パワー優勝を喜ぶ12号車のクルー。彼らはこの勝利をどう感じているのだろうか?Photo:INDYCAR (Richard Dowdy) |
スコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)はレースをほぼコントロール下に収めていた。
ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)のアタックを凌ぎながら、相手に対して燃費セーブでも優位を保って見せていた。
しかし、レース終盤にフルコース・コーションが出された。パワーと彼の陣営の期待していたチャンスが到来したのだ。
イエロー下での最後のピットストップは、先にコースに戻った方がレース終盤を優位に戦える非常に大事なものとなっていた。
ディクソンとすれば、望んでいないイエローだった。彼に残されているのはユーズドレッドだけだが、パワーにはフレッシュレッドが残されていたからだ。イエローなしでレースが続けば、ディクソンは余裕を持って最後のピット作業を受け、トップでレースに戻ることができるはずだった。それが一転、ピットが極めて大きな意味を持つ状況に変わった。
そんな状況でもチップ・ガナッシ・レーシングのクルーたちは的確かつ迅速に作業を行った。ディクソンは明らかな差をつけてピットからダッシュ……その直後、彼はパワーの右リヤタイヤ・チェンジャーび持つタイヤに接触! このクルーは宙へと跳ね上げられ、リヤウィングを押していたもう一人のクルーにぶつかり、エアレンチがさらにもう一人のクルーをヒットした。
接触事故の原因はどこにあるのか?
インディーカーの競技長であるボー・バーフィールドは、この事故の審議を行い、ディクソンにピット・ドライブスルーのペナルティを課した。
トップを走っていたディクソンは、ペナルティを受けて20位にまで後退した。そこからゴールまでは10周しかなかったが、彼は15位まで挽回してみせた。
インディーカーは、またしても間違った判断を下してしまった。正規の競技長であるバーフィールドが今回の責任者であったというのに……。
ディクソンに過失がゼロだったとは言わない。しかし、今回の接触事故が起こった原因は、チーム・ペンスキーのリヤタイヤ・チェンジャーがあのタイミングで敢えてタイヤをピットウォール方面へと運んでいたこと、タイヤをわざわざディクソン側に突き出していたところ、の2点にあった。
ペナルティを受けるべきは、スポーツマンシップに欠けた行動をしたチーム・ペンスキー側だった。彼のあの動きには、ディクソンのピットアウトを少しでも遅らせたいという意図が見え見えだった。
インディーカーの決断=ディクソンだけにドライブ・スルーというペナルティは、あまりに厳し過ぎたと。もっと良い、将来に向けても建設的な対処の仕方があったはずだ。
以上
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