ディクソン、トロントダブルヘッダーを完全制覇 Photo:INDYCAR (John Cote)クリックして拡大 |
トロントでのレース1で勝ったスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)は、レース2ではその速さにさらに磨きをかけていた。
ポイントリーダーのエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は、レース1では今ひとつスピードがなかったが、朝のウォームアップで最速タイムを出した通り、マシンを向上させてきた。スタンディングスタートでダリオ・フランキッティ(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)をかわし2番手に浮上した。
しかし、昨日よりスピードアップしていたカストロネベスをディクソンは難無く突き放した。その差は周回を重ねると同時に広がるばかり。周回遅れが出始めると差はさらに広がっていき、ピットストップでもまた差は大きくなった。終盤の2度のリスタートでもディクソンに危なげは一切なく、ターゲットの9号車チームが完璧なる勝利を記録した。
フルコースコーションの出ない展開
レースはガチンコのスピード勝負でディクソンに死角なし
レース1より暑くなったコンディションで、レッドタイヤのパフォーマンスが心配され、大方のドライバーたちがスタートでレッドを使用した。しかし、レース序盤にアクシデントとフルコースコーションはなく、レッドタイヤが大きな性能ダウンを見せることもなくレースは淡々と進んで行った。
フルコースコーションの出ないレースではピットタイミングを違えて形勢をひっくり返す作戦も使えず、ガチンコのスピード勝負が延々と続いて行った。
暑さの中でもディクソンのスピードにはまったく衰えが見えず、彼はトロントのダブルヘッダーをスウィープした。これには特別賞金の10万ドルが用意されていた。先週のポコノ戦を迎える前まえでディクソンは今季未勝利、ポイントランキングは7位だった。しかし、ポコノで勝った彼は、トロント完全制覇で一気にシーズン3勝。ジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)と並ぶ今季最多勝利ドライバーとなり、ポイント・スタンディングは2位にまでジャンプアップした。
白熱するポイントランキング争い
リーダーのカストロネベスとの差は29ポイントに
今日はカストロネベスが奮闘、2位フィニッシュしてポイントダメージは最小限に抑えられた。しかし、ポコノ前に両者のは92点の大差があったが、それがトロント終了時点では29点にまで縮まった。
「シーズン終盤のレースを見ると、タイトルを獲得できる可能性を感ずる」とディクソンは目を輝かせていた。「チームもホンダも全員が頑張り続けている。小さなことの積み重ねが自分たちをまたトップ争いの真ん中へと戻してくれたと思う。シーズン前半の僕らはチームとして自信を失っていたが、この3勝で自信を掴んだ。次のミド-オハイオでは4連勝を狙う。あのコースで僕は確か4勝している。ペンスキーが速いコースでもあるけれど、自信はある」とも彼は話していた。
ディクソンに次ぐ2位でゴールしたのはカストロネベス。ロングビーチが10位、サン・パウロが13位だったが、それ以外は全部シングル・フィニッシュ。表彰台は今回が5回目だった。この安定性はカストロネベスらしくないが、今年の彼は初タイトルをかなり強く意識し、しぶとい戦いぶりを発揮し続けてきている。今日の2位はまさにその典型だった。彼がタイトルを争い相手は、この2週間でライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)からディクソンに変わった。残る6戦もどうなって行くかは読みにくい。
まだハンター-レイにも、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)にもタイトル獲得のチャンスは十分にある。
ブルデイ、前日に続く表彰台獲得
トロントでディクソンの次に輝いていたのは、セバスチャン・ブルデイだった。チャンプカー・シリーズで4度もタイトルをとっている男がとうとう実力を見せつけるレースを実現した。「ドラゴン・レーシングという小さなチームでトップチームと戦い、今日のようなパフォーマンスを発揮する。それはニューマン/ハース・レーシングで戦っていたチャンプカー時代とはまったく異なるタイプのチャレンジだ。とても大きなやりがいを感ずている」とブルデイは語っていた。「昨シーズンが終わった時、今年の活躍を期待することができた。何を向上させるべきかが明らかになったからだった。そして、それを今年の僕らは実現してきている」。
トップ10圏内で戦っていた琢磨は不運なアクシデントに
佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は、トロントでの2レース、両方ともにリタイアとなった。レース2を前にしたウォームアップセッションでマシンセッティングを大きく向上させ、8番手タイムをマーク。レースでもスタートでポジションを上げて、トップ10フィニッシュは確実、あわよくばトップ5も……という戦いぶりを見せていたが、最後の最後、リスタートで他車に接触され、最終的はクラッシュでのリタイアとなった。
「クリーンにターン1にアプローチできたけれど、前も横もたくさんのマシンがいて、ターン1の中で誰かがヒットして来て、前方でのアクシデントもあって行き場を完全に失いました」と琢磨はアクシデントを振り返った。次戦ミド-オハイオは琢磨が得意とするコース。悪い流れを断ち切る目覚しい走りを期待したい。
以上
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