AJフォイトから手渡されたウイナー用カウボーイブーツを履き、会心の笑顔 Photo:INDYCAR (Chris Jones) |
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PPスタートの佐藤琢磨、不運なパンクに見舞われる
スコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)が、三度目のシリーズ・タイトル獲得に向けて、改めて強い意欲を見せた。シーズン終盤に入ってからの3連勝で一気にタイトル争いへと名乗りを上げたディクソンだったが、ソノマとボルティモアで続けてシリーズ主催者による不可解な裁定が重なり、残り3戦で49点という大量のポイント・リードをエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)につけられてしまっていた。しかし、ヒューストンのダブルヘッダー第1戦でディクソンは見事優勝。ポイント差を一挙に8点にまで縮めてみせた。
ポールシッターの佐藤琢磨がレースをリードしたが…… Photo:INDYCAR (John Cote) クリックして拡大 |
予選3位だったディクソンは、スタートでもそのポジションをキープ。ポールスタートの佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)がタイヤパンクでピットへと消えたことでウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の後ろの2位へとひとつ順位を上げた。
パワーがトップを保ってレースは進んで行ったが、ディクソンの方がマシンの仕上がりが良いように見えていた。抜きあぐねたディクソンは早めにピットに向うことを決断。36周目のことだった。
次の37周目にパワーもピットイン。ここでマシンをジャッキアップに通常より1秒以上長くかかり、その差によってパワーは2位へと順位を下げた。
狙い通りにピットタイミングを利用してトップに立ったディクソン。そこからの彼はパワーとの差を一気に広げてみせた。どちらも装着タイヤはブラック。ディクソンの明らかな優勢のままレースは終盤戦へと突入して行った。
ディクソン、最後のピットストップ、絶妙なタイミングでフルコースコーション!
64周目、ディクソンが最後のピットストップに入った。彼のクルーたちはブラックタイヤを用意していた。
ここでディクソンが大きな幸運に見舞われた。オリオール・セルビア(パンサー・レーシング)がコース上にストップし、イエローが出されたのだ。ディクソン以外のドライバーたちの大半は、もう1回ピットストップを行わなければゴールまで走り切れない状況だった。
パワー、不可解なステイアウトで大きく後退
68周目、コーションが続く中でピットがオープンになったが、驚いたことにパワーはピットインしなかった。チームがステイアウトの指示を出したのだ。しかし、その作戦は明らかな間違いだった。同じ作戦を採用したルーキーのルカ・フィリッピ(ブライアン・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)ともども、彼らは次のフルコース・コーションで給油とタイヤ交換、順位を大きく落とし、それが最終結果にもマイナス効果をもたらした。
パワーが作戦ミスで後方集団に埋もれ、ディクソンの優勝を脅かす者はいなくなった。2番手にはシモーナ・デ・シルベストロ(KVレーシング・テクノロジー)、3番手にはジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)が浮上してきていた。
ディクソン優勝の陰で、カストロネベスはトラブルで18位に
ディクソンは今季最多となる4勝目を挙げ、前述の通りカストロネベスとの差を8点にまで縮めた。カストロネベスは予選22位で、21番手からのスタートだった。粘り強く上位フィニッシュを目指すはずだった彼だが、序盤にしてギヤボックスにトラブル発生。9周もの遅れを採り、18位でゴールするのが精一杯となった。依然としてリタイアはゼロだが、今季2度目のトップ10圏外でのフィニッシュにより、ポイント・リードがほぼ消滅する憂き目をシーズン終盤土壇場で見ることとなった。
ドライバー部門同様、マニュファクチャラー・タイトル争いでも大きな動きがあった。ホンダが今季9勝目を挙げ、8勝のシボレーを逆転してポイント・トップに立ったのだ。シボレーがシリーズに復帰して以来初めてのことだ。今シーズンのアイオワでの第10戦が終了した時点では、シボレーが7勝3敗で大きくリードをしていた。しかし、シーズン終盤になってホンダはディクソンの3連勝などで一挙に差を縮め、ついには逆転を果たした。明日のレースでホンダが優勝すれば、マニュファクチャラー・タイトルは最終戦を待たずに彼らのものとなる。
以上
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