スチュワート本人のコメントは伝わってきていないが… Photo:INDYCAR (Jim Haines) |
先日お伝えした通り、NASCARを放映しているFOXのホームページには、「15年に近い禁固刑となる可能性が高い」という、一人の法律専門家の見解が事故の後すぐに出された。
事故の起きた州の大手新聞=ザ・ニュー・ヨーク・タイムズは、「スチュワートがアクセルを踏んだことが争点になる」とズバリ、ポイントを言い当て、全国紙のUSAトゥデイは、スチュワートの法によって裁かれる可能性を示唆していた。
火曜日になって、ニュース専門テレビ局のCNNがサイトに載せた彼らの法律関係コンサルタントによる記事は、「トニー・スチュワートに刑罰が下る可能性はない」というものだった。「この事件を犯罪として取り扱うためには、スチュワートが故意にクルマを被害者に向けて走らせた証拠が必要で、相手を殺したり怪我させる意図があったと証明することが必要」と彼は書いた。不可解なのは、「スチュワートがどのようにクルマを操作したかの見極めるコトも必要」と言っておきながら、スチュワートが死傷事故現場直前からアクセルを踏み込んでいる点には一切触れていない点だ。彼はまた、「実際、スチュワートのクルマは少しテールが流れているように見えるが、それはウォードJr.とのぶつかるのを避けようとしたためと見られる」とも書いている。
「生涯刑務所に入っているべき」とあるダート・レーサー
スチュワートがウォードJr.を轢く直前に強くアクセルを踏み込んでいたのは、ネットにアップされたビデオを見れば明らか。そして、それは接触を避ける目的でのアクセル・オンだったとは考えにくい。アクシデントの一部始終をスタンドで見ていた現役ダート・レーサーは、「人を轢こうなんて誰も考えないが、ウォードJr.は怒りをスチュワートに伝えたかったし、スチュワートも“自分だって怒っている”との意思表示をするつもりだった。そして、それが一線を越えてしまったんだ」との分析を披露している。そして彼は、「スチュワートは生涯刑務所に入っているべき」と断罪した。
担当シェリフの不可解な対応
イン・カー・カメラの存在もウヤムヤに
捜査はまだ継続中で、今後1ヶ月ほどかかる可能性もあるというが、現地のシェリフたちは最初から刑事事件にしない意向とも見えている。事故の翌日の日曜の時点で、「スチュワート氏に刑事事件としての嫌疑は一切かけられていません」と担当シェリフはコメントし、月曜日に記者会見を開くと、「誰にも犯罪の嫌疑はかけられていません。そうなる可能性を持つ証拠なり事実も存在しません」と再度表明した。
とは言うものの、彼らはアクシデントを目撃したファンへの聴取や、レースの専門家たちの意見を聞くこともしている。不幸な事態の起きた原因を追及すべく、慎重に現場の再現などを試みるというのだ。
スッキリしないのは、アクシデント直後に「スチュワートのクルマにはゴー・プロのカメラがマウントされていた」という証言がネットに載っていたが、そこが現在ではウヤムヤにされている点。「シェリフはスチュワートのマシンにイン・カー・カメラは搭載されていなかったと明言した」と書いている記事があると思ったら、「シェリフはその質問に明確に解答しなかった」とする記事も見られた。
ただ、この担当シェリフによる、「43年間この仕事をして来ているが、レースでの死亡事故の直後に逮捕された例は思い出せない」というコメントは随分と的が外れていて、本当に捜査がしっかりと行なわれるのかが心配になる。レース場でのアクシデントで人が死んだケースとは、そのほとんどがレーシングカーに乗っていたドライバーのもののはず。今回のように、コース上を歩いていたドライバーをはねたケースなんてそうそう起こるもんじゃない。本来起こるべきものではないし。
現在は悲しみにくれ、口を閉ざしている遺族たち(一人、叔母が怒りをぶちまけているが)だが、彼らが民事で争う構えを見せる可能性は十分にある。「スチュワートに御咎めナシ」とそうそう簡単になるとは考えにくい。
今週末にはインディアナ州プリマスでダート・レースに出場予定だったスチュワート。しかし、彼はエントリーを引っ込めた。注目されるのは、今週末に開催されるミシガン州ブルックリンでのNASCARスプリント・カップのレース。果たしてスチュワートは出場するか。
以上
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