2014年10月31日金曜日

2014 INDYCAR レポート :2015年AJ・フォイト・レーシング 2カー体制は成績向上への大きなステップ

Photo:AJ Foyt Racing
大きな可能性を秘めた琢磨とホウクスワースのコンビネーション

 AJ・フォイト・レーシングが2015年からは2カー体制に拡大される。彼らのチームのメイン・スポンサーを10年間も努めて来ているABCサプライが、2015年にはそのスケールを2台を走らせるに充分なものにしてくれることになったのだ。近年のフォイト・チームはインディー500でのみ、あるいはインディアナポリスでのロードレースで2カー体制による参戦を行うことはあったが、シーズンを通して2台を走らせるのは2002年以来。なお、2015年はシーズンを通して2台を走らせるので、インディー500でプラス1台を走らることはないという


 最近の彼らがインディー500などで2台目を走らせるのは、若いドライバーたちにチャンスを与える目的であった。2015年の2カーへの拡大は、ジャック・ホウクスワースを起用してのものとなる。彼は若手だが2014年に1シーズンをキッチリ戦い抜いたドライバー。今や経験豊富といってレベルにある佐藤琢磨とのコンビネーションは、とても大きな可能性を秘めたものとなる。スピードを備えた若手によって、琢磨にも好影響が及ぶこととの期待ができる。因みに、ホウクスワースのマシンだが、カー・ナンバーは41番になる。

ホウクスワースのエンジニアはラウル・プラドス
 インディー500で史上最多の4勝を一番最初に挙げた伝説のドライバーで今もチームのオーナーであるAJ・フォイトは、「ジャックを迎えての2台体制の実現をラリーをはじめとするチーム全体が喜んでいる。充分な資金と体制が整わない限り2台を走らせることはない。私たちはずっとそう考えて来ていた。ABCがスポンサー活動の拡大を決意し、私たちに2台体制をトライさせてくれることになったのだ。ABCとはもう10年の付き合いになり、この契約は2016年まで延長された。素晴らしいことだ。彼らは我々にとって強力なサポーターであり続けてくれている。来シーズンのスタートが本当に楽しみだ」とコメントした。
 AJ御大はさらに、「我々は昨年、ジャックのレースを注視していた。琢磨も彼には注目をしており、非常に優れたドライバーであると感じていた。全員の意見が一致した。彼は23歳という若さで、エンジニアにも若いのをつける。彼らは2台目となるが、我々にとっては2台両方がメイン。ふたりのドライバーたちはうまくやって行けそうだし、どちらも優勝できる力を持っていると考えている」と語った。
 現場を取り仕切るチーム・ディレクターのラリー・フォイトは、「2台体制が自分たちの目指していた次なるステップだった。しかし、それを実現するためには多くの資金が必要だ。私たちは体制拡大の必要性をABCに訴え、我々のヴィジョンに共感し、提案を受け入れてくれた」と説明した。

 ホウクスワースのエンジニアには、スペイン出身のラウル・プラドスが起用される。ドン・ハリデイの右腕としてフォイト・チームで2シーズン働き続けて来た彼は、2014年のGP・オブ・インディアナポリスとインディー500にマーティン・プラウマンがスポット参戦をした際、レース・エンジニアを務めた。2015年シーズンは、いよいよ1台を完全に任されるのである。

ホウクスワースの加入は大歓迎、と語る琢磨
 琢磨は2カー体制への拡大とホウクスワースの加入について、「我々のチームを誇りに思う。2シーズンに渡って一緒に戦って来て感じているのは、このチームなら共に目標を達成できるということ。この2年間継続的に仕事をして来て、来年は3年目になるので、自信はより大きく感ずることができている。2台体制はずっと望んで来ていたことだし。近頃はレースウィークエンドに走れる時間が短いので、2台体制はデータが倍増するので大きなプラスになる。ジャックと僕は力を合わせ、チームのレベル・アップを実現したい」とコメントしている。
 琢磨はホウクスワースというドライバーに関しては、「若いドライバーの加入は大歓迎。AJが話した通り、我々は出場ドライバー全員を常にチェックしていた。ジャックはとても才能があり、その素晴らしいスピードを見せていた。みんなが彼の加入を望み、最終的にラリーが決断した。彼と一緒に走る来シーズンが本当に楽しみだ。チームにとって完璧なコンビネーションだと思う」と話した。

望んでいたプログラムがここにはある、とホウクスワース
 ホウクスワースは、「AJ・フォイトのチームで走れるなんて、まさに夢が叶ったという感じだ。このチームにはすごい人材が揃っている。まだワークショップに何度か行っただけだけれど、チームの全員と良好な関係がすでに築けていると感じている。まずラリーに感謝したい。そしてABCサプライにも感謝する。僕の力を信じ、賭けてくれると決めたAJにも。話が始まったのはシーズンの終盤。可能性があると聞いた時、僕はすぐさま、“ここしかない!”と思った。ラリーとクルーたちには9月に会いに行った。1日を一緒に過ごし、“このチームで走りたい”と改めて感じた。望んでいたプログラムがここにはある」と期待に胸を膨らませている。
 ラリーはホウクスワースというチョイスに関して、「インディー・ライツにも才能ある若手は多くいるが、我々としては最低でも1シーズンをインディーカーで過ごしているドライバーを起用する意向だった。レースの行なわれるコースをすべて知っていれば、2台目を即座に機能させることが可能だからだ。ジャックは条件にピッタリ合っていたし、優勝に最も近いドライバーだと感じられた」とも語っている。

「チームメイト同志ぶつかってはならない。それは重要なこと」
 AJは来シーズンに対して、「ふたりには思い切り、力の限り戦ってもらいたい。全力で競い合えば、勝利を手にすることができるだろう。ただし、チームメイト同志でぶつかってリタイアしてはならない。それはとても重要なことだ。ふたりはどのレースでも上位で戦うことができると思う。自分たちにとって大きな意味を持つ1年となること、おおいに楽しめる1年になることと期待している。そもそも、楽しめないなら、やるべきじゃないんだ。勝ちたいからレースをしているんだが、楽しむことも大切。私は2カー・チームをそう見ている。お互いに思い切りハードに走り、しかしブツケ合うことはしない。どちらかが速いという事態も起こり得るけれど、それこそがレースというものなのだ」とも話した。
 そしてホウクスワースは、「2カー・チームで走れるのは本当にファンタスティック。琢磨がチームメイトというのもファンタスティックだ。彼は本当に速い上、技術的な面でも優れている。まだ一緒にサーキットで働いてはいないが、テストでふたりのドライヴィング・スタイルを比較するのが楽しみだ。マシンにどんなことを求めるのか、ふたりに共通点があるといい。1台体制の2倍のデータや情報がある。1台と比べれば良いことずくめだ。早く琢磨と一緒に走ってみたい。そして、僕らはお互いにプッシュし合い、チームも成長をして行くことができると思う」と語った。

「僕ら二人のドライバーはAJの言うように全力で戦う」
 琢磨はずっと、「1台体制は厳しい」と言い続けていた。「時間がないのでバック・トゥ・バックのテストができない」。2015年、ついに琢磨は望む体制を手に入れる。「3年前に僕が入った時点でチームにはすでに大きな力が備わっていた。僕らはスピードを見せ、ロング・ビーチで勝てたのはファンタスティックだった。その後も僕らは全力でプッシュを続けて来ている。しかし、2014年は少々不運なシーズンだった。スピードはあり、2回のポール・ポジション獲得はなったものの多くの不運に見舞われた。そんな状況でも僕らは頑張り続け、ヤル気を失うことはまったくなかった。クルーもエンジニアも全員が力を合わせて働き続けた。そして僕らは今、2カーに拡大するチャンスを掴んだ。2015年はプライベート・テストの日程も減るので、2台を走らせることで得られるデータ量の豊富さはとても重要な意味を持つ。空力パッケージが新しくなる点でもそれは言える。僕らふたりのドライバーたちは、AJが言った通りに全力を出し切って走り続けるつもりだ。僕らのチームを取り巻く状況は何もかもがポジティブになっている。チームは成長している。2015年もこのチームで走れることを嬉しく思う」。インディカーでの6シーズン目は、琢磨にとってのベストのものになりそうだ。
以上

2 件のコメント:

  1. 琢磨&ジャックとても楽しみだけどピット作業をもっと素早くやらないとね!

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  2. そうそう!!!今シーズンを見ている限り、ピットワークは下手だった・・・もう1秒でも早ければ、琢磨選手も無理をしたり、強引にならなかったり、不運な事故に巻き込まれる事が少なかっただろうと思います。選手の強化イコール、チームの強化も♪

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