2014年3月30日日曜日

2014 INDYCARレポート 第1戦セント・ピーターズバーグ Day2 予選:佐藤琢磨、完璧な予選スゥイープで開幕ポール獲得!

Photo:INDYCAR (Chris Jones)
3月29日
天候:曇り
気温:21℃
路面温度:22~24℃


天候不良でスケジュールが遅延、路面ウエットで予選スタート

 午後2時に始まる予定だった予選だが、実際に始まったのは夕方の5時40分だった。突然の強い風と雨、そして短時間での雨雲の通過……これはフロリダの典型的な天気で、インディカーとイベント・プロモーターの読みと期待の通り、開幕戦の予選キャンセルは避けられた。
 そして、この予選はとても見応えのあるものになった。路面が乾いていない状態でスタートし、セグメントが進む毎にコンディションは変化。Q2からは路面の変化の度合いがスピードアップ。ドライバーとチームの双方がコンディションへの素早く的確な対応が求められた上、先を読む力も試された。クルーたちには時間との戦いという大きなプレッシャーの下、的確な作業をこなさねばならなかった。

全員レインでスタートしたQ1グループ1はアクシデント続発

 2グループ、11台ずつに分かれて行われたQ1では、全員がレインタイヤで走行した。
 グループ1はある意味で悲惨だった。グリーンフラッグが振られて間もなく、アウトラップのグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がブレーキングミスでタイヤバリアへ。開始から3分で赤旗が出された。コースが再びグリーンになったのは、もう残り時間が4分間となった時点だった。そして、今度は昨年度ウィナーのジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)がスピンし、エンジン・ストール。2回目の赤旗となり、セッションはズタズタにされた。アタックのタイミングで赤旗が出る不運に見舞われた面々は、実力を反映していないラップタイムしか記録できず、Q2進出に失敗した。その中にはプラクティス3までで4番手につけるスピードを見せていたセバスチャン・ブルデイ(KVSHレーシング)が含まれていた。彼の予選順位は13位。レイホールやヒンチクリフは赤旗の原因を作ったためにベスト2ラップが剥奪された。明日のレース、ヒンチは19番グリッド、レイホール二世は21番グリッドからスタートする。


混乱したセッションでカナーンがトップに
 Q1グループ1のトップは、ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング移籍初戦を迎えているベテランのトニー・カナーンだった。プラクティス1と2では苦悶していたが、土曜日になってからのプラクティス3で一気にスピードアップ。難しいコンディションでの予選で勝負強さを見せた。
 
ウエットパッチが残る路面を攻めるハンター-レイ Photo*INDYCAR (Bret Kelley)
  2番手タイムはライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)で、3番手はマイク・コンウェイ(エド・カーペンター・レーシング)、4番手はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)で、5番手はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)だった。ライアン・ブリスコーは、コース・イン時にピットロード出口でルーキーのミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)に追突し、フロント・ウィングを傷めながらギリギリ6番手でQ2行き切符を手に入れた。

グループ2は佐藤琢磨がトップでQ2へ
モントーヤは9位でQ2進出ならず

 Q1のグループ2は一転、赤旗が出なかった。1ラップ毎にトップ6が入れ替わる戦いはスリリングだった。タイヤは全員がレイン。トップに立ったのは、最初がスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)で、次がジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)。次のラップでディクソンがトップを奪い返したが、佐藤琢磨(AJ・フォイト・レーシング)が自身の3周目にトップに躍り出て、そのまQ1をトップ通過した。2番手はディクソン、3番手はルーキーのカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)で、4番手もルーキーのジャック・ホウクスワース(ブライアン・ハータ・オートスポート)だった。セント・ピーターズバーグでの5年連続ポールポジションを狙うウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は5番手で何とかQ2進出。6番手にはセバスチャン・サベードラ(KV/AFSレーシング)が入ってみせた。この結果、シモン・パジェノー(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)やウィルソンといった実力派がQ1での敗退を喫した。
 ファン・パブロ・モントーヤ(ペンスキー・モータースポーツ)はQ1のグループ2で9位となり、Q2進出はできなかった。プラクティス3まででコース攻略法を見つけ切れず、マシンセットアップでも苦戦を強いられていた。変化する難しい路面コンディションは経験豊富な彼には大きなチャンスと映ったが、味方につけることはできなかった。予選結果は22台中の18位となった。

タイヤチョイスが分かれたQ2 最後は全員レッドに
佐藤琢磨は最初からレッドでアタックしトップタイム!

 Q2は更におもしろい展開となった。12人のコンテンダーの中でタイヤ選択が3パターンに分かれたのだ。ウェットタイヤを無難に選ぶ者に対して、一気にスリックへとスイッチする大胆の決断を下すチームも現れた。また、ハードコンパウンドのスリックを選んだチームもあった。しかし、最終的には全員がソフトコンパウンドのスリック=通称レッドタイヤでアタックしていた。路面はドライに近づき、ラップタイムもプラクティス並みとなった。ウェットパッチの残っていたメインストレートなど、レコードラインを走れない場所もあったが、レッドで最初からアタックを続けた琢磨が、セッション終了の迫った時間帯に1分3秒324、1分3秒0131を続けて出してトップでのファイナル進出を決めた。
 Q2の2番手はハンター-レイで、3番手はパワー、4番手はアンドレッティ、5番手はカナーンとなった。6番手はディクソン。彼は時間切れ直前のアタックでムニョスとホウクスワース、二人のルーキーたちを上回ってのファイナル進出となった。
 トップコンテンダーの中からは、カストロネベスとライアン・ブリスコー(チップ・ガナッシ・レーシング)がファイナルへの進出に失敗した。

佐藤琢磨、Q1からずっとトップに立ち続けてポールポジション獲得
 フロントロウからの3列6グリッドを競う予選ファイナル・ステージは、路面乾燥が更に進み、一段とドライに近づいたコンディションで行われた。6人のタイヤ・チョイスは、全員レッドだった。
 

ファスト6でアタックする琢磨 Photo:INDYCAR (Shawn Gritsmacher)
  セッション開始とともに琢磨はハードに走った。ユーズドレッドで変更したセッティングをチェックし、好感触を得てピットに戻ると、新品のレッドに換装してアタックを再開した。彼は5ラップ目に1分2秒1609をマークしてカナーンからトップを奪取。次の1目はペースを落とし、7周目に再度全開のアタックを行った琢磨は1分1秒8686のベストを記録。2位カナーンに0.2951秒の差をつけてポールポジションを獲得した。Q1からトップに君臨し続けてのポールポジション。完全なる予選スウィープが実現されたのだった。

エンジンバトルはホンダとシボレーは全く互角に
 予選2位はカナーンで、エンジン戦争ではホンダとシボレーがフロント・ロウを分け合う結果となった。予選3位はハンター-レイで、4位はパワー。2列目もホンダとシボレーの1台ずつが並ぶことになった。そして、5位はディクソン、アンドレッティは6位。こちらもシボレーとホンダが互角の成績となった。 
「クルーたちが完璧な仕事をしてくれてポール獲得できました」と琢磨

 琢磨のポールは勿論今季初。2011年のアイオワとエドモントン、2013年のヒューストン#1に続くキャリア4回目だ。ポール獲得を果たした琢磨は、「これ以上は望めないシーズン・スタートです。今日の自分たちのパフォーマンスには本当に満足。オフシーズンのテストが成果に繋がっている」と喜んでいた。「今日の予選は天候が劇的に変わるコンディションで、路面は滑り易く、走行ラインを選んでアタックし続けました。セッティング変更ではクルーたちがミスのない完璧な仕事をしてくれ、ポール獲得がなりました」と喜んでいた。「明日のレースでは不運に遭わず、チームとしてやるべき事を確実にこなします。その結果、良い成績を残せればと考えています」と語った。

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