今回のオープンテストに先駆けて、3月14日にNOLAモータースポーツ・パークで新エアロキットのテストを行った Photo:INDYCAR (Chris Owens) |
Jack Amano(以下――):新エアロ・キットを装着してのテストは、ニュー・オリンズのNOLAモータースポーツ・パークでのテストを1日行ってからでした。今日は48周を走りましたが、どんな1日でしたか?
佐藤琢磨:ニュー・オリンズに僕らは2月にテストをしに行っていませんでした。テスト自体はとても良いものにできたんですが、シェイクダウン的な面がエアロ・パッケージだけじゃなく大きかったテストになっていました。クルマの基礎になるセットアップは、他のチームが2014年仕様のクルマで終えているのに対し、僕らはそれを追いかけるという形になっていたので、パフォーマンス的にはかなり遅れを採ってたんですけど、そこから2日経ってバーバーという知っているサーキットに来ました。こちらでは基本のセットアップは去年のものを踏襲しつつ、こないだのニュー・オリンズで得たエアロのデータをもって色々とやったんですけど、結構難しいですね。
――どのあたりが?
佐藤琢磨:トータルのダウンフォースは出てるんですけど、やっぱりバランスが結構変わるので……。最初はダウンフォースが大きくなってグリップ感が増えて、“いいな!”って感じがあるんですけど、そこから速くして行こうとするとヤッパリ、どうしてもアチラを立てればコチラが立たず……みたいなことになって思うようなハンドリングに仕上がらなかった。でも、まだまだ新エアロ・キットでのテストは本当に始まったばっかりですからね。今日は、そういう意味では有意義なデータが採れたと思います。
「リヤ・ディフューザーのダウンフォースが減ったことでよりセンシティブに」
――2014年仕様と新エアロ・キット装着仕様では、全然フィーリングが違うんですか?
佐藤琢磨:もちろんクルマの根本的な動きは似てます。やっぱり同じクルマだし、基本的な重量配分も変わってないし、タイヤも一緒ですから。ダウンフォースは今年のマシンの方が出てるんですけど、新しいレギュレーションでディフューザーのサイド・ウォールをカットしている状態なんです。新しいエアロ・パッケージでダウンフォースが出過ぎちゃったので、そういうことになりました。それで、ディフューザーのサイド・ウォールがなくなって、それだけでクルマのダウンフォースの3分の1ぐらいがそこで産まれているから、それが無くなっちゃって上物だけ、ボディ・パーツだけで補正してるって感じなんですよ。だからスピード域によってバランスが動いたりするんですよ。そこらへんをうまく使うのが難しいですね。
――両サイド・ポッドの前、フロア・パネルに大きな穴が今年から開き、それによってダウンフォースが大きく減らされた上に、他にもマシン・ルール変更があったんですか?
佐藤琢磨:はい。それがリヤのディフューザーのサイド・ウォールがなくなったコトなんです。それだけで1,000ポンドぐらいダウンフォースが減っているはずです。
――去年まで存在していたサイド・ウォールが切り取られるように無くなっているんですね?
佐藤琢磨:そうです。エアロ・キットによってダウンフォースが出過ぎちゃったからです。サスペンション・アームにも補強が入れられています。ディフューザーはものすごく空力効率の高いところだから、そこを取るっていうのはレースカーにとっては大変なこと。去年のマシンでそれをやったら走れなくなっちゃいますね。新エアロ・キットでは、ディフューザーのサイド・ウォールをカットして減らされる以上のダウンフォースが出ていて、相殺以上の状況にはなってるんですけど、ヤッパリかなりセンシティブになってる。フロント・ウィングを見てもわかるとおり、空気が綺麗に流れることを求めてます。ライド・ハイトに対しても、ロールに対しても、ピッチに対してもセンシティブさが去年よりもかなり扱いづらくなっています。クルマの姿勢を正しく保つため、プラットフォームを正しくするためにみんなかなり硬めのクルマ造りになっていると思います。そうするとメカニカル・グリップをかなりロスするので、そこらへんの帳尻を合わせるのがすごく難しいんです。その点を今日は大分学んだかな? まだ対策はできていないんだけれど、そういうことを発見しましたね。
「エアロの比重が大きくなったマシンで低速コーナーにどう合わせるかが難しい」
――今年のロードコース、ストリート・コースはマシン・セッティングが更に大変になりそうですね?
佐藤琢磨:そうですね。今までは空力効率の悪いクルマだったから、どうしてもメカニカル・グリップに頼る用な足回り造りをしていました。それが今年からはエアロの比重が大きくなったので、もっともっとそこらへんがシビアになって来ると思います。低速のコーナーに向けて足回りをどう合わせ込んで行くのかっていう点が難しい。
――明日のプログラムは?
佐藤琢磨:今日の続きですね。引き続きテストを重ね、マシンをちょっとでも速くしないとなりません。今日はスタートが遅れ、午後はたっぷり走れたけれど消化不良的なところが凄く大きい。2台体制だけれどプログラムをあまり分けることもできていなかった。明日、それをフルにやりたいですね。
――今日はジャックの走行からのフィードバックというのはあまりなく?
佐藤琢磨:あまりありませんでしたね。
――ニュー・オリンズも2台で走って、今回が2台一緒に走るテストは2回目ですよね?
佐藤琢磨:もちろん、お互いにできていないところをカバーするっていう意味では助かってます。でも、それぞれがまだ不完全なプログラムになっているので、あまり補完が無いんですけど、今後はどんどんと良くなって行くと思います。
――シボレー勢が今日は速かったですね?
佐藤琢磨:こちらのコースではもう少し差が縮まるかとも考えていましたが、思ったよりも苦戦していますね。でも、僕らは先ず先にもうちょっと上のポジションまで行かないとならない。明日、自分たちの中でキッチリ走れるようにしたいです。
以上
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