Photo:INDYCAR(Chris Jones) |
群雄割拠!僅差の戦いとなった第2戦
予選と同じか、それ以上に見応えあるレースだった。
ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)の自信に満ちた戦いぶりは憎たらしいほどで、タイヤ選択でも彼と彼の陣営が持つ自信にはまったく揺るぎがなかった。2ラップしか走っていないレッドを2セットも持ってスタートに臨めたのは、彼らだけだったからだ。
彼の隣りのグリッドからスタートしたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が、最初のコーナーではみ出して順位を下げたこともハンター-レイには大きなプラスとなった。パワーはフレッシュレッドを履いており、前に出られたら厄介だったからだ。
さらに、トゥリスタン・ヴォーティエ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)とチャーリー・キンボール(ノヴォ・ノルディスク・チップ・ガナッシ・レーシング)の2番手争いがホットになり、トップを行くハンター-レイはリードを10秒以上も築くことができた。
Photo:INDYCAR(Bret Kelley) |
大胆な2ストップ作戦を成功させたパワー
しかし、レースが彼の楽勝に終わることはなかった。意外なことに、彼を大きく苦しめる存在となったのは、トップ争いから脱落したかに見えていたパワーだった。序盤に順位を下げたパワーは大胆にも2ストップ作戦に切り替え、1回少ないピットストップでトップ争いへと舞い戻ってきた。レース半ばの51周目、ユーズドブラックでハンター-レイの前に立ち塞がった彼は、レッド装着マシンを相手にとうとうオーバーテイクを許さなかった。これはパワーだからこそなし得たものだろう。
カストロネベスはセカンドスティントでフレッシュレッドを投入した!
その間にトップで逃げの体制に入ったのが、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)だった。ユーズドレッドでスタートし、セカンドスティントを勝負所と見てフレッシュレッドで走ったカストロネベスは、トップに上り詰めた。さらにユーズドレッド(これで3連発)を選んだ彼は、チームメイトの援護射撃を得てハンター-レイに10秒以上の差をつけて最後のピットストップに向かった。
しかし、カストロネベスにはもうブラックタイヤしか残されていなかった。レース中に二種類のタイヤを両方使うことはルールで義務づけられている。ブラックを履いてファイナル・スティントに向かったカストロネベスは全力で逃げを打ったが、短時間でハンター-レイの接近を許し、76周目にトップの座をギブアップした。
フレッシュレッドを温存していたディクソン、ラスト猛追で2位に
カストロネベスはさらに、2位の座も諦めることとなった。もうゴールまで5周を切ったところで、スコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)にパスされたのだ。ディクソンはフレッシュレッドでファイナルスティントを戦っていた。スターティンググリッドでフレッシュレッドからユーズドレッドに換えた、その作戦が最後で威力を発揮した。
このファイナルスティントでのディクソンの速さには目を見張るものがあった。カストロネベスをパスした彼は、トップを行くハンター-レイにまで追いついた。最後の1台をパスすることはできなかったが、2位でのフィニッシュは喜んでいい結果だろう。今日のレーすでは、ホンダ対シボレー、アンドレッティ・オートスポート対チップ・ガナッシ・レーシングの戦いが、たった2週間前の開幕戦時より遥かに実力の接近したものとなっていることも示していた。
ハンター-レイを抑え込む走りをしながら、パワーはセカンドスティント、ファイナルスティントともに30周をカバー。5位でゴールラインへ飛び込み、クールダウンラップでガス欠によりストップした。
特筆すべきキンボールの戦いぶり。琢磨はトラブルを挽回し14位
パワーの前の4位はキンボールが手に入れた。今週の彼は予選でも決勝でも堂々たる戦いぶりを見せ通した。対照的にチームメイトのダリオ・フランキッティ(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)は、ヘダース・トラブルから電気系トラブルが誘発されてストップ。開幕から2戦続けて25位という惨憺たるシーズン・スタートを切っている。
佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は、12番グリッドからスタートして14位でゴールした。最初のスタート、序盤のリスタートでそれぞれポジションを上げて9番手を走行。しかし、ピット1回目を全員が終えると彼の順位は13番手まで後退しており、2回目のピットストップでギヤボックストラブルによりエンジンストール。リーディングラップの最後尾である23番手までポジションを落とした。
しかし、マシンの仕上がりが良かったことと、終盤の2スティントでユーズドレッドを投入したことによって14位にまで挽回してゴールを迎えた。
以上
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