2014年6月29日日曜日

2014 INDYCAR レポート 第9・10戦ヒューストン Day2 Race1 予選:シモン・パジェノーがキャリア初ポールポジション!佐藤琢磨はファイナル進出を果たすも予選6位

Photo:INDYCAR (Chris Jones)
Q1はは全車がブラックで3周、残り4周はレッドでの走行に
 午前中だというのに気温は31℃に達していた。昨日より若干暑いコンディションでヒューストンのレース1用予選は開催された。
 グループ1は出場23台を2グループに分けて行なうもの。まずは昨日のプラクティスで奇数順位だったドライバーたち12人が走った。
 10分間の予選の時間配分は、どのチームも同じ作戦となっていた。ブラックで3周を走り、残り4分半からレッドタイヤでアタックするというものだ。レッドでの走行は最大で5周行えていた。


 ブラックでの3ラップで最速だったのはチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。タイムは1分0秒7993。
 レッドに換えてアタックを始めた12人の中から、最初に1分を切るラップタイム=59秒8707を記録したのはエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)だった。それを昨日のプラクティスで最速だったシモン・パジェノー(シュミット・ピーターソン・ハミルトン・モータースポーツ)が59秒8408で上回った。ジェイムス・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)も59秒台をマークし、パジェノー、カストロネヴェスに続く3番手となった。
 4番手はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)の1分0秒0066。5番手はセバスチャン・ブルデイ(KVSHレーシング)の1分0秒0572で、6番手は1分0秒0849のスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)だった。
 ブラックでトップだったキンボールは惜しくもQ2進出を逃す7番手。6番手のディクソンとの差は0.0442秒しかなかった。

昨日好調のブリスコー、昨年のウイナー、コンウェイはQ1敗退
 昨日のプラクティスで3番手につけていたライアン・ブリスコー(チップ・ガナッシ・レーシング)は8番手でQ1敗退を喫し、今年のロング・ビーチ・ウィナー、マイク・コンウェイ(エド・カーペンター・レーシング)も昨日より状況は好転しているものの9番手でQ2進出はならなかった。彼らの他はルーキー3人が10番手から12番手に並んだ。カルロス・ウエルタス(デイル・コイン・レーシング)、昨日アクシデントをこしているジャック・ホウクスワース(BHA/BBM・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)、そして、ロング・ビーチで3位フィニッシュしているカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)という順だった。
 
Q2、レッドでの戦いを佐藤琢磨が制す!!

 グループ2でもブラック3周、残りをレッドという戦い方を全チームが行なっていた。
 ブラックでの最速はジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)で、2番手はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、3番手は佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)だった。
 レッドでの戦い、イニシアチブを取ったのは琢磨だった。1ラップ目こそ1分0秒2945で2番手だったが、アタック2周目に59秒6408を出してトップに立ち、次のラップはスロー・ダウンしてタイヤを温存する余裕さえ見せた。
 琢磨はトップでのQ2進出。2番手には今年初登場、キャリア5戦目のルカ・フィリッピ(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が59秒6560のベストで来た。3番手はニューガーデン=59秒7711。1分を切ったのはグループ1と同じく3人だった。
 4番手は1分0秒1241のファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)で、5番手はジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)=1分0秒1406。6番手はルーキーのミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)=1分0秒1713だった。
 7番手はグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)。新規参戦のチームメイトに0.5931秒の差をつけられてのQ1敗退は厳しい結果だ。
 8番手はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)。開幕戦では予選ファイナルに進出して6位。第2、3戦でもトップ10入りしていたが、GPオブ・インディアナポリスからロードコースでの予選パフォーマンスが低下している。
 9番手はパワー(!)。昨日のプラクティス2では「クリア・ラップが取れなかった」と話していたが、実際にはマシンのセッティングで苦戦をしているということのようだ。パワーのQ1敗退はデトロイトでのレース1に続いて今季早くも2回目となる。パワーはロードコースでは常に速いイメージがあるが、今年の予選ではファイナルに進めたのが6戦の半分の3回だけとなっている。それだけ今シーズンはチーム間の実力差が小さくなっているということだ。
 グループ10番手はセバスチャン・サーヴェドラ(KV/AFSレーシング)。そして、最下位の11番手だが、これが何とトニー・カナーン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)だった。カナーンのベスト・ラップは1分0秒6919と、昨日の時点でパジェノーがブラック・タイヤで出していたベストよりコンマ5秒も遅かった。
 今回はグループ1の方が競争は激しく、グループ2で4番手だった(コース・コンディションはタイヤ・ラバーがより乗った、タイムの出し易いものになっていたはずなのに)モントーヤのベストは、グループ1だったらQ2進出を果たせないものだった。
 Q2でも戦い方の基本は変わらず。ただし、琢磨陣営はブラックでの走行を2ラップに抑え、レッドでのアタック開始までに時間的余裕を持たせていた。琢磨はレッドでのアタック開始をQ1とまったく同じ残り4分20秒で開始。59秒3338でトップに立ち、次のラップで59秒2248にベストを更新して、Q1に続いてトップ通過を果たした。
 2番手はヒンチクリフの59秒2951で、3番手はカストロネヴェスの59秒2970。4番手はディクソンの59秒3276で、5番手はフィリッピの59秒3399。パジェノーは59秒4010を最後のラップでマークし、ギリギリでのファイナル進出を果たした。
 惜しくもQ3行きを逃したのがウィルソン。59秒4245は、パジェノーに僅かに0.0235秒届かないだけだった。
 8番手はハンター-レイ、9番手はブルデイ、10番手はアレシンで、11、12番手はモントーヤ、ニューガーデンだった。ここでランキング3位のハンター-レイも敗退。ファイナルを戦う6人は、フォイト、アンドレッティ、ペンスキー、ガナッシ、レイホール、そしてシュミットからそれぞれ1台ずつとなった。

 
ファスト6で佐藤琢磨不発! パジェノーが初ポール
 こうして迎えた予選ファイナル・ステージ。琢磨はQ1でもQ2でもレッドで走った周回数ライバル勢より1周少ない状況で、ヒューストンでの2年連続ポールポジション、今季3回目、キャリア6回目のPP獲得の期待を大きく持っていい状況となっていた。
 しかし、琢磨はファイナルでは最下位の6位となった。Q1、Q2と同じくブラック・タイヤで走行し、レッドに履き替えてアタックしたのは琢磨陣営だけ。他の5人はレッドでのアタックだけを行った。
 琢磨は残り4分でレッド装着でのコース・インを行なった。Q1、Q2よりやや遅いタイミングだが、2ラップのアタックで目標を達成する計画だったのだ。
 しかし、琢磨のアタックは不発に終った。ベストを狙った2周目のアタックが1分0秒4037という思いの他遅いラップにとどまったためだった。
 「ブラックで走った時点ですでにグリップが低かった。コンディションが変わったからなのか、ユーズド・タイヤだったからなのか、理由はわからない。でも、ライバル勢がユーズド・レッドでタイム更新をしていたのに、自分たちがだけがユーズド・レッドでラップ・タイムが遅くなっていたのが気になる」と琢磨は決勝に向けての不安を口にしていた。
 パジェノーはキャリア初ポールポジション。プラクティスで速くても予選で実力をフルに発揮できないパターンが続いていた彼だが、ヒューストンでは常に1周目で入念にタイヤを暖め、徐々にスピート・アップをして行くスタイルを保ち続けていた。
 「初ポールは本当に嬉しい。ずっと達成できずにいたのでね。マシンのサスペンション・セッティングを向上させるべくセブリングでテストを行なったが、その効果が出た」と喜んでいた。「スタンディング・スタートだし、ポールは大きなアドバンテージだ」とも彼は語った。

以上

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