Photo:INDYCAR(Chris Jones) |
ホンダ・インディー200・アット・ミド-オハイオ
Day2 予選
天候;晴れ
気温:23~24℃
最も重要な第2ステージであえてユーズドレッドを使用
ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は予選の第2ステージを、すぐ前の予選第1ステージで使ったレッドタイヤで走った。その作戦でファイナルステージ進出を果たせば、ライバル勢がユーズドレッド使用なのに対し、自分だけがフレッシュレッドで走るアドバンテージが得られるとの考えからだった。そのギャンブルに彼らは見事成功した。ファイナルでの彼らは思惑通りにフレッシュレッドの優位を利用、まんまとポールポジション獲得を成し遂げた。
チャレンジャーの姿勢に戻ったハンター-レイ
ポイント・リーダーのエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は、予選の第1セグメントで敗退した=15位。このことが示している通り、今のインディーカー・シリーズの予選では本当のトップコンテンダーたちでさえ第1、第2セグメント突破に全力を投じなければならない。新品のレッドで第1セグメントを戦い、第2セグメントにも2セット目の新品を投入して走るという戦い方がずっとセオリーとされてきていた。
そのセオリーの中での戦いとして近頃では、第1、あるいは第2セグメントのいずれかで、レッドタイヤでの周回数をできる限り少なくすることが競われるようになっていた。よりダメージの少ない(=走行周回数の少ない)レッドでファイナルを迎えるところにアドバンテージを見出そうという考え方だった。
今回、ハンター-レイの陣営は、その一段上を行く戦術を導入した。失敗は第2セグメントでの敗退を意味する。スターティンググリッドは7~12番手になるのだ。しかし、ギリギリでも何でも、とにかく6番手以内に食い込むことができれば、一転、大きなアドバンテージを手にできる。それを見事にやってのけたのがミド-オハイオでの彼らだった。ディフェンディング・チャンピオンでありながら、現在ポイント3位につけている彼らは、再びチャレンジャーの姿勢に立ち返り、ガナッシもペンスキーも考えつかなかった新しい戦い方を編み出し、大きな成功を手に入れた。
今シーズンのロードレースは残り4戦。そのうち、今日と同じ三段階方式が採用されるのはソノマ、ボルティモア、そしてヒューストンのレース1の3戦だ。今日ハンター-レイが使ったのと同じ作戦を使うチームはおそらく出るだろう。すると、失敗する例も生まれるはずだ。そうなった場合、これまでとは違ったファイナル進出ドライバーの顔触れを見ることもできるようになり、少ないチャンスを活かして上位フィニッシュ、あるいは優勝を掴み取るドライバーが出ることにあるかもしれない。
予選2位はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。ハンター-レイとの差は0.1840秒あった。「自分たちもタイヤの性能はフルに引き出していた。2位でもハッピーだ。ハンター-レイがフレッシュ・レッドを持っていたんじゃ、ポールを穫るのは難しい」とパワーは完敗を認めた。フロント・ロー・スタートの権利を手に入れた彼は、「タイトル獲得のかかっていない自分としては、とにかくアグレッシブに行く。全力で優勝を狙う」と語っていた。
予選3位はスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)で、予選4位はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)だった。
「ミド-オハイオでの勝ったうちの2回は、確か2列目グリッドからのスタートだったはず」とディクソンは3連勝に自信を見せた。同一コースでの3年連続優勝、通算5勝目、ポコノからの4連勝(インディーカー史上のタイ記録)を彼は実現できるだろうか。
予選5位はチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング)。朝のプラクティスでクラッシュしたが、マシン修復が間に合った上にドライバーのパフォーマンスが素晴らしかった。キンボールのファイナル進出は、第2戦バーバーに続く2回目。結果はその時と同じ5位となったが、彼はまた自信を積み重ねることができたはずだ。
佐藤琢磨、ヒンチ、ニューガーデンは苦境に
上記のカストロネベス以外での今日の「まさか……組」はジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)、佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)、ジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)、トニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)、グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)あたりか。
琢磨はプラクティスからトラブル続きだった上に朝のプラクティスでクラッシュ。走行周回数がライバル勢に比べて圧倒的に少なかったので、予選でのパフォーマンスが低いのも仕方のない面があった。しかし、ヒンチはコンスタントに速さを見せていたし、ニューガーデンは予選日の朝のプラクティスで最速だったのだから、ファイナル進出を期待こそされ、第1セグメントでの敗退は考えられない状況だった。それがヒンチは13位、ニューガーデンは19位という結果しか得られなかった。
カナーンもレイホールも同じく第1セグメントでの敗退。カナーンのチームメイトのシモーナ・デ・シルベストロ(KVレーシング・テクノロジー)は第2セグメントに進んで9位(拍手!)。同じようにレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングでも、地元コロンバス出身のグレアムが第1セグメントで終了だったのに対し、今年最大の成長株=ジェイクスは奮闘して10位だった。
パジェノーは予選8位。今回もプラクティスまででの活躍ぶりにマッチしない予選結果しか得られなかった。彼は予選でのパフォーマンス・アップが大きな課題だ。
今回が初登場のジェイムズ・ダビソン(デイル・コイン・レーシング)の17位は「健闘」と評価していいだろう。
昨日のプラクティスで5番時計をマークした”まっさらルーキー”=ルカ・フィリッピ(ブライアン・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ-アガジェニアン)は、予選で非常に悔しい思いを味わった。「いざアタックへ!」という最終コーナーでクラッシュ。赤旗を出してベスト2ラップを帳消しにされたのだ。予選が再開された時には、「できて3ラップ」という3分30秒しかセッションは残っていなかったが、経験を求めてフィリッピはレッド装着でコースへと復帰。第2セグメントに進出を果たせていたであろう1分5秒台をマークした。2ラップが消されてグリッドは最後尾となったが、水曜の初走行から見せてきている速さを裏付けることはできていた。
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