2013年4月22日月曜日

2013 INDYCAR レポート R3 ロング・ビーチ 4月21日 Race Day 決勝:佐藤琢磨が予選4位からインディーカー初優勝

Photo:Amano e Associati(Masahiko Amano)クリックして拡大

トヨタ・グランプリ・オブ・ロング・ビーチ
ロング・ビーチ市街地コース
カリフォルニア州ロング・ビーチ
1周1.968マイル(=3.167㎞)×80周

4月21日 Race Day 決勝
天候:晴れ
気温:16~17℃

琢磨にとって2001年マカオGP以来、13年ぶりの勝利 


 2013年4月21日は特別な日になった。日本人ドライバーの挑戦が始まって以来、24年目にしてインディーカー初勝利が達成されたのだ。佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)によって。F1経験を持つ日本人ドライバーがこれまでにインディーカーに何人も挑戦してきたが、ついにその厚い壁を突き破るドライバーが出現した。
 4シーズンで3チーム目への移籍をした琢磨だったが、その決断は正しかった。新しいチームに移ってから僅かに3戦目、2013年IZODインディカー・シリーズ第3戦の第39回トヨタ・グランプリ・オブ・ロング・ビーチで彼は初優勝を飾った。デビューから52戦目の初優勝だった。
 琢磨にとっても、待ち焦がれた勝利だったろう。なにしろ、2001年のマカオGP(F3)以来のこととなるのだ。

ブラックでのスタートし、ユーズドレッド相手に順位をアップ!

なんと自身のファステストラップをブラックでマーク!! 

 予選4位で2列目アウト側グリッドから琢磨はスタートした。タイヤはフレッシュ・ブラックを装着していた。セオリーならレッドだが、彼はそうしなかった。予選で琢磨より上位のグリッドを手にしていた3人は、全員がユーズド・レッドを履いていた。ブラックでスタートすることにした、それが勝因その1だった。
 80周のレースのスタート、琢磨はターン1に到達する前に予選3位のウィル・パワー(チーム・ペンスキー)をパスしてみせた。相手はレッドなのに、いとも簡単そうに。
 23周目、琢磨はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)を抜いた。このパスが持つインパクトは大きかった。レッドを履く強敵2人をパスできるとは、琢磨自身も考えていなかったのではないか。ブラック装着なら、予選ポジションのキープが第一目標とされていたはずだからだ。
 これで琢磨の前を走るのはポール・スタートのダリオ・フランキッティ(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)だけになった。パワーとハンター-レイを抜いた琢磨の勢いは衰えず、ピットストップを前に差をどんどん縮めていった。琢磨は自身のファステストラップをこの時にマークした。ブラックでの方が速く走れていたのだ。

完璧だったピットストップとリスタート 


 琢磨の最初のピット・ストップは28周目だったが、ここでフォイトのクルーたちは完璧なストップをやってのけた。次の29周目、フランキッティがピット。ここでトラブル発生。トップはまだコースを走り続けていたパワーのものとなっていたが、彼がピットした31周目、琢磨はトップに躍り出た。
 34周目のリスタートも、38周目のリスタートも琢磨は危なげなくこなした。スタートは彼の得意科目。タイミングよく加速し、左90度のターン1へのブレーキングでも落ち着き払っていた。

そしてユーズドレッドから最終スティントは新品のレッドに 


 セカンドスティントを琢磨はユーズドレッドで戦った。フレッシュは最後に残した。これが今日のレースで成功するためのキーだった。
 ユーズド・レッドで走ったのは22周。51周目になんと、ハンター-レイがクラッシュしてフルコース・コーションが出されたのだ。
 ここで全員がピットイン。残り30周の勝負となった。フォイトのクルーはプレッシャーのかかる2回目のピットストップも完璧にこなした。琢磨はトップを守った。タイヤはフレッシュ・レッドを装着していた。
 2番手にはグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が上がってきていた。フランキッティはペースが今ひとつ上がらず、この後ジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)にもパスを許した。

同じ新品レッドのレイホールを突き放し、5秒差で最終ラップに
 

 レイホールは琢磨と同じくファイナル・スティントにフレッシュレッドを持ってきていた。彼はキャリア2勝目に向け、琢磨の初勝利を阻んでキャリア2勝目を挙げるべく、14号車にプレッシャーをかけ始めた。しかし、トップを走る琢磨はまったく冷静だった。燃費にも気を配りながらレイホールとの間隔を保ち続けた。そのうちレイホールがタイヤを消耗させてペースダウン。琢磨は5秒もの大差を持ってファイナルラップを迎えた。
 最終ラップ、トニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)とオリオール・セルヴィア(パンサーDRR)、ふたりのベテランがターン1で絡み、フルコース・コーションが出された。琢磨は悠々とゴールへと到達。初勝利のチェッカーフラッグを受けた。

以上

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