Photo:Amano e Associati(Masahiko Amano) |
Streets of Sao Pauro
ストリート・オブ・サンパウロ
ブラジル サンパウロ州
全長:2.536マイル(=約4.081km)×55周
コースタイプ:ストリート
5月5日 Race Day 決勝
インディーカー2連勝まであと一歩
1回目のピットストップでフォイトのクルーたちは3つもポジションをゲインさせてみせた。優勝を経験した彼らは自信をつけ、それが仕事ぶりに見事に現れている。プラクティス中のセッティング変更などでは、まだ浮き足立つシーンも見られるが、チームとしての力が急上昇中なのは間違いない。
ブラジルでの琢磨&フォイトの素晴らしさは、決勝レース直前のファイナルプラクティスでもまだシックリきていなかったマシンセッティングを、決勝に向けてはキッチリとコンペティティブに仕上げてみせたところにあった。琢磨はインディーカー・シリーズでもトップレベルのエンジニアリング能力を持っているが、ベテランエンジニアのドン・ハリデイとのコンビネーションは、僅かに3レースにして優勝へと辿り着き、4戦目には更に強力なものとなっていた
際立った佐藤琢磨のリスタート
裏目となったピットタイミングも挽回
今日のレースにおける琢磨は、トップグループの中でさえスタートのうまさを見せつけ、後方集団に埋もれた際にも冷静さと慎重さを保ち続けていた。
琢磨がトップに立ってすぐ、37周目に出されたフルコースコーションでチームは2回目のピットストップを行うこととしたが、このコールは失敗だった。まだ1回目のピットストップから17周しか走っていなかったし、ゴールまで38周も残っていた。琢磨の後ろにいたトップグループは、ほとんどがステイアウトした。
2年前のブラジルが思い出された。あの時は今回と逆で、ピットが琢磨を呼び入れなかったことによって勝利を逃した。
しかし、今回はまだレース半ばだったため、挽回のチャンスがあった。そして、ラリー・フォイト率いるチームは見事に作戦で不利を跳ね返してみせた。
琢磨はトップに返り咲いたのだ。ただ、2回目のピットストップのタイミングが早かったことで、琢磨のフレッシュレッドタイヤはライバル勢のものより明らかに摩耗が進んでいた。ゴールまで20周が残されており、トップを守るのが至難であることは明らかだった。
最終スティントの猛攻をかわしていた琢磨だったが
フレッシュレッドを武器にヒンチクリフがワンチャンスをモノに
59周目にリスタートが切られ、ドッグ・ファイトが始まった。デビュー2年目のジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)は、23番手スタートから、こちらも見事な戦いぶりで2位へと上がってきていた。そして、初優勝のチャンスを目の前にした彼は全力で琢磨にアタックした。しかし、経験で優る琢磨はトップの座をとうとう譲らなかった。
トップを奪い切れなかったニューガーデンはジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)に2位の座を奪われ、さらにはマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)にパスを許し、オリオール・セルヴィア(パンサーDRR)にも抜かれてのゴールとなった。最後の最後で幾つも順位を落としたのはショッキングだっただろう。しかし、それでも彼はキャリアベストとなる5位を得た。今日のファイトから学ぶことで、より強いレーサーになることができるはずだ。
ヒンチクリフは一旦は勝利を諦めていた。シモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)にもパスされ、4位に下がっていたころだ。しかし、パジェノーがニューガーデンとやり合い、さらにはニューガーデンが琢磨へのアタックを続けてタイヤを消耗したことで、トップとの距離を縮めることに成功した。
12位スタートから2位!
ニューガーデンが琢磨攻略に失敗。2位に浮上したヒンチクリフは、ニューガーデンとは違い、ゴールラインまでに琢磨を抜けばいいことを理解していた。琢磨は彼が考えていた以上にパスの難しい相手だっただろうが、彼には16周も少ない距離しか走っていないフレッシュレッドという武器があった。最終ラップの最終コーナーで彼は最後のアタックを行い、琢磨のインへと飛び込んだ。
「最高の勝ち方ができた。最終ラップの最終コーナーでトップを奪うという最高の勝ち方ができた!」とヒンチは喜んだ。そして琢磨は、「12位スタートだったから、2位でも良い結果だ。もちろん、あと少しで勝てなかったことはとても悔しいけれど」と語った。
さぁ、次はインディー500だ。AJ・フォイトがピットに陣取るレースで、琢磨と彼のクルーたちがどんな戦いを見せてくれるのか、本当に楽しみだ。
以上
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