Photo:INDYCAR (Richard Dowdy) クリックして拡大 |
Jack Amano(以下――):ファイナル・プラクティスは日が沈んで一気に涼しくなっていましたね。
佐藤琢磨:インディカーが明日のスタート時刻とほぼ同じにプラクティスを遅らせてくれました。最初のスケジュールだと日没前で、西日が目に入って危ないってこともありました。スタートとほぼ同じ時間帯となったことですごく良いシミュレーションができましたね。
クルマは予選だか、予選シミュレーションかで使ったタイヤを使いました。フレッシュじゃないけど、ものすごく暑いコンディションで1回ヒート・サイクルを行ったタイヤでした。燃料もフルタンクではないのだけれど、タイヤに合わせて少し少なくした量を搭載してました。まずはクルマのセッティングを見たかったので、パックからはちょっと離れて走ってました。単独走行でしたからスピード自体はそんなに伸びていないんだけれど、でもかなりコンシスタントに214mph台で走れてたので、感触としては良いですね。1回ピットに入ってからパックで走りたかったんだけど、トップ5を走ってた連中はニュー・タイヤだったらしく、ちょっと追いついて行けなかった。僕の方はタイヤがもうほとんどスティントの終りの方の状態になっていたので、タイヤの差が相手との間にはありましたね。アクシデントが起こって走行時間が短くなってしまいました。最後にニュー・タイヤでのマシンのバランスも見たかったんですけどね。
――目の前でアレシンがアクシデントを起こしましたが?
佐藤琢磨:ちょっとドライバーが心配です。僕の方も怖かったですね。イエローが出る前にアクシデントになることがもう見えてたんですけど、煙がすごかったし、火を噴いてた。それと破片が飛び散って、宙に飛んだ破片がコースに落ちる前に僕は通過し始めたぼで、避けきれなかったです、雨みたいに降って来ていて。だから結構僕のクルマも細かいダメージを受けました。ウィングとかアンダー・トレイとかはアッセンブリーで交換することになると思います。結構怖かったですね。ブレーキも踏めないし。ブレーキを自分が踏めばバランスをロストする心配があったし。それでニュー・タイヤが試せなくなったワケですけど、それが残念ですね。まぁユーズドである程度、クルマのスタビリティというか、感触が今日の昼よりも良かったので、それは収穫でした。
「朝のセッティングではクルマがうまくハーモニーを奏でていなかった」
――朝のプラクティスではマシンの状態が悪かった。セットアップは随分色々と変えたんですか?
佐藤琢磨:そうですね。それが良かったと思います。例えばメカニカル・バランスとエアロ・スタビリティとか色々とセッティングの要素がありますよね。それらの状態を示すグラフを作った場合、全体的にバランスが良いと丸ができるんですけど、今日の朝のセッティングは、良いと思ってトライしたものでしたけど、丸の中に入り切らず、三角形が幾つも飛び出してイガイガしてるようなグラフになってたんです。クルマのバランスが、うまくハーモニーを奏でていなかったワケですよね。だからクルマが唐突な動きをしたり、すごくクルマの状態が乗っていてもわかりにくかったり、そういうクルマになっていました。でも、ひとつひとつを見れば、セオリー上のメカニカル・バランスは良かったりしてたんですよね。でもそれよりもプラットフォーム・コントロールの方が大事だということがわかってかなりの修正を加えました。それによって本当にグラフが奇麗に丸を作るようになって、クルマ全体がリヤ周りも含めて一緒に働き出しましたね。そうすると、リヤがキマリ出して、アクセルを踏んで行けるようになったんです。僕らは今朝、予選のシミュレーションがうまく行かなかった。思い切り踏めなかった。しかも僕らは去年予選をできていないので、予選用セッティングでのアタックというものがどんな風になるのかを知らない。だからウォーム・アップ・ラップで一度ボトムに行って試したりしながら走りましたね。あとは他のドライバーたちの走りを見るチャンスがあったので、普段ならターン1~2でボトム側に降りているドライバーが下がれてなかったから、結構厳しいんだろうなと見てました。それで自分はターン1~2は第3レーンを走って、ターン3~4は下側を走ったドライバーたちが結構速かったので、自分も思い切って行ってみました。そして、そこでクルマ自体が踏ん張ってくれたのでいいタイムが出ました。
――そこまで色々ラインを変えて……という予選アタックは今までに見られなかったパターンですよね?
佐藤琢磨:うん、初めてですね。2012年の僕ら(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング時代)は事前テストをしなかったので、予選のことが全然わからなくて、5mphぐらい遅かったのかな? クルマも全然決まってなかったし。それでもジェイ(・オコーネル)と作った決勝用のクルマはすごく良くて、決勝で初めて僕は上の方を走れました。それも多分、50周ぐらいしてから。だから、そういう意味では去年の方(AJ・フォイト・エンタープライゼスでのエントリー)がこのコースをどう走ればいいのかっていうのはわかって来ていたけれど、予選は走れなかったから……。
――レースは日没後なので、今日のファイナル・プラクティス以上に涼しいコンディションでの戦いがメイン。予選とはまったく違ったマシン、そして戦いになりますね。
佐藤琢磨:そうですね。ただ、今年のオーバルにおけるタイヤの摩耗ってかなり激しいので、去年よりもボトム・レーンに行く機会は少ないだろうし、追い抜きはフォンタナをもってしても難しくなるんじゃないのかな?
「スティントの終わりでどれだけバグリップ・ダウンを抑えるかが勝負」
――そうなるとピット・ストップの確実性とスピード、ピット・タイミングなどが重要になりますね。
佐藤琢磨:はい。あとはタイヤをいかに持たせるか。1回のスティントも長いですし、レースも500マイルと長い。またピット・ストップは6回とか7回とかの回数になって来ます。タイヤが同じフレッシュ同士の時にはあまり追い抜きはないのかもしれないけど、スティントの終わりの方でみんなおそらくスピードが大きくダウンするので、その時にどれだけバランスを保って、グリップ・ダウンを抑えているかが勝負になるかな、と思います。
――シーズン最後のレースということで、意気込みもまた違うのでは?
佐藤琢磨:まぁ、意気込みはいつもと変わらないけど、ソノマで好い結果を出せたし、ここフォンタナでもまた同じように予選で4位というポジションを獲得できたので、流れとしては良いと思います。決勝、長丁場ですが、最後はベスト、ベストで終りたいですね。
――是非、お願いします。表彰台を見たいです。
佐藤琢磨:はい。お願いされます(笑)。
以上
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