったら、そこに意図がなかったとしても、あったことが疑われることになる。
　当然、カラムが琢磨に意図的にブツケた場合には、ライセンス剥奪や、数戦の出場停止などの厳しいペナルティが課せられる可能性がある。
　開幕前のテストからアクシデント続きのカラムは、チーム内での評判が落ちてしまっていると心配し、苛立っているところもあるのだろう。
　自らのスポッターのミス……という点を彼、もしくは彼のチームは一度検証した方がいい。そして、インディー500のスタート、その直後のターン1では何が起こり得るのかについても時間をかけてアレコレ考えを馳せるべきだろう。
以上