オーバルとは逆向きのメインストレートを疾走するディクソン Photo:INDYCAR (Chris Owens) |
全長2.5マイルのインディアナポリス・モーター・スピードウェイ、その内側に作られるロードコース=全長2.439マイルは、2007年まで行われていたF1アメリカGP用のものに500万ドルを投下してレイアウト変更を行ったものだ。昨年から工事が進められて来た新コースは、厳しい冬だったために作業がなかなかはかどらないこともあったが、グランプリ・オブ・インディアナポリス初開催を前にようやく完成し、1日間のオープン・テストが4月30日に行われた。
新コースのコーナー数は14。オーバルは反時計回りだが、ロードコースは時計周りで、オーバル・コースの南ストレートとメイン・ストレートを使う。
テストは曇り空の下、午前と午後で合計5時間の走行時間が全エントラント25台に与えられた。レギュラー22人にプラスして、オリオール・セルヴィア(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、マーティン・プラウマン(AJ・フォイト・エンタープライゼス)、フランク・モンタニー(アンドレッティ・オートスポート)の3人が走ったのだ。
最速はスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)の1分9秒5969。彼は82周を走った。「最速だったことを喜んでいる。自分でも笑顔になっているのがわかるよ。本当に楽しいコースだ。ドライバーにとっては大変なサーキットであり、ファンにとってはレースを楽しめるものになっている。ドライバー間のラップ・タイムはとても接近している。ストレートが長さはブラジルと同じぐらいか? その一方でターン7、8、9のセクションはドライバーに神経を使わせる。縁石もよくできている。とても良くできたサーキットだと感銘を受けた」とディクソンはコメントした。
2番手ブリスコー、3番手のパジェノーも新コースに手応え
2番時計はライアン・ブリスコー(NTTデータ・チップ・ガナッシ・レーシング)による1分9秒6558だった。ディクソンとの差はたったの0.0589秒。「新コースをマスターして行くのはいつやっても楽しい作業。そして、新しいインディのロードコースは走っていて楽しいコースだとわかった。このコースではターン1とターン7がオーバーテイク・ゾーン。F1用コースから大きな進歩が遂げられている。F1時代の、今のターン8、9、10があるエリアはとても遅かったが、インディーカー用コースは高速で、挑戦のしがいがあるものになっている。偉大なるコース。スピードウェイの人々が素晴らしい仕事をした結果だ」と67周を走ったブリスコーも新コースを絶賛していた。
3番手タイムはシモン・パジェノー(シュミット・ピーターソン・ハミルトン・モータースポーツ)が出した1分9秒7544。順位は3番手だが、トップのディクソンとの差は0.1573秒しかなかった。パジェノーのコメントは、「美しいレイアウト。インディーカーにピッタリのコースになっている。路面はとてもスムーズで、もちろんシリーズ・ナンバー・ワン。走っていて楽しい。とても高速のコーナー、中速のコーナー、ハード・ブレーキングが必要なコーナー……これらはレースをエキサイティングなものにする。リズム良く走れるコース。シケイン、ターン7、8、9と続くセクションも楽しい。忙しくもある」というものだった。こちらも新コースをおおいに気に入っている様子。
カストロネベス「新コースでウイナーになるべく全力を上げる!」
そして、4番手に来たのはエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)。74周をこなし、1分10秒0209のベストを記録した。
7ターンに侵入するカストロネヴェス Photo:INDYCAR (Chris Owens) |
つい先日バーバー・モータースポーツ・パークで優勝したばかりのライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、1分10秒0237のベストで5番手だった。
「コースの素晴らしさはエキサイティング。レーシング・マシンで走って非常に楽しいものとされている。長いストレートの先にはタイト・コーナーが待ち受けているので、多くのオーバーテイクが起こると思う。ファンに楽しんでもらえるレースができそうだ」とハンター-レイは語った。
ポイント・リーダーのウィル・パワーは6番手!
ルーキー最速は10番手につけたホウクスワース
そして、ポイント・リーダーで今季すでに1勝のウィル・パワーは76周して6番手タイムとなる1分10秒0260をマークした。
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7番手はジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)。ファン・パブロ・モントーヤはF1でインディアナポリスのロードコースを走った経験があるが、新コースで71周して8番時計=1分10秒0983をマークした。
「とても素晴らしいコースになっている。走っていて大変楽しい。我々は堅実なテストを行えた。レースで来週戻って来るまでに幾つか改善すべき点はあるが、レース・ウィークエンドに向けての準備が整えられた。コースは場所によってグリップが異なる。レースに向けてはその点でのバランスを見出す必要がある」とモントーヤもコースを高く評価していた。
9番手はジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)、10番手はルーキー最速のジャック・ホウクスワース(BHA/BBM・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)だった。
プラウマンと2台体制で臨んだ佐藤琢磨
タイムは12番手だが「成果の大きい一日」
AJ・フォイト・エンタープライゼスは佐藤琢磨とマーティン・プラウマン、2台体制でテストを行った。
「インディアナポリス・モーター・スピードウェイのファンタスティックな仕事により、見事なロードコースが完成した。コース全体、それぞれのコーナー、縁石、どれもが非常に良い出来だ。路面は大変スムーズで、走っていて楽しい。インディアナポリスのロードコースに戻って来ることは、自分にとってはとても嬉しいこと。もうF1で走ってから随分と長い年月は経過しており、コース・レイアウトも大きく変わっているけれどね」と63周を走った佐藤。ベスト・ラップは1分10秒2792で、12番手にランクされた。
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プラウマンの参加で2台体制に Photo:INDYCAR (Chris Owens) |
苦戦組は意外にも
コンウェイとニューガーデン
テストで意外にも苦戦をしていたのが、今年のロング・ビーチ・ウィナー=マイク・コンウェイエド・カーペンター・レーシング)と、今季の開幕3戦で速さを 見せて来ているジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)だった。どちらもトップだったディクソンに1秒以上の差をつけら れた。21番手だったコンウェイは、「いいコースだと思う。しかし、自分たちのテストはかなり厳しい内容になってしまっていた。やっとのことで、午後遅く にセッティングの方向性を見出した。そして、僕らはマシンを向上させることができたと思う。フレッシュ・タイヤを最後に投入しなかったが、それをしていた ら、もっと速いラップを刻めていたと思う」とコメント。ニューガーデンは22番手だった。
レースは82周。オーバーテイク・ポイントは、上記のドライバーたちのコメントからもわかるとおり、ハード・ブレーキングの2箇所。メイン・ストレートからターン1への進入と、ハルマン・ストレートからターン7になる。
新コース改修では、ファンのためにターン2がよく見えるマウンド型の観戦エリアなどが新たに作られてもいる。プラクティスや予選からサーキットに来ることができるなら、色々と場所を変えながら観戦するという楽しみ方ができそうだ。
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シリーズ第4戦として行われる第1回グランプリ・オブ・インディアナポリスは、8日(木)にプラクティス開始。予選は翌金曜で、レースは5月10日の土曜。午後3時43分のスタートを予定している。アメリカではABCがライヴでテレビ放映する。
以上
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