レース序盤、ディクソンとポジションを争う Photo:INDYCAR (Bret Kelley) クリックして拡大 |
とにかく何とかしようとレースに臨みました」
Jack Amano(以下――):ウェットでスタートし、途中からドライにコンディションの変わったレースでしたが、スタート時のセッティングをどうするかは難しかったですか?
佐藤琢磨:悩みましたね。昨日のウェット・セッティングが合ってたか、合ってなかったか……と言えば合ってなかったんですけど、昨日の予選で経験したような失敗は避けるようにしていました。車高などの根本的なところは対応をして行きました。今日は午後からの天気が悪いって予報でしたけど、レーダーを見てると、朝の雨の後は晴れ間が出ると。レース・スタートの時刻が変わったとはいうものの、セッティングをドライ寄り、ウェット寄りのどっちにフルかは非常に難しかったですね。
僕らは2台で方向性を分けて、僕はどっちかって言うとドライ寄りで、ジャックはどっちかと言うとウェット寄りのセッティングにしました。まぁ、そこには好みの問題とかもあるんですが、エンジニアリング・サイドでも大きく分けました。後はもうレースをしてみないとわからなかった。今回はウォーム・アップ・セッションも走りませんでしたからね。予選もあんなだったし、プラクティスではドライでのスピードもなかった。ちょっと、にっちもさっちも行かない感じでしたけど、何とかしようとレースに臨みました。
――レースがスタートしてからは、どうでしたか?
佐藤琢磨:実際にスタートしてみて、まだラインができる前の状態は、もう雨は降っていないのに、結構な量の水がコース上にありました。そうしたコンディションではもうちょっとポジションを上げて行けるかなって思ってたんだけど、予想よりもセッティングが悪かったですね。バランス感が悪くて踏んで行けなかった。それでペースが上がらず、かなり順位を落としました。
「ドライタイヤに変えてから、ポジションを戻す戦いがある程度できていました」
18周目にピット・インしてタイヤをレッドに交換。その後12位まで順位を挽回する。 Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大 |
佐藤琢磨:はい。スリックに換えたのはグループとしてはかなり早目でした。ドライ・タイヤに換えて失ったポジションを取り戻す……みたいな戦いになりました。
そして、ある意味でそれは結構できていたと思います。ドライを履いて2~3周目からですか、他のマシンもピットに向って、コースに出て来た彼らにどんどん追いついて行くってカタチになってました。しかし、その後にイエローが出て、リスタートとイエローの繰り返しになってましたね。
――かなりフラストレーションの溜まるレース展開になってましたね。
佐藤琢磨:そうですね。イエローが長かった、今回もセント・ピーターズバーグと同じで。スタートするたびにドライタイヤでウェット・パッチの残ってる状態でのリスタート、それがダブル・ファイルになると危ないですよね。僕も何回かリスタートをうまく決めて、2台を抜きかけてたんですよ。キンボールとかディクソンとか。でも、誰かがストレートでピョーンって飛んでったでしょ?
――コレッティでしたね。
佐藤琢磨:あの時に彼が戻って来たので、フロント・ウィングを大事にしなきゃと思ってハッとブレーキ踏みました。キンボールはブワーッて思い切り全開で行っちゃってましたけど。それで抜きかけたのを、また彼と行ったり来たりすることになった。僕としてはものすごく安全に走ってたんです。でも、自分としては大事に行っていたつもりだったんですけど、最後のリスタートでキンボールが、誰かが前にいたのかな? その彼と並びかけてて3コーナーで彼らは並んだまま外側に行ったん
ですよ。僕としては内側が大きく開いたので、そこに飛び込んで行きました。そうしたら彼らが突進して来て、僕のサイドポッドに当たった。クルマに外傷はなかったんですけど、中のギリギリにあったワイヤーからコンピュータか何かがダメージを受けちゃって、ギヤ・シフトができなくなった。それでピットに戻らざるを得なかった。それは残念でしたね。
「レースが105分に短縮されたことを知ったのはレース後
ドン・ハリディはじめエンジニア・グループも120分レースだと思って戦ってました」
――ピットでリスタートはできなかったんですか?
佐藤琢磨:いや、対策ができそうになった時にはもうゴールまで残りが10分になってて、ラスト10周はコースに復帰できないルールで、レースに戻れませんでした。今日は120分じゃなくて105分のレースになってたでしょ?
――それっていつ聞きました?
佐藤琢磨:(レースが短縮されたことを知らされたのは)レースが終わってからですよ。酷いですよね。
――インディーカーがちゃんとアナウンスを徹底してなかったから。
佐藤琢磨:でも、エンジニア・グループが知らなかったんですよ! ラリー(・フォイト)は知っていて、それを言ってたんだけど、(エンジニアの)ドン(・ハリデイ)は知らなかったから、僕がピットに戻って来た時、まだ28分あるって言ってた。それが、僕がオーロラ・ビジョンを見たら、そこには10分しかないって出てた。ドンは最後までわかってくれなかった。みんな混乱してましたね。だから、僕の燃料の計算とかも無茶苦茶でした。
――では、トニー・カナーンたちがピットに入った時、琢磨選手も入らなかったのは、もう少し引っ張ってから入りたいという考え方だったんですね、105分でゴールになるとチームが完全に把握していなかったから。
佐藤琢磨:そう。あそこで入るべきだったんですよ。そうしてたら5~6位には悪くとも上がれてたでしょ。アクシデントに遭うこともなかったでしょう。もちろん、それはたらレバですけどね。いずれにせよ、勿体なかったですよね。戦ってダメだったんじゃなくて、知らなくてダメだった……って何なの? って感じです。
――インディーカーによるアナウンスが徹底されてなかった。スタート前にピットで聞いて回ったけれど、知らない人ばっかりだった。
佐藤琢磨:そうなんですよ。Eメールで来て、それをもらった人ともらわなかった人がいた。致命的だったのはウチのエンジニアのドンの電話がAT&Tなんだけど、電波がここには来てないんですよね。彼にはメールが届かなかった。ドンに来なくても、他の誰かに来てればよかったし、知ってた人がドンに言えればよかったんだけど、パフォーマンス・エンジニアも知らなかった。
――Eメールって、なんなんですかね?
佐藤琢磨:僕らは今日、ストラテジー・ミーティングもなかった。ちょっと酷かったですね。
「ロングビーチは大丈夫でしょう!」
――次はロング・ビーチです。期待ができそうですか?
佐藤琢磨:大丈夫でしょう。ストリートのエアロはセント・ピーターズバーグで良かった。2014年のロング・ビーチは2013年のセッティングがまったく使えなかった。そこに気づくまでにちょっと時間がかかり過ぎてしまった。あぐらをかいちゃってたんで、予選が終るまで気づけなかったんですよね。それが、僕らはレースでクルマが速くなっていたでしょ? 6位まで上がれた。だから、何をどうすれえば環境に合わせられるのかっていうのがわかって来てたんです。それをこのエアロに入れてあげて、セント・ピーターズバーグで良かった部分を引き上げることができればロング・ビーチはきっと行けるでしょう。
――わかりました。期待してます!
以上
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