2014年4月14日月曜日

2014 INDYCAR 佐藤琢磨コメント9 第2戦ロング・ビーチ Rae Day 決勝:「バーバーはテストではよかったので今回の反省を生かして良い結果に繋げたいです」

決勝で4ターンを攻める琢磨 Photo:INDYCAR (Chris Owens)
トヨタ・グランプリ・オフ・ロング・ビーチ
4月13日 Race Day 決勝
22位 55周走行(25周遅れ) 1時間14分28秒9161 アクシデント


「朝のウォームアップの感触がすごく良かったので
ブラックでもイケるだろうと考えていました」


Jack Amano(以下――):ブラックでのスタートというタイヤ・チョイスはどういう思惑があってのことだったんでしょうか?

佐藤琢磨:一昨年、去年とブラック・タイヤでスタートして良い成果を挙げていたので、今年も問題がなければブラックで行こうと思っていました。ただ、今年はだいたいラップタイムが去年より1秒ぐらい遅いんです。クルマもエンジンも速くなっているのにラップタイムは遅いので、それが単純にコンディションなのか、タイヤのスペックなのか、とにかくグリップ感があんまりない。それで、今年のレッド・タイヤが去年のブラックみたいな感覚でした。だから最初はちょっとブラックで行くか躊躇したんですけど、午後から陽が出るっていうのはわかっていたので、それから、スタートするポジションも合わせて、レッド・タイヤが昨日1セットしか使っていないから、状況によってはブラックでの最初のスティントの後にフルにレッドを使おうと。そういうこともあったので、とりあえずはブラック・タイヤで頑張って行こうと決めました。それともうひとつは、今日の朝のウォームアップが、昨日から大幅にクルマを変えたんですけど、その手応えがかなり良かったので、ブラックでも行けるだろうって考えることができたんです。

「スタートで出遅れてしまい、密集した状態の2コーナーで
コンウェイに押されて前と当たってフロントウイングにダメージを負ってしまいました」


――スタンディングスタートでは何があったんでしょうか?
佐藤琢磨:いろいろ僕ら、何回もテストをしてるんですけど、ニュータイヤでグリッドでスタートするのと、ピットのスタート練習の場所でユーズドタイヤでやるのとでは全然グリップ感が違った。そのへんのマッピングが全然合ってなくて、簡単に言えばエンジンのトルクが足りてない。クラッチミートをしてクルマは動き出すんだけれども、トルクが足りてない状況でのクラッチミートだったのでかなり出遅れちゃった。元々スタンディング・スタート用にできているシステムじゃないからものすごく不安定。クラッチのバイト・ポイントを探すんだけどすごく不安定で、みんな同じようなスタートを二度と切れなくて、いつもちょっと良いか、ちょっと悪いか、どうしようもないか……たまたまドンピシャでいいスタートっていうのもあるんだけど、そこらへんがまだまだ課題として残ってますね。

Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
だから、もうちょっとよいスタート切りたかったんだけど、自分のシグナルへのリアクションとしてはよかったんだけど、動き出してからはエンジンの回転数がすごい低いところまで落っこちちゃってた。ターボブーストがかかってないぐらい低いところだったので出遅れました。その後、2コーナーでものすごい密集している状態で、後ろから多分マイク・コンウェイに突っつかれてボーンと前に出ちゃって、その影響で前にいたクルマにサンドイッチみたいなカタチでぶつかって、ウィングにダメージを負ってしまいました。で、そのウィングのダメージがあったのと、レッド・タイヤが残っていたということもあって7周目かな? 早目のピットインに戦略を変えました。

「周回遅れになってからは結構追い上げていけるかなと」

――順位も下がったことだし、早目のピットという作戦に切り替えた。そしてレッドに履き替えてからはペースが好くなりましたよね?
佐藤琢磨:そうですね。ただちょっとウィングを換えるのにかなり時間がかかっちゃった。あれは今後に向けての課題ですね。「フロントウィングを用意しておいて」っていう話はしてあったんだから、ピットに入って来てマシンを見た瞬間に交換することに決めればよかった。でも、そうしなかったから10秒以上もロスをした。前のクルマの何かがくっついていたのか、それを取って、行くか行かないか、そこで話し合いがあって、結局ウィングを交換することになった。それで周回遅れにもなってしまった。
 周回遅れになってからは、最初の3台ぐらいには先に行ってもらって、タイヤが暖まって来てからはトップ・グループと遜色ないタイムか、追いついて行けたぐらいで、「これがラップ遅れじゃなければなぁ」って感じでしたね。自分の感覚としても結構好いペースで走れてるなっていうのはありました。だから、そこからは展開次第ですけど、結構追い上げて行けるかなっていう感触を、あのスティントでは持っていましたね。

――今回もレッド・タイヤでのクルマは非常に良かったということですね?
佐藤琢磨:そうですね。でも、昨日のプラクティスがひどくて、予選ではレッド・タイヤを履いたんだけれども全然合ってなくて、もうその後は根本的に考え方を変えて、去年のセットアップってものは忘れなきゃいけなかったですね。だから、今日の朝のクルマっていうのは、実は単純にスプリングパッケージだけ換えたんじゃなくて、ジオメトリーから何から全部換えました。そういうクルマで今朝のプラクティスを走って、レッド・タイヤで走ってた人もいた中でほぼトップ10のタイムが出せた。ガソリンの量も含めて僕たちには手応えがあったので、これだったらレッド・タイヤでも好いパフォーマンスが見せられるだろうっていう見方でした。実際にレースでも好いパフォーマンスを出せたと思うので、その辺りはあと1セッションあれば……とか、もう1、2台、まぁ2台とは言わないけど1台チームメイトがいればね、そこらへんの改善、うまく行かなかった時の改善は早いと思いますけど。それでも、少なくとも決勝にマシンを合わせ込むことができた。去年もギリギリでしたけど、今年またそれができたっていうのは、ひとつポジティブだったと思いますね。

「ピットでムニョスとのバトルがありました
これは非常に納得がいってない」


――アクシデントですが、前で何か起きていたのは知っていましたか?
佐藤琢磨:はい。その前に、ムニョスとのピットでのバトルがあったんです。テレビには映ってなかったと思いますけど、非常に納得が行ってないんですよね。ピットレーンの中では僕の方が前だったんです。ピット出口のラインがありますよね? あそこでスピードリミッターをリリースするんだけど、彼はだからその手前でリリースして、僕の方が前でピットアウトしたのに抜いてった。これはペナルティの対象だろうって話を、あのアクシデントが起こる2周前から話してたんだけど、結局インディーカーは対応をせず……ということでした。で、実際にアクシデントが起きた直後だったと思うんだけど、あのコーナーはずーっと回り込んでるんですよね。4コーナーを抜けてからもまだ曲がってるので、多少バック・オフしたんですけど足りなかった。もうあのコーナーに入って見えたのは、3台がグシャグシャになってて、僕のところでは2台が絡んでいて、もうコースの半分を塞いでましたね。しかもそこはライン上で、物理的に僕らは外に行っちゃうから、ホントに頑張って避けようとしたんですけど、避けることができませんでした。非常に残念ですね、そこは。

――手とかは大丈夫でしたか?

佐藤琢磨:手は大丈夫です。

「順位的にトップ5に入っていたということで大丈夫とみていた
これが土曜の苦戦につながった。ここは反省したいと思います


――リタイアという非常に残念な結果となりましたが、クルマが好かったのは救いですね?
佐藤琢磨:そうですね。ちょっと今週末には自分もチームも、皆さんの期待値も高かったと思うし、特に初日が満足行ってなかったんだけど順位的にトップ5に入ってたっていうところで、少し読みを間違っていたかもしれないですね。要するに、クルマの動きとしては満足が行かなかったんだけど、まぁ、周りとの相対的なものとして好かったから大丈夫だろうと見てしまった。その結果が土曜日の苦戦だったので、そこは大きな課題というか、反省をしたいと思います。ただ、その後に(エンジニアの)ドン(・ハリデイ)と色々考えてね、昨日から今日にかけては、今までストリートでやったことないようなセッティングで走ったんですね。それで良いところまで行けたので、そこはひとつ非常に大きな進歩だったと思います。
決勝レース前、サポーターの声援に応える琢磨 Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 ――次のバーバーですが、今年用のマシンとタイヤで一度テストをしているコースでのレースです。見通しはどうでしょう?
佐藤琢磨:そうですね。去年は、13年の冬のテストがあまり良くなくて、それでレース・ウィークにサーキットに戻った時にはかなり良い走りができていました。それに比べると、今年は冬のテストでトップ5に入れていました。そこそこ良いところにいるので、今回のことも教訓にして、もう一度キッチリと見直しをしながら、今日のレースで得たところもうまく使ってね、もちろんストリートとロードなので全然違うセッティングなんですけど、ヒントはたくさんあるので、それらをうまく使ってバーバーで良い結果に繋げたいです。
以上

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