2014年6月10日火曜日

2014 INDYCARレポート 第8戦テキサス Race Day :テキサス優勝はエド・カーペンター! インディー500の悔しさをテキサスで晴らす!!

Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
カーペンターとパワーの2台のトップ争い
200周目に愛とサイドからカーペンターが首位に


 ロードレースを任せられたマイク・コンウェイ(エド・カーペンター・レーシング)が開幕2戦目のロング・ビーチで優勝し、オーバルに専念することを決めたオーナー・ドライヴァーのエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)も、インディー500に続くオーバル2レース目となったテキサスで今季初勝利を飾った。予選5位から発進。淡々と走っているように見えていたレース前半だったが、カーペンターは走りながら可能な限りの情報収集に努め、レース終盤の勝負に備えていた。そして、最後の最後に待ち受けていた試練も難なく乗り越え、キャリア3勝目、テキサスでの初勝利を挙げたのだった。
 248周のレースが200周に近づいた頃、カーペンターはトップを行くウィル・パワー(チーム・ペンスキー)に近づき、アウトから豪快にパスした。「パワーは先頭を走れば速かったが、トラフィックの中なら僕らの方が明らかに速かった。周回遅れが出現し出してから、僕らの方が戦い易くなっていた」とカーペンターは振り返った。
 213周目、トップのカーペンターと2番手のパワー、ふたりが最後のピット・ストップ。ここでパワーが一挙に差を縮めた。チーム・ペンスキーのクルーたちが素晴らしいピット作業を施したからだった。しかし、パワーはこの直後、ピット・スピード違反のペナルティを告げられた。ピット入口でスピード・オーバーを冒したのだった。
 パワーはギリギリでラップ・ダウンになることは免れたものの、順位は6位にまで下がってしまった。
 これでレースの様相がガラリと変わった。トップのカーペンターは2番手に浮上したトニー・カナーン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)に9秒以上という大差を持つこととなったからだ。その後に2番手はファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)の手に移ったが、カーペンターのリードは16秒にも広がった。


レース大詰めになって佐藤琢磨のエンジンがブロー!
カーペンターはステイアウトして勝負はラスト2周のリスタートに


 緊迫したレースは終了し、カーペンターが楽勝のゴールを迎えるものと見られた。しかし、まだドラマが残されていた。残り7周で佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)のエンジンがブロー。イエローが出たからだった。
Photo:INDYCAR (Chris Owens)
 インディー500のようにレッド・フラッグが振られても不思議のない状況だったが、そうはならなかった。レースは残り3周、あるいは2周で再開される見込みが立てられた。もうリード・ラップには6台しか残っていなかったことから、6番手のパワーがまずはピット・インしてタイヤを新品に交換。次の周には5番手を走っていたシモン・パジェノー(シュミット・ピーターソン・ハミルトン・モータースポーツ)も同じ作戦に出た。
 そして、グリーン・フラッグは残り2周で振られた。ランニング・オーダーはカーペンター、モントーヤ、スコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)、カナーン、パワー、パジェノーの順だった。
 最後のリスタートで冷静にトップを保ったカーペンターは、『自分のマシンが持つ力を最大限引き出し、ベストのスピードを保ち続けるよう集中して』最後の2ラップを走り、優勝のチェッカーフラッグを潜った。「インディーで大きなチャンスを失った、あの悔しさはまだ忘れ去ることができていない。しかし、インディーで残せなかった好結果を、今日こうしてテキサスで獲得できたのは、チームにとって大きな喜びだ。最後のイエローで僕らはピットに入りにくかった。もっと周回数が残っていたらそうしていたかもしれないが、残り3周でのリスタートなら、とタイヤを換えない作戦に決めた。今日のレースでは、タイヤの摩耗は過去2年ほど酷くはなかった。インディーカーのルール変更が正しく、ファイアストンが素晴らしいタイヤを作ってくれたおかげだ」ともカーペンターは話した。

パワー、ペナルティを跳ね返し2位でフィニッシュ
 2位はパワーのものとなった。ピットでフレッシュ・タイヤを装着した彼とパジェノーは、リスタートとともに一気にダッシュ。アウトにラインを採ったパワーはカナーン、ディクソンを連続してパス。一方でパジェノーはディクソンに最初のアタックを封じ込まれながら、その後にラインを変えてアタックし続け、ガナッシ勢を2人ともパスした。
 パワーは勢いに乗って最終ラップにはチームメイトのモントーヤさえもパス。カーペンターには届かなかったが、2位でのゴールを果たした。「今回もドライブ・スルーのペナルティを受けてしまった。5戦で4回目だ。パワーはペナルティを受けない、と言っている人たちは狂っている。毎レースでペナルティを受けているじゃないか。今日のエド(・カーペンター)は強力だった。彼は本当に凄いドライヴァーで、もしもあの違反がなかったら、私はゴール前に彼との激しいバトルを戦えていたかもしれない。僕のマシンは長いスティントの終盤で速さを発揮してもいたし。しかし、今日のところは2位でハッピーだ。とても楽しめたレースでもあった」とパワーは語った。
 今日彼がペナルティを受けたのは、彼が逃れようのないピット・スピード違反を冒したからで、世間が”パワーはペナルティを受けない”と言っているのは、ラフなドライヴィングなど、判定のシロクロがつけにくい状況でのものについてだ。


モントーヤ、悔しい3位も「こんなに楽しめたレースは久しぶり」
 モントーヤは悔しい3位。リスタートでのオーバーテイク、そして復帰後初優勝を狙ったが、カーペンターのリスタート前のスピード・コントロールが巧みで、逆転のチャンスを掴めず、さらには順位を落とす結果となったからだ。しかし、レース後の彼は、「こんなに楽しかったレースは久しぶりだ。オーバーテイクは難しかったが、それを実現させるのはエキサイティングだった。接近戦が延々と続いていた」と語った。
 パジェノーの4位もまた悔しい結果だろう。パワーと同じラップにピットでタイヤを交換していたら、彼の方が2位争いを行なえて可能性もあったからだ。
 ガナッシ勢は最後の最後で揃って順位を落とした。リスタート時には3、4位を走っていたディクソンとカナーンだったが、彼らは5位、6位でのゴールとなった。
 以下、7位は1ラップ・ダウンの最上位となったライアン・ブリスコー(チップ・ガナッシ・レーシング)で、8位はチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング)と、最終的にガナッシ・ドライヴァー4人は全員トップ10フィニッシュを果たしたのだが、諸手を挙げて喜べるフィニッシュ・シーンとはなっていなかった。

アレシン、またしてもトップ10フィニッシュ
高速オーバルのハンドリングに課題が残ったフォイト陣営

 9位でゴールしたのはルーキーのミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)。デトロイトでのレース2に続いての、通算2回目のルーキー最上位フィニッシュだ。これは大健闘だ。
 エリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)はとうとう最後までトップ争いに加わるスピードが得られなかったが、粘り強さを発揮して10位フィニッシュした。
 琢磨はハンドリングの悪さが結局今回のレースでは解決されず、苦しい戦いを延々と続けていた。「いつカウンターを当てなきゃならなくなるのか、常に緊張して走ってました。走り始めはアンダーステアで、少し経つとニュートラルになるんだけれど、その先は右のリヤ・タイヤ(のグリップ)がなくなってしまう。それでみんなより3マイルとか4マイル遅いラップ・スピードしか実現できていなかった」と語っていた。フォイト陣営としては、高速オーバル用のセッティングは根本的なところから見直す必要があるようだ。
以上

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