今季、11戦目にして初優勝を遂げたディクソン。シーズン8人目のウィナーだ Photo:INDYCAR(Chris Jones)クリックして拡大 |
ポコノ・レースウェイ
ペンシルバニア州ロングポンド
全長2.5マイル(約4.023Km)×160周
17番スタートのディクソン、「今日勝てると思わなかった」
ポコノでの1989年以来となるインディーカー・レースを制したのは、スコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)だった。
ディクソンはペンシルベニアとの相性がいいらしい。彼がインディカー初勝利を飾ったのは、ポコノから45分ほど南に走ったところにあるナザレス・レースウェイ(現在は閉鎖)だった。2001年のことだ。そういえば、ナザレスも三角形に近いシェイプをしたコースだった。
エンジン交換を行ったために17番グリッドからスタートしたディクソン。彼が勝つことは予想しにくかった。彼自身ですらレース後に、「今日勝てるとは正直思っていなかったよ」と告白していた。
マルコ・アンドレッティは今回も優勝候補の筆頭に挙げられていたが、またしても勝つことができなかった。レースが燃費勝負になるとは、彼も彼のチームも想定していなかったからだ。
好調だったAAだが、マルコは終盤、燃費レースに対応できず後退
ヒンチクリフはスタート直後にクラッシュ!
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スタートからマルコはトップを走り続けた。地元ペンシルベニアのファンが贈る歓声を浴びながら堂々とトップを快走していた。その強さは手のつけられないほどと感じられたほどだった。しかし、先頭を走り続ける彼は燃費面で自らを不利な状況に置いていた。3秒以上のリードを築いたこともあったマルコだったが、レースがもう終盤に入ってから、燃費が鍵を握ることが判明した。「燃費のことには気づいていたんだ。でも、それに僕らは対応しなかった」とアンドレッティ家の三代目は悔しがった。
マルコが勝てなかっただけでなく、今日のレースはアンドレッティ・オートスポートにとって悲惨なものになった。前戦でシーズン最多の3勝目を挙げたばかりのジェイムズ・ヒンチクリフは、オーバルでの自信を一気に失ってしまうのでは? と心配になるクラッシュを1周目のターン1で喫した。EJ・ビソはハンドリングの悪いマシンでレースを最後まで走り切れなかった。そしてライアン・ハンター-レイは、ピットレーン走行中に後方からヒットされて優勝戦線から離脱した。
佐藤琢磨、ハンター-レイにピットレーンで追突
ハンター-レイにぶつかったのは佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)だった。ただし、これは過去2年間に2回あった理不尽な接触に対するリベンジではない。琢磨は7番手スタートで4位まで順位を上げていた。61周目に2回目のピットストップを行うべくピットロードへとステアリングをきった彼は、そのすぐ後、マシンのリヤをロックさせてスライドしながらピットスピードリミットまで減速したハンター-レイのマシンに後方からクラッシュしたのだった。「アレは完全に自分のミス。アンドレッティ・オートスポートには謝りたい」と琢磨はうなだれていた。
琢磨がガックリ来ていたのは、上位フィニッシュだけでなく、優勝さえも狙える位置に序盤にしてつけることのできていた、そのパフォーマンスが結果に繋げられなかったからだった。
2回目のピットストップに琢磨は大きな期待をかけていた。ハンター-レイをパスしてトップ3へと復活することさえ目指していた。インラップとアウトラップでタイムを稼ぐことが大事と考えていた彼は、ギリギリまでブレーキングを遅らせた。その結果、マシンがコントロールから離れてしまったのだった。
ハンター-レイが優勝戦線から消えたことは、アンドレッティにとってはある意味で朗報だったはずだ。最も手強い相手が消えてしまったのだ。しかし、そこから先のレース展開は燃費が鍵を握るものへと変わった。そして、それはホンダ勢が明確なアドバンテージを持つ戦いだった。
ディクソン30勝目、ターゲット・チップ・ガナッシ100勝目は記念すべき1-2-3に
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ディクソンは昨年のミド-オハイオ以来となる勝利=自身のキャリア30勝目を挙げた。そして、この勝利はチームの共同オーナーであるターゲットにとっての100勝目(スポーツカー及びストックカーも含む)。そして、ホンダにとってのインディカー200勝目でもあった。
チップ・ガナッシ・レーシングの表彰台独占は今回が初めてだ。キンボールはキャリア・ベスト・タイの2位(昨年のトロントと並ぶ)フィニッシュで今季初表彰台。そして、フランキッティは遅ればせながらの今季初表彰台登壇を果たした。
4位はパワー、5位はジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)、6位はシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)。そして、7位はジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)だった。ニューガーデンの5位もキャリア・ベスト・タイ(今年のサン・パウロと並ぶ)だ。
Photo:INDYCAR(Chris Owens) |
ディクソンの17番手からの優勝もすごいが、フランキッティは20番手スタートで3位、7位となったウィルソンは最後列の22番手スタートだった。
ポコノ・レースウェイでのレースは期待通りに素晴らしいものとなっていた。速さは十分にあり、コーナリングもオーバーテイク・シーンもスリルに溢れていた。
ディクソンが優勝し、2013年のインディーカー・シリーズが11戦で8人目のウィナーが誕生した。
好調のカナーンだったが、ディクソンに接触して痛恨の後退
インディー500ウィナーのトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)は、今日勝ってトリプル・クラウンに王手をかけたいところだった。彼はレース序盤に速さを見せ、トップを走るシーンもあった。しかし、レース終盤にディクソンに接触してマシンを傷め、13位でのゴールとなった。これにより、今年はトリプル・クラウン達成による100万ドル・ウィナーは誕生しないこととなったが、カナーンかディクソンのいずれかがフォンタナでの最終戦MAV TV500で優勝した場合には、トリプル・クラウンの一部賞金である25万ドルが贈られる。
ポジションを争うカナーンと琢磨 Photo*INDYCAR(Bret Kelley) |
以上
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