2013年5月25日土曜日

2013 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第97回インディー500 5月22日メディアデイ ロングインタビュー 前編:「エンジニアたちとのコミュニケーションは、リラックスしてます。リザルトがそうしてくれてると思います」

木曜日はメディア・デイ@スピードウェイ。出場33人のドライバーたちに話を聞くチャンスが儲けられる。ここで佐藤琢磨にロング・インタビュー Photo:Naoki Shigenobu
「予選が終わってからリラックスした数日間を過ごしました」

Jack Amano(以下――):予選が終わってからの月曜から木曜まで、4日間まったく走らない。インディー500独特の時間をどういう風に過ごしてましたか?

佐藤琢磨:いつもと変わらず、幾つかのファンクションとかはありますけど、わりとゆったりとしたペースで進んでいるので、結構自分自身をリラックスさせるための時間をたくさん作ったりして、まぁ、知人、友人とディナーに行ったりというオフを楽しんだり、チームのみんなと食事にいったりして、精神的に非常にリラックスした数日間でした。

――そうした中でエンジニアとマシンについて話し合ったり……という時間というのは、毎日少しずつでもあるんでしょうか?

佐藤琢磨:えっとー、エンジニアと話さなかった日は確かに1日しかないですね、確かに。ただ、毎日スピードウェイにきて、パソコン開いてデータとにらめっこ……ってことはやってないです。日曜日の走行が終わってから、今日、初めて自分のデータをもう1回見て、セットアップに関してお互いに確認作業をしただけで、自分のクルマが日曜日にこうだったよ……っていうことはエンジニアに伝えてあるし、データも十分にあるので、彼らがいっぱい宿題やってきて、それでマッサージをしたクルマについてのセットアップに対して、今日ディスカッションをしたって感じですね。
「あとは、今日これからデータをもう一度見て
お互いに納得した上で明日走ってみて確認するという感じです」


――そのディスカッションを行うまで、琢磨選手としてはこの4日間、セッティングのことやレースのことについて色々考えてたんでしょうか? それとも逆に、レース関連のことを考えることは敢えてブロックしてたんでしょうか? あるいは、考えたい時には考えるってスタンスでしょうか?

佐藤琢磨:考えようと思った時には考えます。ただ、もうこれ以上考えても仕方が無いっていうか、自分としては何が必要かっていうのはエンジニアたちに伝えてあったのでね、自分の中でおさらいして、確かに6日間のプラクティスでは出なかったこと、日曜日のパックでの走行でのマシンの動きとかを、あの時にはなんであぁなったのかなっていうのはヤッパリ確認しますよね。それで、あの時に結構クルマのセットアップを動かして、それに対するクルマのリアクションていうのは見てるんだけど、それがかなりラフな状態なので、もうちょっとギューッとクォリティを上げた状態にしたいんですよね。だから、それはドン(・ハリデイ)と電話で話して、ドンが“こういう風にしたいんだけど”というのに対して、”ここらへんまでにしようよ”とか、そういう話し合いはしたけども、それ以上はもう彼らに任せてありますね。あとは、今日これからデータをもう一度見て、お互いに納得した上で明日走ってみて、バッチリ合ってればそのままいけるし、合ってなければもう一度見直してって感じです。

「ドンは僕の考えてることにすごい興味を持ってくれている
そしてラリーは僕とドンに対して絶大な信頼を寄せてくれている」


――ドンとの仕事も5レース目になりますけど、去年までのエンジニアたちとのコミュニケーションと比べて違うところは何でしょうか? 話す内容のクォリティだとか、フィーリングが違うとか?

佐藤琢磨:まぁ、かなりリラックスはしてますね。

――どういったことからリラックスができるんですかね?

佐藤琢磨:それはヤッパリ、リザルトがそうしてくれてると思います。例えば去年のレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング再建の時だって、僕はエンジニアには絶大なる信頼を寄せていました。ジェリー(・ヒューズ)は自分がスーパー・アグリ時代に一緒にやっていた人だから。エンジニアとしては申し分のない人なワケですよね。ただ、彼のとってもヨーロピアンでF1チックなやり方が、結構こっちでは硬めと言われるレイホールのエンジニアリングの中でもどう受け入れられて、それがちゃんとジョブシートに出て、メカニックたちに彼の意思どおりのことが伝わって、そのとおりにクルマが仕上がるかっていういろんなプロセスがあるワケですよ。だからエンジニアだけがよくてもダメで、そこらへんのコミュニケーションがうまく取れてないと。それは言葉のコミュニケーションだけじゃなくて、チームでやっている以上、好き嫌いもあるだろうし、阿吽の呼吸ってのもあるだろうし、ビジネスはビジネスだけども、最後はヤッパリ人なんですよね。

 だから、そこに来るとヤッパリ新しいチームで、学ばなきゃいけないことが去年はいっぱいあったと思う。でも今年は、ホントにAJ・フォイトって、ある意味テキサスにあるから隔離されているからね、インディー・ベースのチームみたいに毎年人が変わって、シャッフルされて、またやり直しってのがないワケですよ。ある意味、すごい……何ていったらいいかな……あのー……よくも悪くもね、いいっていう意味では彼らもチーム内でのコミュニケーションが円滑にできていて、それがAJ・フォイトっていう、すごいカリスマの人によってできあがっているチームなんだけど、悪くいえば外者を寄せつけなかったりだとか、新しいことに対するアレルギーがあったりっていうのは多少あるんですよ。ただ、中でどう動かすかなんですよ、こういうチームは。そういう意味でドン・ハリデイは本当に博士みたいな人だけど、すごい柔軟な思考の持ち主で、もちろんクルマのフィジックスだったりヴィークル・ダイナミクスだったり、そういうことも知ってるんだけど、例えば僕が考えていることに対してすごい興味を持ってくれて、それをどういう風にカタチにするのかっていうのがうまいんですよ。AJを丸め込むというか、言い丸めてくれるというか……。それでラリーはそれ対してドンと僕に絶大な信頼を寄せてくれているので、僕がこうやりたいっていったことはほとんどチームの中で進めてくれる。それが、もしかしたら他のチームよりもずっと大きいかもしれませんね。
続く

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