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レース2はローリング・スタート。予選グループ1で5位=10番グリッドだった佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は、ラップ1を終えると9位に上がっていた。琢磨がパスしたのは予選9位だったルーキーのカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)。そのムニョスはさらに予選11位だったスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)、予選14位からジャンプ・アップしていたファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)、予選12位だったルカ・フィリッピ(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)にも抜かれ、13位まで落ちた。
琢磨はこの後カナーンもパスしたが、その後にレース・コントロールらら「ムニョスの後ろまで下がれ」との指示が出された。「スタート直後のシケインをショート・カットしたペナルティ」ということで。これが急激なポジション・ダウンに繋がった。
「シケインを抜けた後でいるべき位置に戻った」と琢磨
「最初のシケインにムニョスとはサイド・バイ・サイドで入って行った。彼が内側で僕が外側。強制的に、押し出される感じになった。僕はしょうがなくシケインをショートカットするカタチになったのだけれど、彼を抜くんじゃなくて、シケインを抜けた後で居るべき位置に戻った。次のターン4ではすぐ前にクルマがいて、次のターン5で僕はようやくムニョスを抜いた。その時点で1回ポジションを戻しているというか、ポジションを与えているから、僕はペナルティの対象にはならないはず。で、その後にカナーンを抜いたり、他にももう一人(ジェイムズ・ヒンチクリフ/アンドレッティ・オートスポート)を抜いてポジション的にはかなり上がって、逆にムニョスは下がっていっていたんだけど、なぜかショート・カットによるペナルティとなった。しかも、ムニョスを前に行かせなきゃいけないっていうので3台ぐらいに行かせた。ムニョスがポジションを下げているのは僕のせいじゃないのに、僕はムニョス待ちをしなきゃならなかった。ワケがわからない」と琢磨は憤りとともに説明した。
仕方なくムニョスをパスさせたことで15番手まで後退
「事情を一生懸命にラリー(・フォイト)に説明しようとトライしたんだけど、一緒にボタンを押したりとかがあったのか、僕が言ってることが聞こえないみたいだったので、その時にもう諦めた。何を言っても結局ダメで、とにかく前に行かせなくちゃならないっていう話だったので。しょうがないからムニョスを待った。それで彼に行かせたんだけど、すぐ後にライアン・ブリスコー(チップ・ガナッシ・レーシング)とか他のクルマにも抜かれてしまった」(琢磨)。
まずカナーン、次にムニョスの前を走っていたモントーヤ、そしてムニョス。これで3つのポジション・ダウン。そして、ラインを一瞬外れてスピードが落ちたところを、ブリスコー、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)がパスして行った。琢磨は一気に15番手にダウンした。しかし、そこからの琢磨はロスを一気に挽回し、さらには6位にまで大きくポジションを上げてみせた。
「レッド・タイヤでみんな苦しんでいたけど、僕らはソコソコのペースが出てたのでピット・ストップのタイミングを引っ張り、ポジションを巻き返せた」(琢磨)。
琢磨を抜いて行ったハンター-レイ、カナーン、ブリスコーはそれぞれ17、19、20周目にピットでブラック・タイヤへとスイッチし、21、22周目にはトップ集団からディクソン、ヒンチクリフ、ジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)が同じくピット。琢磨は27周目に最初のピットストップを行う直前に6位を走った。そして、全員が1回のピットを終えていた32周目、琢磨のポジションは10位に落ちついていた。
パワー、予選18番手からあっという間に3番手に浮上
序盤に速かったのはポール・シッターだったエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)、予選3位からチームメイトをスタート・ダッシュでパスして2位に浮上したシモン・パジェノー(シュミット・ピーターソン・ハミルトン・モータースポーツ)、予選5位だったセバスチャン・ブルデイ(KVSHレーシング)、そして、予選18位だったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だった。
特に目立ったのがパワーの大幅なポジション・アップ。18位スタートから3位(!)。スタート時に唯一フレッシュ・レッド・タイヤを装着していたとはいえ、ハンター-レイ、カルロス・ウエルタス(デイル・コイン・レーシング)、フィリッピ、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)、琢磨、ブリスコー、ムニョス、モントーヤ、ディクソン、ブルデイの10人をコース上でパス。5人は彼より先にピットした。パワーのピットクルーの作業時間が素晴らしかったこともあり、彼のポジション・アップは実現したようだ。
カストロネヴェス、パジェノーに首位を明け渡した直後にクラッシュ
ムニョスがウォールをヒットして出されたフルコース・コーション1回目の間、琢磨は8番手につけていた。前を行くのはカストロネヴェス、パジェノー、パワー、ブルデイ、フィリッピ、モントーヤ、ヒンチクリフだった。
Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大 |
49周目、ブラック・タイヤでのスピード差をアドヴァンテージにパジェノーがカストロネヴェスをパス。すぐ後にカストロネヴェスはブルデイと接触、自分だけクラッシュしてリタイアを喫した。ライバル勢と逆の作戦を採用、ブラックでスタートしていたブルデイはこの時レッドを装着。そのことがカストロネヴェスの頭にはあったと思う。少し前にブロッキングで警告を受けいたことも彼をカッカさせていただろう。
ブルデイを抑え込む役をパジェノーにやらせるために、カストロネヴェスはできるだけ早くトップに返り咲く必要があった。ターン6へのアプローチでパジェノーは防御的にイン寄りを走った。その更にイン側を覗き込んだカストロネヴェスだったが、パスが無理と見て急激にアウトサイドへとマシンを振った。するとそこにはノーマル・ラインでアプローチしていたブルデイがいて、2台は接触した。
シェル・カラーのマシンで走るカストロネヴェスとしては、シェルがメイン・スポンサーを務めるヒューストンに対して思い入れが非常に強い。特に、昨年ポイント・リーダーとしてこのレースを迎えたながら、2戦ともギヤボックス関連のトラブルで上位フィニッシュができなかった(そして、タイトルも獲り逃した)ため、そのリベンジを熱きブラジリアンは意気込んでいた。そして、少々熱くない過ぎてしまったのだ。
その2に続く
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