会見で渋い表情を見せるデリック・ウォーカー Photo:INDYCAR(Chris Owens) |
「エアロキットは来年からスーパー・スピードウェイでの3戦だけで導入」って話があった。そして、それは発表直前で頓挫した。そこには以下に記す経緯があった。
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DW12が2012年にデビュー。その目玉のひとつだったはずのエアロキットが初年度に導入されなかった。「シャシー入れ替えだけで精一杯。エアロキットまでは無理」とのオーナー陣の声が尊重された。
1年だけだったはずのエアロキット棚上げは翌年も続き、導入に力を入れていたインディーカーCEO、ランディー・バーナードのクビが飛んだ。エアロキット反対で結束したチーム・オーナーたちのパワーによって。
ホンダもシボレーもエアロキットの導入には賛成。インディーカーは、「2014年から限定的にエアロキットを導入」と決めた。この4月のことだ。インディ、ポコノ、フォンタナのトリプル・クラウン・レースが行なわれる3つのスーパー・スピードウェイ(全長2マイル以上の超高速オーバル)でのみエアロキットの使用を許す方針を固めた。2015年以降には全コースでエアロキットが使われるよう、チームの負担を分散さる苦肉の策としての段階的採用だ。
インディーカー、シボレー、ホンダの三者がこのアイディアには合意していた。しかし、いざ発表しようという段階になって、その直前のミーティングをシボレーが無断欠席。インディカーは出場メーカー全員(今は2社)の合意が必要との考えから発表を取り止めた。
「エアロキット用ルールの決定、発表は5月いっぱいがギリギリのリミット」とホンダ関係者は話していた。設計、開発、そして十分なスペアを含めたキット製作には1年の時間が必要という理由で。
シボレーは欠席理由の説明を拒絶。暫くしてから、「スーパー・スピードウェイだけの限定導入に不満だった」と非公式ながら話したという。
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エアロキット導入が不利になるのは誰?
スーパー・スピードウェイ限定導入ではだめなのか??
シボレーは確信犯だった。ミーティング欠席がエアロキット再度棚上げを狙ったものであるのは誰の目にも明らか。そして、全員合意が基本なので、インディーカーはエアロキット限定導入の話を発表しなかった。
では、シボレーはどうしてこんな荒業に出なければならなかったのか。ずっとフレンドリーに話し合ってきた彼らが急に態度を変えたのは、エアロキット導入は自分たちにとって不利だと結論づけたから。そうとしか考えられない。ミーティングをすっぽかすしか、もう彼らには方法がなかった。そこまで追い込まれていた。彼らはライバルのエアロキットの進捗具合に衝撃を受けたんだと思う。
オーナーたちの反対は強く、エアロキット導入は頓挫していた。しかし、インディーカーも自分たちもエアロキットをやりたい。そこでホンダは、スーパー・スピードウェイからの導入を提案し、インディーカーはそれを飲んだ。当然、ホンダのエアロキット開発はスーパー・スピードウェイ用に集中され、予測されるルールに沿ったものを開発し始めていた。
一方のシボレーは、エアロキットに対するリサーチは始めていたものの、いつ使用が始まるかもわからないモノの開発を本格的に進めていなかった。そのために進捗具合で大きく差が開き、そうした状況に最近気づいた彼らはどうしても導入を回避せねばならなくなった。すべて推察、憶測でしかないのだが……。
以上
その1はこちらをクリック
http://www.indy-amano.com/2013/06/2015.html
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