2015年4月14日火曜日

2015 INDYCAR レポート R2 インディー・グランプリ・オブ・ルイジアナ:シボレーのエンジン・トラブルはバルブ・スプリングだった

ペナルティでシボレーのマニュファクチャラーズポイントはマイナス92点

 開幕戦終了後、供給している12基のエンジンのうちの11基でパーツ交換を行う判断をしたシボレー陣営。これにより彼らはマニュファクチャラー・ポイントを220点も失った。開幕戦でトップ6を独占し、ポール・ポジションも最多リード・ラップも記録して大量128点を稼いだボウタイ軍団だったが、1基のパーツ交換に対して20点の減点というルールにより、開幕戦終了時点の彼らの獲得ポイントはマイナス92点になってしまった。


ライバルのホンダは開幕戦決勝での最上位が7位で、8位と10位にもユーザーがいたことで稼げたポイントは70点。1レースだけで58点もの差がついていたのが、一転してホンダが162点ものリードを持って第2戦が迎えられることとなった。
 ニュー・オリンズ入りしてから話を聞いて回ると、そのトラブルとはバルブ・スプリングという重要パーツの強度不足にあったということだった。

走行1500マイルでトラブル発生の可能性

 では、なぜ12基のうちの11基だけでパーツ交換を行ったのか。それは、開幕前の合同テストで開始早々にクラッシュ、ほとんど走っていなかったルーキーのセイジ・カラムのエンジンだけは、当分そのまま使い続けることと決めたからだという。今年のレギュレーションでも、各エントラントにはシーズン開幕前のテストから来シーズン前までで10,000マイルを4基のエンジンでカバーすることを義務づけている。つまり、1基につき2,500マイルをカバーする必要があるということ。どうやらシボレーの2015年シーズン用エンジンでは、その距離の3分の2ほどとなる1,500マイルあたりでバルブ・スプリングに不具合が出ると判明したらしい。


 220点のマイナスはかなりの痛手だ。3年連続で守って来ているマニュファチャラーズ・タイトルを手放さねばならないかもしれない。しかし、問題を知りながら使い続け、レース中にエンジンがトラブルを起こせばユーザーたちにリタイアという大きなダメージを強いることになる。エンジン・トラブルからクラッシュをさせてしまうリスクさえも高くある。そこで、シボレー陣営は早い段階でのパーツ交換に踏み切った。英断と思う。

設計そのものではなく供給パーツの品質の問題

 シボレー陣営はバルブ・スプリングのサプライヤーを換えたのではなく、製作行程を変えたのだという。品質確保のためのテスト期間はとても長く取ってあり、万全を期していたという事だが、
トラブルは発生してしまった。素材の配分から始まり、それらの混合、材料の練り上げ、引き延ばし、成形、焼き入れ……などなどと本当に多くの行程を踏んでバルブ・スプリングは生産される。ダイノでのテストも繰り返し行う。ひとつのパーツにオーケーを出すのには膨大な時間がかかる。それらをすべてパスしたはずのパーツが品質で問題を出す事態になってしまったのは、テストを繰り返していたのと完全に同一の性能を、サプライヤーが供給パーツで実現していなかったため、と彼らは見ている。
 問題は完全にクリアされているんだろうか? ニュー・オリンズでシボレー・エンジンにトラブルは発生しなかった。プラクティス2終了後にイルモアのエンジニアとセバスチャン・ブルデイが口論していたが、KVSHレーシングがエンジン交換をする事態までには至らなかった。“シェビー・インディカーV6”のトラブル解消が完全に確認されるまでにはあと数戦が必要だ。

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