2014 INDYCARレポート 第6・7戦デトロイト Day3 レース#2 予選:：佐藤琢磨が新コース・レコード樹立で今季2度目のポール・ポジション

Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大

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チェッカー間際、昨日の新コースレコードを大きく上回るスーパータイム！
　デトロイトのダブルヘッダー、レース#2は今日、予選と決勝の両方が行なわれる。
　朝10時に予選はスタート。昨日と同じ2グループに別れるが、今日は通常の三段階の予選ではなく、11台ずつが12分間のグループ・セッションでラップ・タイムを競い合う方式だ。佐藤琢磨（AJ・フォイト・エンタープライゼス）が走るのは2グループ目と決まっていた。
　グループ1は赤旗も出ずに12分間フルに戦われ、多くのドライバーたちが最初はブラック・タイヤ、終盤にレッド・タイヤ装着という戦い方を見せた。そして、もうチェッカー・フラッグ間際というところでジェイムズ・ヒンチクリフ（アンドレッティ・オートスポート）が1分16秒3739という、昨日樹立された新コース・レコードのポール・タイムを1秒以上も上回るスーパー・ラップを完成。もう破るのは難しいタイムと見えていた。
　
ハンター-レイ、この週末2回目のクラッシュで赤旗
　グループ2の予選は、1周目をほとんどのドライバーが終えようというところで赤旗になった。ライアン・ハンター-レイ（アンドレッティ・オートスポート）でクラッシュしたのだ。昨日と同じターン11。予選にもう戻れないのは明らかな、昨日より格段に強いコンタクトだった。コースには赤旗が出され、ピットではオーナーのマイケル・アンドレッティがうつむいて首を振っていた。
　レースの世界では“モーメンタム”という言葉がよく使われる。”勢い”、あるいは”流れ”とでも訳すべき言葉だ。エンジンをホンダにスイッチし、その3戦目で早くも優勝。熱望していたインディー500での優勝も果たしたハンター-レイは波に乗りまくっていると見られていた。デトロイトでのプラクティス1回目にトップ・タイムをマーク。「いつでも勝てる体制、いつでも優勝争いができるマシン」と誇らしげに語っていた。しかし、レース#1の予選でアクシデントを起こした彼は、レースでもすぐ近くからスタートしたパワーが優勝する中、16位に沈んだ。それも最終ラップにチームメイトと絡んでのクラッシュと、内容的にも結果的にも惨憺たるものだった。そして今日、彼はまさかの二度目のアクシデントを予選で起こした。ハンター-レイの側にあった勢いは、もはやどこかへ引っ越して行ってしまったかのようだ。流れを良いままに保つのは本当に難しい。
残り5分を切ってグリーンフラッグ
カストロネヴェスが逆転でトップタイムをマークしたが……

　赤旗中断が5分にも及び、グリーン・フラッグが振られたのは、もう残り時間が4分50秒しかない時点だった。
　ここからは全車がレッド・タイヤでの走行となった。走れるのは3周か4周だけだった。
　俄然短くなってしまった予選時間だったが、昨日のレース1用予選でポール・ポジションを獲得していたエリオ・カストロネヴェス（チーム・ペンスキー）が1分16秒3624をマーク（！）　ヒンチのベスト・ラップを僅かに0.0015秒上回り、逆転でトップとなった。今日の予選は2グループに分けて行なわれるが、最速ラップがポール・ポジション。エリオがポールとなった場合には、エリオの走ったグループがタイム順に奇数グリッド、ヒンチのグループはヒンチを先頭に偶数グリッドに並ぶこととされていた。
　シヴォレー陣営、そしてペンスキーのクルーたちが喜んだのも束の間、チェッカー・フラッグの振られた後、最後のアタック・ラップを敢行していた琢磨の名前がポンッとタイム・モニターのてっぺんに表示された。彼は最後のアタック・ラップで1分16秒1371をマーク（!！）　エリオを2番手に押し下げ、今季2度目（1回目は開幕戦のセント・ピーターズバーグ）、キャリア5個目のポールポジションを手に入れた。今シーズン、PP2個目を記録するのは琢磨が最初となった。
　ホンダは今季3個目のPP（セント・ピーターズバーグ、バーバー・モータースポーツ・パークに続く）で、グループ1最速がヒンチだったことから、今日のレース#2はホンダ・ドライバー2人がフロント・ロウからスタートする。
　グリッド2列目はエリオとマイク・コンウェイ（エド・カーペンター・レーシング）。3列目はライアン・ブリスコー（チップ・ガナッシ・レーシング）とルーキーのカルロス・ムニョス（アンドレッティ・オートスポート）、4列目は何やら因縁めいていて、シモン・パジェノー（シュミット・ピーターソン・ハミルトン・モータースポーツ）とウィル・パワー（チーム・ペンスキー）が並ぶ。
ディクソンも不調で17番グリッドからのスタートに
　クラッシュして計測ラップなしのハンター-レイは最後列スタートとなるが、その隣りには何とスコット・ディクソン（ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング）が並ぶ。12分間あった予選をフルに走っていながら最下位の1分19秒4557しかディクシーはマークできなかった。昨日3位フィニッシュしているチームメイトのトニー・カナーン（ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング）もグループ2の11人中9位で17番グリッドからという後方スタートとなる。
　グランプリ・オブ・インディアナポリスのウェット・コンディションでの予選でキャリア初PPを記録したセバスチャン・サーヴェドラ（KV/AFSレーシング）はこのところ奮闘が続いており、今日の予選でも4年連続チャンプカー・シリーズ・チャンピオンという偉業を達成している実力派、セバスチャン・ブルデイ（KVSHレーシング）を同グループでの予選で上回ってトップ10入り。9番グリッドからスタートする権利を得た。
　今季ベストの2位フィニッシュを飾ったばかりのグレアム・レイホール（レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング）は、レース中のファステスト・ラップを記録していたこともあり、予選でのパフォーマンスに注目が集まっていたが、意外にもグループ1の7番手と振るわなかった。